王家の意向
「弓兵構え!!!放て!!」
日に日に数が多くなってるぞ……
出口は1つしかないから待ち伏せしていれば今はよくてもこのままでは…
生き残った諜報兵の言う数のゴブリンがいるとしたら、そのゴブリンが雪崩れ込んできたら、ここにいる戦力だけでは無理だ……
ウォルフォード隊長……早く王都からの援軍を…どうか早く…
「副隊長!失礼します!」
「ん?どうした?」
「王都からの伝令です。第一王女エリーゼ様が帝国の現状把握する為、使者としてこちらに向かっているとの事です!」
「っ!そうか!!そうか……報告ご苦労だった!戻っていいぞ」
「ハッ!失礼します」
あぁ……よかった……
「レオン、お前は王国最強の騎士にならなくていいんだ。ゴブリンどもはおそらくそんなに強くはない。数が多いんだ。俺がお前に求めるとしたら一撃の重さではなく、斬り続ける事の出来る持久力だな」
そうウォルフォードさんに言われ辺境へ行く騎士団と一緒の訓練に参加する事になったのですが…
「もっと腕を振れ!あんまちんたら走ってっと猪連れてきて追いかけ回させるぞ!よーし!順位が半分以下の奴は、もう5周追加だ!そしてその半分以下はもう5周追加する!死ぬ気で走れ!」
訓練………厳しすぎです。
しかし東の辺境へと出発するまで2週間しかありません。
移動中も体力作りを中心とした訓練をするつもりだが、集中して訓練する為この期間を逃すわけにはいかないのです。
そして聖剣についてもいろいろと判明したことがあります。
まず思い出したくもない苦痛だった筋肉痛。聖剣には自分の限界を突破して体を動かす事が出来る能力があるようなのです。
そしてそれは聖剣を身につけていれば有効です。
しかし無敵ではありません。
聖剣が払い飛ばされたりすれば、戦闘中に痛みで動けなくなるので、剣術のうでも上げていかなければなりません。
絶対に聖剣を手放さないように。
その事実が判明してから僕は聖剣を肌身離さず持っています。寝る時も、着替える時も、食事する時も、お風呂に入る時もです。
この能力を話した時に、エリーゼ様が本気で真っ直ぐ斬りつけて来たのを受け止めさえしなければ、こんな生活にはならなかったのにと心の中で恨み言を叫んでいます。
王家からある決定が布告された。
帝国に隕石が落ちた事は事実であり、それにより帝国への出入りは制限されている。
王国から第一王女エリーゼ・スクルテイラーが使者として帝国に向かう事、そして王都と東の辺境の間にある街に寄る事などが書かれていた。
「レオンの事は伏せる事にしたんだな。帝国と国境で小競り合いが始まったから軍を出すシナリオの案もあったんだがな」
「こんな大々的に発表して大丈夫なんですか?」
「ん?なにがだ?」
「だってエリーゼ様が襲われ…………て……問題なさそうですね」
「だろ?」