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少年の幸福  作者: 結ヰ織
【第2章】
26/31

第26話 共有情報

 突如再び現れた田所さんの部下の滝川さんを迎え共に協力して翔太を守ることが決まった。まだ完全には信用したわけではないが、利用価値はいくらかある。本当に協力してくれるならそれでよし、何か裏があるなら人質として使える、この人は居るだけで利用できる。警察の動きを流してくれるというらしいが、その情報の詳細は少なくとも嘘かも知れないということも考えながら頭の中に入れていかなければならない。そう考えると、考えることが増えて負担も増えたが気がするが、利用価値の方が大事だからそれも仕方ない。


 「今日はこれからどうするんですか?明日も仕事だと思うので帰られます?」

 「いや、実は真人君を説得するのに猶予を二日間貰ったんだ。だから明日、明後日と休みだ。まぁまさか当日に説得できるとは思ってなかったよ。ありがとう」

 「いえ、滝川さんの熱意に納得させられました」

 「ハハ、少し恥ずかしいな」


 翔太しかいなかったこの家に誰かがいて話をするというのは久々な感覚だった。それより俺は何とか今は警察管である滝川さんを受け入れてははいるが、翔太が目覚めた時にどうやって説明すればいいのか。翔太はそう簡単に受け入れる事は出来ないだろうな。警察官のトップである父親の存在が気掛かりになって受け入れられないだろう、それに信用することも出来ないと思う。どうしたものか……。


 「どうかしたか?」

 「いえ、滝川さんのことをどう翔太に説明しようかなと思いまして……」

 「あー……。確かに翔太君の父、柳場孝造は警察の警視監だからな」

 

 そう言えば翔太の父親の名前初めて知ったような気がする。柳場孝造か……。こいつが翔太を!


 「翔太の父親って警視監だったんですね」

 「知らなかったんだ。まぁ、そうだよね」


 正直警視監という位がどの位高いのかはドラマで何となくわかった。かなり高い位だ。本当に事件ごと俺のことを揉み消してきそうだ。もし対面したら慎重に行動した方がいい。簡単に俺のことを殺そうとしてくるだろう。もしもの準備は怠れなくなった。


 滝川さんから柳場孝造の詳しい情報を訊いた。姿や柳場孝造の周囲の人間と実は裏との繋がりがあるという噂があるという話。だがそんな噂を誰も気にせず警察のほぼ皆が皆、柳場孝造を称えついて行っている。全交番勤務も警察も全てがいま柳場孝造について行き翔太を探している。見つかるのは本当に時間の問題かも知れない。


 「心配はいらないよ。俺が警察の動きを警戒しつつ情報を君に教えるから」

 「頼りにしてます。滝川さん」

 「(ゆう)でいいよ。俺の下の名前優だから」

 「わかりました。優さん」


  夜も遅くなり九時を過ぎた。話が長引いて夕飯はまだ食べていなかった。手料理を作ることも出来たのだが、男が男に料理を作るというのは少し恥ずかしくリビングにあるカップラーメンを複数個取り出し、優さんの分と俺の分を食卓の上に置いた。


 「好きなの選んでください」

 「俺は塩かな。真人君はカップラーメン好きなんだな、俺も最近カップラーメン食べてて、家に大量に買いだめしてあるんだよ。知ってる?何か限定版の豚骨ラーメン」

 「もしかして職人直伝超濃厚豚骨ラーメンですか!?」

 「確か、そんな名前だったような……」

 「本当ですか!俺、ずっとそれ食べたかったんです!売ってください!」

 「ハハ……。明日持ってくるよ」

 「ありがとうございます」 


 その後、カップラーメンを食べながら俺がどんだけカップラーメンが好きか熱談した。優さんは職人直伝超濃厚豚骨ラーメンを食べて美味しいと思ったらしく未だ食べていない俺に味を鮮明に教えてくれた。訊くだけ本当に美味しい物であることが伝わってくる。早く食べてみたい。


 ひとしきりカップラーメンの話題で盛り上がって優さんは今日は帰った。明日は朝から職人直伝超濃厚豚骨ラーメンを持ってきてくれるらしい。楽しみに待ちながらリビングに敷いた布団で眠る翔太の横に寝転ぶ。相変わらず眠っている。何故だが明日の朝には目が覚めてくれるようなそんな気がした。確証はないが、なんだかそんな気がしたんだ。


 そんな確証の無い思いを胸に翔太の身体に手を置き眠った。


_________________


 桐島真人に過去の事件のことを隠して本当に良かったのだろうか?

 でも話していたら信用以前の問題だ。

 でももし、桐島真人が知ってしまったら関係は悪化するだろう。

 気を付けなければならない。


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