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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【ゲームブック】仄暗い底に君はいる

作者: RAMネコ

1:仄暗い底に君はいる。皮ベルトを銃身に通した機関銃を腰だめに、手投げ弾を幾つか、そして装甲を着込み、割れた照明の下にいる:2


2:背には友が、恐怖が、ついてまわる。穢された要塞から脱出しろ。

バンカーへ:3

トレンチへ:4


3:砲撃で崩れた小屋、泥で隠された看板、夜に沈むそれから音を聞く。番線が、有刺鉄線の軋み、水気のある腸が、あるいは湿る死体袋。爛れた、垂れた皮肉の呻きが下半身を大腸、あるいは小腸に代えて這い寄る!:5


4:聳える土留めの壁の道、跳ねる泥に糞が混じる腐った水。レインコートに雨に叩かれる。息の浅い背中の友には悪い。急げ、生かして脱出するべきだ。トレンチに落ちた戦車が道を塞いでいる。野砲に、小銃徹甲弾に穿たれたそれは、血を流しているように、悲鳴した:6


5:深淵から這い寄る死に損ない、あるいは哀れな犠牲者が君を、潰れた眼球で確かに見つめ、補足する。溶けた唇が糞塗れの軍靴へ噛みついた。

出来損ないの頭蓋を砕く。

悪霊の群れだ、焼き払え。

奴らはどうやらもう動かない:7


6:君は息を呑む。ーー生きている!砲が異音と動き、背後の土留めを吹き飛ばす、土石が君を呑む。

土石を払え、思考を叩き戻せ。

閉鎖機が閉じた!撃ってくる!

塹壕が捩れ直線だ、逃げるな。

手投げ弾を破口に捩じ込む。

静かだ……:8


7:死への誘いを振り切った君は、歩く。少し、蝿がたかる友がズレたのを直す。ヒビ割れた肌は潤いを知らず、固く乾いた軍靴が鉄の薔薇を踏み越える。


8:沈黙した鉄の水槽からは、燃えるような弾ける音、悲鳴が聞こえる。雨に打たれて錆びたそれは冷たく、風を震わせる声はどこにもないのに、そう聞こえ、消えた。

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