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王妃イザベラ、家族を迎える。

夜も更けたころ王国軍の野営地に一台の荷馬車が届いた。

老将軍が、自ら出迎え、厳重な警備の中、ひっそりと荷を天幕の中へと導いた。

勝利の余韻に酔う王国兵に気が付いた者は少なかった。


「将軍、何ですかこんな夜更けに」

「王妃陛下、申し訳ございません。実はご検分を戴きたい方が。」

老将軍の厳しい顔に、王妃は不安にかられた。

「こちらの天幕へどうぞ。」

将軍の案内で天幕をくぐると粗末な箱が二つおいてあり。その上には…。王妃は不安が的中したのだと悟った。

「もうしわけございません王妃陛下。国王陛下と王子殿下と思われる御遺体を運びました。ご検分をお願いします。」


遺体は損傷が激しく顔も解らなかったが。

国王の指には見間違え様のない指輪と、手には何時も夫が気にしていた古傷の痕が在った。

王子の姿はどれほど変わっても自分の産んだ子、見間違える事など無かった。


その場でへたり込む王妃を支える老将軍。

「ご検分を、間違いありませんか?」

「ま、間違いありません。ううっ」

そのまま泣き崩れる王妃、すすり泣く声が天幕の中に響いた。


不吉な風が天幕の中をすべり、蝋燭の炎と影が酷く揺らめいていたかと思うと。


王と王子を乗せた箱がカタカタと音を立てて揺れだした。


老将軍は目を見開き驚くと、以前に見たことのある物だと思い立った。

「いかん!誰か!居るか!!衛兵!!衛兵!!」

「将軍!どうしました!」

叫ぶ将軍の声に天幕を守る兵たちが飛び込んできた。兵が見たのは、もはや生物とは言えないほど損傷した男が2人、粗末な箱の上から身体を起こそうとしている姿であった。

「おい!衛兵!!王妃を頼む!安全な所へ!!兵を叩き起せ!!油を持って来させろ!」

「あ、あなた!!あなた」

老将軍は錯乱する王妃を衛兵が取り囲み天幕から連れ出すのを見届けると。腰の剣を抜いた。

「国王陛下、王子殿下、申し訳ございません。この老いぼれも必ず後から向かいます。」

後ろの天幕とロープを切り裂き脱出口を作ると支える柱を蹴り倒した。

倒れる天幕と燭台。

老将軍が外に飛び出すと倒れた天幕の中にもがく物があった。

「早く!!油を!!」

油壷を兵から受け取ると物に向かって投げつけ、割れた壷の中身は天幕に染込み、倒れた蝋燭の火によって勢い良く燃え始めた。

『UGGGGAAAAAA。』

もはや人では無い者の叫び声なか、王妃が夫と息子の名前を叫び続けてた。


次回、(´・ω・`)おっさんだらけの夜の大運動会、(脳みそ)ぽろりも在るよ。

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