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王妃イザベラ、城を守る

ここ、フェルゴ王国では長い間、異種族との闘争に明け暮れ。

近年は魔王が率いる優勢な亜人種の軍勢に圧迫されつづけていた。


先の会戦では国王自らが率いた軍を魔王軍は突破し。

国王と王子は行方不明となっていた。


そしてついに、国王の留守を守るイザベラ王妃の王都に魔王軍の尖兵が押し寄せてきたのである。



イザベラ王妃は全ての城門を閉じ魔王軍と戦う姿勢を見せたが。

多くの避難民と王都の領民を持つ城塞都市では。いずれ大きな決断を下さざるをえない状態であった。


歴戦の将軍として数多の野戦を繰り広げ。歳を理由に後進の息子たちに道を譲ったが、祖国の思わぬ敗戦で再度軍務を申し付けられた老将軍。


将軍はイザベラ王妃の決断に猛然と反対した。


将軍「いかに祖国の興亡在りやと言えども。異界の軍隊を使役し。コレを持って魔王軍と相対するなど口頭夢想の所業。到底この時局を覆すコトにあたわず。」

王妃「召喚魔法の理論は、もはや確立しました、異界の最強の軍団を召喚せしめ、この時局を覆すコトに望みを掛けん」

将軍「軍とは国の礎にして思想の権現、異界の軍勢なればコノ常識を共有するモノにあらず。コノ国に大きな災いをもたらすモノになりましょうぞ。」

王妃「解っております。もはや、私の力は及ばない事態です、城門が破られれば、無辜の領民の命が無いのです」

将軍「それならば、少数の手勢にて脱出を試みれば。必ずや再起の機会に恵まれましょう!」

王妃「フフフ。王都が落ちれば汎人に再起の余力はありません。ただ、日陰に暮らし狩られるのみ。これは最後の機会なのです。」

将軍「自分は反対であります!!王妃の寿命と引き換えの、異界の軍隊など必要ありません!」

王妃「夫も死に、息子も死にました、残すのは、娘のみ。この子にツライ思いはさせたくありません。」

将軍「国王陛下も王子も、未だ行方も解りません、必ずや再起の可能性がございます!今一度ご再考を!!」

王妃「申し訳ございません、もはや決断の時なのです。後戻りは出来ません。」


王妃が断言すると。宮廷魔術師が「王妃陛下。ご用意ができました。」と告げる。

将軍の願いは届けられるコトは無く拒絶された。


広い王城の練兵場には宮廷魔法使いとその見習いの書いた巨大な魔法陣があった。

不安げなまなざしを向ける老将軍に、宮廷魔術師は。

「全て用意が整いました、後は、魔力を注ぎ起動するのみです」

「わかりました、早速行います。後を頼みます。」

王妃が魔力を注ぎ込むと、魔方陣は光り始め。光が収まる。

ソコには。まるで黒光する昆虫人間の様な軍勢が居た。

「おお!!成功した」鼻息の荒くする魔術師見習いをおさえ。王妃は異形の軍団に命じた。


「この城に害する軍勢を殲滅しなさい!!」


まるで、花の落ちる時間の様な沈黙があり。

先頭の昆虫人間が後ろを向き、雷鳴のような言葉が発した。

「親方様の下知である!!城外の敵を一人も逃すな!!」

「「「おう!!」」」

「根きりじゃ!!」

「みなごろしじゃ!!」

「者共!!討って出よ!!」


昆虫人間では無く、黒一色の鎧一式を着込んだ汎人の様だった。

ただ黒光りする鱗の様な全身鎧は、ただ異形と言う外無かった。

それからの異形の軍団は城門から打って出て、鬼神の如き勢いで魔王軍に襲い掛かった。

「一番槍!!」

「クビよこせ!!」

「カブト割りじゃー!!」

「はっはっー太郎座よ耄碌したな、切ったクビが落ちんぞ」

「ぬかせ!!次郎座!!首は重いで、耳だけ集めておるのよ!!どうじゃこの耳の数!!おぬしのように腰に首を下げておっては、ろくに動けまい!」

「ほっほ!ワシはメンコい首を討ち取ったのじゃ。このされこうべで酒を飲むつもりじゃ!」

「なるほど!!良いことを聞いたワシもメンコイ兵子の首を取るぞ!!」

「おおい、下手を打った!誰か楽にしてくれ!!」

「大将がおるぞ!!者共!出会え~!!」


巨大なオーガに群がる異界の兵士は暴れるオーガにまとわりつき。

まるで牛に群がる蟻の様に倒していった。

巨人の関節を抑え、仲間の兵の死屍をよじ登り、皮膚の薄い、関節裏や目や耳に刀を突き刺していった。


「はっは~名郎村の紋次郎が大将の首を討ち取ったり~!!」


亜人の返り血に濡れながら笑う異形の兵士たちはまさに魔王と見間違えるさまであった。


城の包囲が突破されると魔王の軍勢は城の包囲を解き汎人の兵を押し潰さんと集まってきた。


「おおう、新手じゃ!!者共!!油断めさるな!!」

「騎馬じゃ!!槍衾を立てぃ!!」


ケンタウロス騎馬団の襲撃に一瞬で槍陣形を整え、弓で牽制する。

突撃するケンタウロスに矢が刺さり半数が倒れる。


異形の兵士は突撃の剣をかわし走り去るケンタウロスに飛び乗ると白刃を立て、ケンタウロスの命を刈る。

土煙をあげてケンタウロスと供に倒れるが、何ごとも無かった様に走り去る異形の兵士たち。


「平八!!何をしとる。日も高いのにもう夕食ゆうげの用意か?そんな牡馬オンタなぞ固くて喰えんぞ。」

「馬の肉は甘くて旨いぞ、この際贅沢は言わんわ。ほれ、尻尾と尻の肉を取っておけ。」

『おおうい!!こっちにシシがおるぞ~!!』

「なに!!猪が居るなら早よ言わんか!!平八!今夜は御馳走ぞ!!」

「猪肉は脂っこいでなあ、猪汁は好きじゃが。」

「ほれ!平八!早い者勝ちぞ!シシを討つぞ!!」


城兵が3人がかりで倒すオークをまるでバターを切る様に倒していく


「手勢が多いぞ!!」

「ここが、ふんばり所ぞ!!」


数に勝る魔王軍は異形の軍勢を包囲したようだが一歩進む毎に亜人を刈る異界人に押され始めていた。

魔王軍の火炎魔法弾が炸裂するが火達磨になっても前に進む異界の兵に亜人たちは恐怖の表情を隠せなくなっていった。

「てつはうじゃ!!」

「火を消せ!!」

「水は無いぞ」

「血か小便を使え!!!」


ブラックウルフの首を一撃で飛ばし、首を拾って滴る血で火を消し始めた。


もはや、恐怖の広がった魔王軍には異形の軍勢と戦う意志なく、堰を切って逃げ出した。


「にげるな!!戦え!勝負はついておらんぞ腰抜けどもめ!!」

「逃がすな!!ねきりぞ!!親方様の下知である!!」


乱戦で随分と少なくなった異界の軍勢は逃げる魔王軍を追いかけ、背後から切りつけ、屍の道を作っていった。

双方が全滅するまでである。


イザベラ王妃の異形の軍団は王都を守ったのである。

大地に多くの屍をさらして。


次回、(´・ω・`)この話、終わるのか?いや、終わらせる事ができるのか?

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