義父母と鬼嫁のドリフな毎日~クモ編~
朝食を終え、義父が寝室へ引き揚げ、義母がリビングで新聞を広げていた時の事。
私がパソコンに向かっていると、ふいに義母がソファを立ち、何かを追うような仕草を見せた。手にはティッシュ。
「あ、もしやクモ?」と思った時には既に遅く、義母の手はクモに命中してしまった――「だめだこりゃ。」
おそるおそるティッシュを開くと、クモはつぶれて丸まっている……ごめんね、間に合わなくて。
築21年になるわが家では、時折サッシの隙間からクモやガ、ダンゴムシなどが室内に入り込んでくる。夏場が近づくとますますだ。いずれも人に危害を加えることはないし、クモはむしろハエなどを捕食してくれる益虫。なのでむやみに殺すことはせず、見つけたら専用のプリンカップとプラスチックシートで捕獲し、外へ逃がすことにしている。義母も何度となくその光景を見て知っているはずなのに……ひと声かけてくれればよかったのに……とことん学習しない人だ。
死んでしまったクモを「ごめんね」と庭へ返しながら、朝グモを殺した呪いがかかりますようにと祈る、毒グモのような鬼嫁であった。