第10話
今日は月初。月に一度のお休みの日。
何としても白姫狐の寝顔が見たい。そのために必用になるであろうスキルを取得するために商業ギルドに向かう。スキル自体はギルドカードで取得可能だが、スキルの説明は商業ギルドに置かれているスキルブックを読むしかない。
商業ギルドに入り、スキルブックの閲覧許可を申請する。数分後、スキルブックを閲覧するための部屋に通される。スキルブックは鎖で繋がれていて、さらに監視官まで付く。
つい最近にやらかしてしまった偽金貨を見破るため、鑑定のスキルは有用なのか再度確認する。
「鑑定。鑑定。あった。対象に触れることで鑑定が可能。対象に妨害や改竄のスキルが使用されていた場合、スキルランクが高い方の結果が得られるか。つまり…鑑定スキルを使っても100%信じられるわけじゃないのか…」
それから話術や格闘なんてスキルも調べたが、スキルなんて便利なものアレもコレも全部欲しくなっちゃう。危ない、危ない…。
気を取り直して、今回必用になる【暗視】スキルと【隠密】スキルについて調べる。
【暗視】… 暗闇の中で昼間のように当たりを見渡せる。鮮明度と範囲はランクにより変化。
【隠密】… 限りなく気配を消した行動が可能。効果はランクにより変化。
なるほど…。これは白姫狐の寝顔を見るために役立ちそうだ。
「あ、ありがとうございました」監視官にお礼を言って退室する。
屋敷の自室に戻りベッドに座り、ギルドカードをポケットから出す。鑑定を選択して…あとは決定するだけだ。ゴクリ…。何故かスキルを選択するときって緊張する…。
うん? ノアの横にいつの間にか、タムリンが座っていた。
「い、いつのまに!? 驚くから無音で入ってきちゃ駄目!」
ブルンブルンと首を横に振るタムリン。コンコンとノックのゼスチャーをする。
「あっ。ノックしたけど…ノアが気付かなかったみたいね。ごめんなさい」
理解ってもらえて嬉しいのか、ニコリ笑うタムリン。くっ。相変わらず可愛いです。
「今ね。【暗視】スキルを取るところだったんだよ」とギルドカードを見せたら、タムリンがピッと決定してしまった。
「あっ…。ノ、ノアが押したかったのに…」
どうしたのとばかりに首を傾げるタムリン。もう可愛いから許す。
今度は【隠密】スキルを選択して、タムリンに押されないように自分で押した。後は、実際に試すだけだ。
それはそうと折角のお休み。タムリンも遊びに来ているし、街を案内してもらえないか頼んでみた。だけど、どうやらメイドのタムリンには休日がないらしい。なるほど…。でも、買い物に行くから、一緒に行く? と誘われた…と思う。
「うん。買い物に連れて行ってくれるの?」
タムリンはコクリと頷いた。