道中馬車の中
「はぁ……」
馬車に揺られながら私は何度目になるかわからない溜息を吐き、その溜息を聞きまた憂鬱になるのです。
原因はわかっております。レオン様です。
私は女でありながら王国内では私に勝てる男がいない状態で、結婚するかたは私より強い人と思っていました。
最初に剣を交え受け止めてくれたレオン様、勇者の聖剣の力だとはいえ、レオン様にしか使えない力なのだから、それはレオン様の強さです!
いえ、違いますね、私はレオン様に惚れてしまったのです。惚れてしまえば強さにこだわった昔の私がなんと愚かな事か。
なんとか距離を縮めようとしているのですが日に日にレオン様の心の壁が分厚くなっているような気がします。
でもレオン様の気持ちもわからなくもないのです。
少し前まではただの村人で、何も無ければ村人のまま人生を終えていただろう少年が、いきなり王国を救えるかもしれない勇者です!と言われて村を出なければならなくなった。
私なら耐えられませんわ!
だからこそ私が心の支えになりたいと思うのですが、これは私のお節介で一方通行に思いなのでしょうか?
あぁ…レオン様…
私も訓練に混じって歩いて行こうかしら?
仲良く喋るウォルフォードが羨ましい!憎い!
私のモヤモヤした気持ちを知ってか知らずか、いや知っていてあんな煽る態度を取っているのですわ!
ああああああ
そうだわ!フリーランでは、ほとんど部屋から出られなかったから本を何冊か見繕ってもらったのよね!
今まで恋愛小説なんて読んだ事なかったけれど、今の私ならのめり込むと自分でもわかるわ!
さて、次の街に着くまでゆっくり読みましょうかね。
あぁ……レオン様……いつか私の……