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少年の幸福  作者: 結ヰ織
【第2章】
28/31

第28話 少年の目覚め2

 優さんは田所さんとの電話を終わらせこっちに戻ってきた。表情は少し曇っていて翔太の件以外に何か問題が起きたようだ。何があったんだろうか……。


 「何かあったんですか?」

 「あー、いやー、二日の猶予貰って本当は明日も休みのはずだったんだが、急ぎの事件が起きたらしくて明日から仕事に復帰することになった」

 「そうですか……。やっぱり警察官の仕事は大変ですね」

 「本当にそうだよ。まぁ休暇の日と時間が許す日は寄らせてもらうよ」

 「ありがとうございます」


 猶予を与えといて急に呼び戻すということは何か大きな事件なのだろうか。この町に住んでいる以上気になるが、優さんに訊いても一般人に情報は流せないだろう。その事件が落ち着いたら教えてくれるかもしれないが、まぁ取り敢えずはいいか。


 「取り敢えず、今日はすることもないな、翔太君が起きるのを待つとして何かすることはあるかな?」

 「そうですねー、今の所は特にないですね」

 「そうかー、ただ待つのもあれだしなぁ……。そうだ、家の中探索させてもらっていい?」

 「え、あぁ……。別に良いですけど」

 「ありがとう、どこか入って欲しくない部屋とかあるか?」

 「なんですかそれ?別にないですよ」


 部屋の探索?なんでそんなことをするのかわからないが、何か危険物でも家に持ち込んでいるとでも思われているのだろうか。嫌、信頼どうこう言ってた優さんが今更そんなことを疑うとは思えない。意図はわからないが、別にみられて困る物はないし断る理由もない。


 「わかった」


_______________


 この家には俺が助けることの出来なかった桐島陽太君の部屋がある。どこの部屋かはわからないが、俺には見ておかないといけない現実がそこにあるんだ。もう片付けられて空き部屋になっているかも知れないけど、まだあるなら見ておかないといけない。


 真人君に直接部屋の場所を訊くわけにも行かず部屋を片っ端から開け中を見て行く。


 一番奥側の部屋を開けるとそこは多種多様な物が散乱し部屋一帯が物で溢れかえり、もう何十年とこのままであるようで、元は誰かの部屋であった様子ではなかった。

 この部屋ではなかったか、そんなに部屋数があるわけではないし、端から開ければいずれ見つかるだろう。


 物置部屋であろう扉を閉め隣にある部屋の扉を開く。

 この部屋は多分、真人君の部屋だ。生活感のある部屋でタバコの吸い殻が机の上に置いてあるし、少し露出度の高い女性のポスターや雑誌があったり、一般的な男の部屋って感じだな。真人君にも悪いし、あんまり中を漁るのは止めておこう。


 ゆっくりと扉を閉め反対側を除けばこの側最後の部屋を開けた。中は幼い子供が暮すような小さなベットや勉強机、ランドセルが置かれていた。


 この部屋が桐島陽太君の部屋であろう。

 

 ここが、桐島陽太の部屋か……。幼い子供が好きそうな漫画やゲーム、そしてランドセルがあって改めて桐島陽太君がまだ幼い子供であったことを実感する。こんな幼い命を救えなっか、本当に改めて実感し、自分が不甲斐なさすぎて悔しく思う。


 「すまなかったね……。桐島陽太君、俺がもっとしっかりしてれば君は死なずにすんだのに……。本当にすまなかった。今更謝っても君は納得できないと思うけど、これから君のお兄さんの大切な者を再び失わせない為に頑張るから見守っていて欲しい」


 俺の気持ちが桐島陽太君に伝わるといいな。


 それにしても生活感がある感じがするな。真人君この部屋で寝たりしてるのかな……。あ、いや、翔太君が使っていたのか。真人君からしたら桐島陽太君も柳場翔太君も大事な弟と思っているんだろうな。真人君の大事な弟をもう失わせはしない。


 「優さん、お昼作りましたけど」

 「あー、ありがとう。今行くよ」


 それじゃあ……。頑張るから



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