第14話 未熟な覚悟
俺は警察官の田所さんに翔太の居場所を訊かれたということ翔太に話、それに対し翔太は酷く怯えその場で静止してしまった。無理もない状況は最悪、一番バレてはいけない警察の人間に気づかれたんだ。翔太の父親の耳に翔太の居場所が届くのにもうそう時間は掛からないだろう。そうなれば翔太を連れ戻しにこの場所に来る。又は殺しに来るなんてことも……。
やはり、もうこの家から逃げた方がいいのか。いや今更行くところもない、翔太がいる以上新たにアパートやマンションに住むことは出来ない。外で野晒しな環境で暮らすなんてことは最終手段ではあるが今は論外だ。危険を承知でこの家に住み続けるしかない。だがいつ何があってもいいように外で暮らすに必要な物の準備はしておこう。
それよりも今は翔太の正気を取り戻すのが先決だ。怯え震えている翔太の頭をあやすように優しく叩く。
「大丈夫だ、まだ多分確認の段階だと思う。何があっても俺が守るから、安心しろ翔太」
「で、でも……。警察官だよ」
「誰が相手何て関係ないよ。俺が翔太を守りたいんだ」
「ほんと……?」
「あぁ、任せろ」
翔太は落ち着きを取り戻し、流れていた涙が止まって目に留まっていた。その潤わせた瞳で俺の方を見てきた。俺は翔太の頭から手を離した。
「よし、じゃあ取り敢えず昼飯食おうぜ。カップラーメンまた作り直さないとな」
「そうだね、今度は僕が作ってくるね」
「あぁ、任せた。俺は何があってもいいように準備してるから」
「うん」
俺は物置部屋に行きもしもの時のの為の用意をしに行き翔太はキッチンにカップラーメンを作りに行った。物置部屋から使ってないブランケットを二枚取り出し、後は救急用の物と適当にタオルを何枚かをカバンに入れる。もし出て行くことになっても取りに帰る事は出来る。持ち物は最初は最低限で軽くした方がいい。逃げる時に邪魔になるかもしれないからだ。準備を整え終わりいつでも持てるように玄関にでも置いておく。
翔太がリビングから俺を呼んだ。どうやらカップラーメンが出来たようで、声の方に向かう。塩のカップラーメンがテーブルに二つ並べられていて、翔太の向かいに座りカップラーメンを食した。
お昼を食べ終えた後はすぐにでも警察の部隊が突入してくるかも知れないと警戒をしながら普段通りに生活をした。ゲームして夕飯食べてお風呂に入って、夜間の散歩を毎日のルーティーンにするつもりでいたが今日の田所さんが来たこともあり、今日の散歩は止めた。そのまま今日は警戒の意もありリビングで二人一緒に寝ることにした。
リビングに二人分の布団を横並びに敷き布団に入った。
「おやすみ翔太」
「兄ちゃんはまだ寝ないの?」
「いや、俺も寝るよ」
寝るとは言ったが俺は起きてるつもりだった。俺等が寝た頃に侵入されるという可能性がある。だが、翔太が寝たのを眺め見ていたらいつの間にか俺も眠ってしまった。しかも、神経疲れしていたのか、長時間に渡り眠り起きたのは昼間の十二時を五分過ぎた時だった。
「あぁー、流石に寝すぎた……。頭痛て……。しょ、翔太は!?」
隣に敷いてあった布団は綺麗に畳まれていた。
「兄ちゃん……。流石に起きるの遅いよ!朝食がお昼になっちゃったよ」
「あぁ、すまんすまん。ついでにお昼ご飯も作って貰おうかなぁ……。なんて」
「はぁ……。わかった、僕が作れるモノでいいなら」
「お、おう」
寝起きで何もしたくないという気持ちで何となくお昼を翔太に頼んだのだが、了承されてしまい困惑する。翔太には悪いと思い寝起きの感覚と寝すぎて頭の痛いなか、起き上がり洗面台に急ぎ顔を洗って翔太がお昼を作っているキッチンに急いで戻る。
戻ると少し機嫌の悪そうだった翔太に少し笑顔が戻った。このまま一緒にお昼を作り一緒に食べた。それから夜までいつものルーティーンに過ごし、今日は夜中の散歩に出掛けた。




