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少年の幸福  作者: 結ヰ織
【第2章】
17/31

第17話 真意からの覚悟

 裏通りの隙間から薄っすら照らされる少しの光で目が覚めた。一体どれくらいの時間この場所で気絶するよう寝てしまったのだろうか。そこまで明るくはないが日が少し昇り始めている。寝る前は大体二十三時位だったはずだ。携帯を見て時間を確認すると時刻は夜明けの四時半位になっていた。約五時間位もこんな裏通りの地面で眠ってしまった。腰と背中が少し痛く感じ背中を優しく叩き大きく伸びをする。昨日受けた暴行の痛みではなくコンクリートの上で何も敷かずにそのまま仰向けに眠っていたのがこの痛みの原因だろう。


 しかし俺が眠っている間に何も無ければいいが。財布に携帯、家の鍵となくなっているものは特にはない。ところで翔太は大丈夫だっただろうか。五時間という長い時間を一人で俺が起きるのを待っててくれているはずだ。……った。


 俺の横に短い茶色い髪の上に硬いキャップ帽子を被り更にその上にプルオーバーパーカー付属のフードを被り、犬のように丸まるようにして眠っている少年の姿があった。翔太は昨日確か周囲の警戒をしてくれると志願してくれたのだが、しかしまぁ翔太はまだ十一歳の少年だ。ここで〝何寝てんだ”と怒るのは全く違くお門違いだと思う。取り敢えず無くなったものは無いかと今一度確認を改めて行う。財布の中身の札類の枚数とカード類は特に問題なかった。鍵は家の鍵一つだけと特に問題なく大丈夫そうだ。


 そろそろ日が本格的に昇ってきそうな時間だし翔太を起こして早いうちに家に戻った方が良さそうだ。幸いここから家まではそこまでの距離じゃない。


 「おーい翔太早く起きろー、日が昇っちまうぞー」

 「う、うぅ~ん、おはよ、兄ちゃん」

 「おはよう、じゃないぞ。早く帰らないと日が昇り人が多くて帰れなくなるぞ」

 「あっそか、僕寝ちゃったんだ……。周囲警戒してるって言ったのに寝ちゃった。兄ちゃんごめ……」

 「まぁいいよ、特に問題なかったし、結果オーライってやつだ。それに俺が眠らなければこんな処で一夜を過ごさないで済んだんだ。お互い様だよ」


 多分翔太はかなり落ち込んでいるようだ。少しでも俺の役に立つために自ら周囲の警戒に志願して頑張ろうとしていたのだろうが眠くなって寝てしまい、自分の不甲斐無さを実感してしまっているのだろう。俺は別に翔太は今のままでも俺の為になっていると思っている。朝食や昼食を作ってくれたり、部屋の掃除だってやってくれる。自分が役に立たないなんて思ってほしくないな。だが、今は話す言葉が見つからない。今は翔太を慰める前に急いで家に帰るのが先決だ。


落ち込み気味な翔太の手を取り今いる裏通りから表通りへと警戒しながら出て行く。早朝、朝四時過ぎという事もあり、朝早起きな老人が散歩していたり、運動がてらジョギングしている人がちらほらといるが特に俺と翔太のことを気にしている人いない。それに五時間という長期な時間が過ぎている。さっきの警察官の人もどこかに行ってしまっただろうから、一先ず安心して帰れる。


 特に問題はなく家の玄関を越えることが出来た。五時間と寝てたとは言えコンクリートの上で寝ていたせいか未だ少しの眠気を感じる。翔太は家の戻ってくる間に、いつの間にかいつのもような笑顔を見せるちおうになっていた。


 「俺はも少し寝るが翔太も寝るだろ?」

 「うん、僕もまだ眠いから寝るよ」

 「じゃあ、またこの前みたいにリビングで一緒に寝るか」

 「うん」


 昨日同様にそれぞれの自室のベットではなくリビングに布団を敷き翔太と横並びなって互いにそれぞれの布団に入った。翔太は窓際の方に横向きながら、俺は逆の方を向きながら特に理由もないとは思うが互いに背を向けながら寝に入った。背後ろから寝息が静かに聴こえてきた。翔太は既に寝てしまったようだ。俺も眠気に早く寝たかったのだが、昨日会った警察官のことが気になり始めた。その警察官は確かに何処かで会ったことがあるような気がした。でもそれが何処かは思い出せなかった。


 向こうも俺の見覚えがあるようだった。そうなると、俺の家のここの住所を知ってるかも知れない。田所さんにあの警察官と言い、かなり現状は厳しく危険な状態だ。いつこの家に乗り込んできてもおかしくない。それ対策としてこうして守れるように翔太と一緒にリビングで寝ているわけだが、早いうちにこの家を捨てて逃げることになりそうな気がする。


もし、そうなえれば俺が翔太をしっかりとリードし守っていく覚悟を持たなければならない。なんとなくな未熟な覚悟ではなく真の真意からの本当の覚悟を……。

 

 その時が来れば相手がどうなろうとも翔太を守る。

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