指揮官、英断する。
響き渡るラッパの音に飛び起きる兵隊たち。
「敵兵に囲まれている、南側斜面の敵が多い!!全周囲防衛、重機、軽機、射撃用意!!数が多いぞ!よく狙って撃て!」
散発的な発射音が続く。
「くそっ!!倒れないぞ!!」
「頭を狙え!!一撃だ!!」
鉄条網に引っかかる敵兵を重機関銃の火線がなめる。
血煙が上がるがなおも倒れず進もうとする敵兵共。
丘の登頂部の陣地で双眼鏡を覗く連隊長は呟いた。
「う~ん、数が多いな。参謀、どう思う?」
「敵は進攻速度も遅く連携も取れておりません。しかし、ナカナカ倒れない。小銃弾では急所に当てないとダメのようです。」
「う~ん、散兵突撃なぞ効果が無いであろう、コチラが力尽きるのを狙って居るのか。」
「不明であります。敵前線もかなり延びておりますが、全て我が軍に向って来ます、何処かに敵司令機能が在る筈です。」
「う~ん、敵の司令部か~。観測所か~。」
「あ!」
陣地内でカニ眼鏡を操作している歩兵砲観測員の上等兵が呟いた。
「うん?どうした兵隊、何か気が付いたのか?」
いきなり連隊長に指名されて直立不動になる上等兵
「はい!連隊長殿!関係が有るか解りませんが、向こうの丘の上がボンヤリ光る時があり。双眼鏡で覗けます」
「ほう、それで?」
「はい、光った時見えるのが人が一人踊っている様に見えます。」
「それが?」
「はい、その風貌が昼間の敵榴弾砲の観測員と似た様な雨具を身に着けています。」
「ほほう!参謀、敵突撃兵に雨具を着た者は見たか?」
「昼間の敵観測兵は私も検分しましたが、少なくとも私が見た限り雨具を着た敵兵は突撃に参加していないようです。」
「ほう、ほう、う~ん、おい、砲兵、あの丘は狙えるか。」
「はい、連隊長殿!日が落ちる前に距離を観測してあります。山砲なら届くと思います。当てて見せます。」
「よし!砲兵!あの丘を砲撃し、敵観測点を無力化せよ!!」
次回、(´・ω・`)それを使わないなんてトンでもない。