熊野うずめVS名草戸畔
これは今後有るかもしれない世界線、最近出番は無いですが名草戸畔は和歌山県の領主です。
一年前に、ここだけ戦姫絶〇シンフォギアを書くと約束していたので居るかも分からないファンのために公約を守りました。
熊野歴Ⅹ年Ⅹ月
熊野さんが娘を相手にしたら親心から本気になれないとの事で、組手の相手を和歌山南部の領主である名草さんに依頼した。俺もうずめを本気で殴る事は出来ないから気持ちは分かるが、名草さんは霊長類最強女子と名高いうずめを相手にして大丈夫かな。名草さんは武闘派ぞろいの名草軍の棟梁だ弱いと言う事は無いと思うが……
俺の予想以上に名草さんは強かった。歴戦の感かうずめの攻撃は、手持ちの船のオール(櫂)の様な物で巧みにいなされ、有効打入る事は無かった。やはり戦闘は体格の差が大きく出るな。
瞬く間にうずめは殴り倒され、ボロ雑巾の様に地に伏していた。
名草さんは容赦ないな。これは名草式のスパルタ教育か?
「お前の攻撃は軽いんだよ、何を持って立ち上がる、何を持って力と変える、アタイ達領主一族には多くの命が乗っかって居る。そう簡単に地に伏す事は許されないんだよ!! 中途半端に戦って不完全燃焼だ、坊主で良いからアタイの相手をしな、火照った体じゃ寝れやしねぇ」
「もう少し若い人の申し出だったら、喜んで相手を申し込むんだけどねぇ」
「そっちの話じゃないよ馬鹿野郎、四の五の言わずに準備しな。ぶっ殺すよ!!」
「やらせない、おにいちゃんは私が守るんだ…… お父さんごめんなさい、禁じられた技を使うよ――熊野午王宝印」
うずめの体から凄まじい魔力が溢れ出し、何かの形に形成されて行く。タケミカズチやリョウメンスクナとか強い奴は第二形態を持っていたが、まさかうずめにも有るとは思わなかった。
「こっ…… この小娘からあふれ出て来る凄まじい魔力は何だ。一体何を纏って居る。これは人が生み出せる物なのか? 一体お前は何なんだ!!」
「ごずてんのうぅだあぁぁぁぁ」
牛頭天王はスサノオの化身とされて居るが、熊野本宮大社では熊野権現がスサノオと同一視されているよな。まさか熊野家秘伝の技だったとは思わなかった。しかし、スサノオって良い噂を聞かないよな? 何だかイヤな予感しかしないんだが……
うずめから黒いオーラの様な物が立ち昇る、そのオーラはうずめ自身の陽属性の魔力と交じり合い相乗効果を生み出して居る様に見えるが、ありゃ完全には制御出来てないな。
「なめんじゃないよ、小娘がぁぁぁ」
名草さんが武器としているオールを使い強烈な一撃を叩きこんだ。
対するうずめは軽く片手を挙げてガードすると、名草さんのオールは雷鳴の様な轟音を立てて砕け散った。これがパワーファイター系の魔力持ち同士の戦いかよ。
「うがぁぁぁぁ」
うずめのショートアッパーが名草さんのボディに突き刺さり、名草さんの体がくの字に折れ曲がった。
「まだまだぁぁぁぁ」
名草さんの膝がうずめの顔面にめり込むが、何故かうずめは地面に根が生えた様に動かない。
うずめは名草さんの膝蹴りを放った足とは逆の足を取りねじり込む様に押し倒した。
ありゃ、倒されるか膝を破壊されるかの二択を迫られるな。名草さんは流れに逆らわず受け身を取りながら倒れ込み、お釣りとばかりにうずめに蹴りを放つ。
うずめは蹴りをくぐる様にかわして、名草さんの背後を取って裸絞めで首を締め上げた。
完全に決まった裸締めは相当な腕力の差が無いと返せない。
名草さんは激しく転げ回りうずめを引きはがそうとするが、その思いは敵わず意識を手放した。
俺はうずめの肩を叩き勝負が着いた事を伝えると、うずめも緊張の糸が切れ意識を手放した。陰属性魔法は体力を激しく消耗するから、体が成長しきって居ないうずめには危険な技だな。戦闘の最中に電池切れを起こしたら死有るのみだ。禁じ手とされるのも頷けるな。
反発する陰陽の属性を組み合わせると相乗効果を生むのは勉強になったな。少し練習すれば俺も使えるかもしれない。有難くパクらせてもらおう。
熊野牛王宝印は熊野本宮大社で売られているお札で、江戸時代では証書に嘘偽りがない事を神に誓う為に証書の包み紙に使われた。神使で有る八咫烏が書かれている。
天王洲とかの地名は天皇では無く、牛頭天王の事で主に関東から東北地方で信仰されている土着の神である。岩手の蘇民祭が有名だが、何故か伊勢の正月の注連縄飾りには蘇民将来の札が付いている。