王都到着
「う……うぅ……」
「お?起きたかのぅ?」
「おはようございますフォルテニクス様」
「もう王都に入っておるぞ、窓の外を見てみよ」
そう言われて寝起きの目を擦りながら窓の外を覗いた。
「うわぁ!すげぇ!」
王都の街並みは凄いの一言だった。
まだ朝早いのに既にココ村に住んでる人数以上の人達が歩いている。
花の匂い、焼きたてのパンの匂い、焼きたての肉の匂い。
「これが王都……」
「そうじゃ、そして奥にあるのが今向かっているスクルテイラー城じゃ」
目線を奥にやるとそこには真っ白な城が堂々と存在していた。
大きな城門、その4隅には大きな塔が建っている。
「すげぇ!!」
心の声をそのまま叫んでいた。
村で生きていく中で、どうしても大人にならないといけなかったレオンは今、誰が見ても年相応の顔で笑っていたのだ。
「報告します!フォルテニクス様、ウォルフォード様、勇者レオン様が王都に入ったようです。数刻もせず王城に到着予定です」
「報告ご苦労。持ち場に戻ってよいぞ」
「ハッ!失礼します」
ロベルトは報告を聞いた後、一口紅茶を飲み喉を潤した。
「ということだ、エリーゼ。勇者が到着するが会うのは明日だ。今日接触するのは避けるように」
テーブルの向かい側に座っているエリーゼは飲みかけたカップを一瞬止め、何事もなかったかのように口を潤しカップをソーサーにもどした。
「わかっていますわお父様。馬車移動で疲れているでしょうからゆっくり休んでいただきたいですわね」
「それならよい。さて勇者には会えぬがフォルテニクスとウォルフォードは到着しだいここへ来る。今後の方針を決めるのは明日の結果次第だが、これまでの情報を共有しておく。特にエルメス、お前は時期国王になる者だ。よく見ているように」
エリーゼの隣に座っている青年、第一王子エルメス・スクルテイラーに目線をやる。
「はい!お父上の仕事を間近で見て学ばせてもらいます」
王族の証である金髪に容姿端麗な彼は誰もが好印象を抱くであろう笑顔を向けて返答した。
トントン
扉がノックされ、私が返事をする前に扉が開いた。
「よう!ロベルト!ここに居たか!探したぞ!」
「またそれかウォルフォード!それにお前は場所を聞いて真っ直ぐこちらに向かって来たはずだ!」
「ちっ!つれねーな!」
「ふん!それよりも無事帰ってきて何よりだ。疲れているだろうがもう少し我慢してくれ。さぁそっちに座ってくれ」
息子達を自分側に座らせ、ウォルフォード、そして一緒に入って来たフォルテニクスとアルバートには向かいの席に座らせた。
「さて、情報の整理といこうか、まずはアルバート!明日の段取りを含めて説明を頼む」
「すっげぇ!!このベッド!!フカフカだ!両手広げてもまだ余裕がある!!すげぇ!」
案内された部屋の豪華さに興奮を抑えきれないレオンは、周りの緊張を知らずにベッドの上に飛び込んだのだった。