三ページ目
通されたのは大広間。
そこには白いテーブルクロスのかかった長いテーブルがあり、人数分の椅子とお茶が淹れてありました。
「自由に座っておくれ」
そういって、王は一番豪華な椅子に腰かけました。
その左にバビラさんが立ち、右に姫が座っていました。
私達は戸惑いながらも席について、全員が座ったところで王様が切り出しました。
「さて、もう察しておるとは思うが、ここはそなたらのもと居た世界ではない。そちらの言葉で言うなら、いわゆる『剣と魔法の世界』というところだ」
クラスメイト達が少しだけざわついた気がしたような…、どうだったんでしたっけ、忘れました。
その後に王は何か言ってた気もしますが、混乱してたのでやっぱりよく覚えていません。
時間をかけたら思い出せるかもしれないけど、そんな時間もないので覚えている所から書きます。
「単刀直入に言おう。この国は滅亡の危機に瀕している。そなたらの力を貸してほしい」
「……質問してもいいでしょうか?」
手を挙げながら聞いたのは委員長の篠君。
「僕らの力を貸すといっても、僕らに何が出来るのですか?僕達はただの一般人で…魔法や剣術は愚か、大抵の者は馬にすら乗れません」
「その点は心配いらんよ。おぬしらのように別世界から召喚された者には、言語理解能力とともに自動的にひとつだけ魔法が与えられる。魔法の種類はランダムで、戦闘の役に立つようなものから使いどころの全くないものまで様々じゃが、それらはどれもこの世界の原住民より強大な威力だ。…分かりやすく言うと、この世界の者の魔法はレベル1からスタートだが、そなたらはここへ来た瞬間にレベル100なのだ」
みんながざわつきました。
「それで、私達は何をすれば良いのですか?」
そんな中、極めて冷静に紅茶を啜りながら発言したのは氷村藤華さん。
いつも冷静で落ち着いた、クールビューティーを地で行く美少女。
…そういえば、氷村さんは最期までクールだったなあ。
あんな死に方だったのに、泣き喚いたり惨めに足掻いたりもせずに。
ちょっとのことですぐ泣いてた私とは大違い。
…………話が逸れちゃいました。ごめんなさい。
王は言いました。
「一番は物資の調達。ダンジョンに潜り、モンスターを狩ったり自生する植物等を取ってきて貰いたい」
「あ…あのう…」
と、そこで手をあげたのは、意外にもクラスで一番大人しい斉藤蜜柑ちゃん。
舞ちゃんがよく面倒を見てあげていて、私とも仲良しでした。
「そ、それで…この国を救ったら……元の世界に帰して貰えるん…ですか…?」
「もちろんだ」
と。
ディスモニア王は嘘を吐きました。
後々氷村さんの絵を書き直すかもしれません。