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ノア・デモニウム・プリンセプス  作者: きっと小春
第三部 異世界から来た転生者
108/243

第108話

「にがぁいでずぅ…」


 一日一回、ヒガシヤマさんが煎じた謎の薬を飲む。


「我慢して飲むか、死ぬか、どちらかだよ?」

「さらっと、怖いこと言わないでください」


 ノアがヒガシヤマさんと出逢って半年が経過した。人間の肉体と精霊の融合も無事完了して、リハビリから筋力トレーニングへ変わっていた。


 ノアが、はぁ、はぁ、と息を切れせて、家の前の広場で座っていると、ヒガシヤマさんが、ニコニコしながら近づいてきた。


「ノアの過去や生き方と、この世界の常識から言えば、ノアは間違っていたんだ。勇者スキルを手に入れた瞬間から、最強を目指すべきだったんだ。弱いうちは隠すことは間違ってない。しかし、戦闘スキルを手に入れなかったのは、大きな失敗だった。権力や武力でねじ伏せようとする連中を勇者スキルがあるならば、簡単に跳ね除けられたはずなんだよ」

「うぅ…。そんなこと今更言われても…」

「そして、ノアの戦いは終わっていない。ほら、ノアは、高ランクスキル持ちなんだよ?」

「でも、それも今更です!! もう勇者スキルがないのですから、強くなりようがありません!!」

「それでも、鍛えないと…また誰かにねじ伏せられるよ? また運命を他人の手に委ねるの?」

「それは…もう嫌です…」

「僕も協力するよ。頑張ろう!」

「えっ!? ヒガシヤマさんが!? 精霊王が直々に!?」

「ふふっ。僕は負けたことがないからね!」

「そうなんですか!? 流石は精霊王ですね!」

「いや、戦ったことがないからね…。冗談はそのぐらいにして、えっと、僕の戦闘能力は間違いなくトップクラスだ。しかし、戦闘経験が全く無い。だから、ノアに教えることも出来ない。そこで、必死に考えたさ。前にも言ったけど、ここの家って、とある賢者様の家でね。実は地下100層に及ぶ巨大ダンジョンがあるのさ。それをクリアしてみない?」

「一人で?」

「一人と言うか、使い魔と一緒に…。しかも、スキルを最初から全力で使って。良いかい? ノアは、強力なスキルを持っているからって、出し惜しみをする癖がある。そして、いざとなると使い熟せない。話を聞けば、友達に刺されたときも、【結界】スキルや【探知】スキルで回避可能だったはずだ。左腕を失ったときも同じ。スキルが封じられても戦えるように素の状態を鍛える以前の話だ」

「わぁぁぁっ! 言わないで! 自分でも…わかってます…。凄く反省しているんです!!」

「そして、沢山の魔物と巡り合い。沢山仲間にするんだよ。ノア自身が強くなるのは、ちょっと難しいからね。さて、僕からも…四体の精霊をプレゼントしよう…」


 ヒガシヤマさんが、さっと手を掲げると、火蜥蜴(サラマンダー)水人魚(ウィンディーネ)風妖精(シルフィード)土小人(ノーム)が出現した。


「本当は、炎魔神(イフリート)とかが、強力でよかったんだけど、ランクAの【従属】スキルでも命令を聞かないかなーって」

「いえいえ、この四体でも十分過ぎます!!」

「いいかい? この四体は切り札として使うんだよ? 敵の相性をしっかりと見極めてね。通常は、今の使い魔たちに頑張ってもらうこと。今の使い魔たちにも、戦闘経験をたっぷりと積んでもらうのが目的の一つだからね」

「はい! そ、それと…ダンジョンって…どんな感じなんですか?」

「知らない。入ったことないからね。危ないし…」

「またまた…お茶目な事を!? 危ない場所に…ノアを行かせるんですか!?」

「だって、その程度クリアできないと…駄目じゃない?」

「うぅ…。どんな場所かも知らないのに!! ヒガシヤマさんは…もう!」

「えーっ? 行かないのかい?」

「行きます。行くに決まってます。それしか、強くなる方法が何のなら」

「うんうん。いいね! 早速行ってみよう!!」


 入り口は、トイレの隣…。物置かと思った扉の先。


「真っ暗ですが、【暗視】スキルでどうにかなります。それでは行ってきます!」

「うん。はい、これは、お昼のお弁当と水筒。今日の夕飯は、ノアの大好きなラザニアを作って待ってるね!」

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