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明かりが灯る  作者: Spark
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第九話 真実を告げて

 

 テレビにはスーザンとケビンが映し出された。泣き崩れそうなスーザンを、ケビンが抱き締めながら何か訴えている。

「何これ?」

私は思わず呟く。

「皆さん聞いてください!エディ・テーラーは自分の罪を私の父になすりつけ、そして殺したんです!」

彼女の叫ぶような声が耳に突き刺さった。2人の前にはいくつものマイクが並び、記者が何人も群れていた。

「これは・・・ちょっとやりすぎじゃない?」

演技としか言いようがないスーザンの訴えに少し苛立った私は電源を切った。こんなことをしてあの2人は結局何がしたいのだろうか。それから少しの沈黙が続いた。



「エディとスティーブって、連絡は取り合ってたみたい?」

無言が耐えられず、私は事件について話をしようと決心した。彼女は少し考えるような目線を見せ、私と向き合った。

「スティーブが刑務所にいる間はよく面会に行ってたわ。出所してからも何度か会ってみたいだったけど」

「仲は悪くなかった?」

「ええ・・・多分」

いつになく暗い顔になってしまった彼女は缶コーヒーに口をつけ、それを握り締めた。

「ねぇ、アスリーン。昨日あなた何も透視していないって言ってたわよね?」

「え?」

何か言いたげな、しかし言ってしまうのが怖いような顔で、レベッカは私をジッと見つめていた。

「レベッカ・・・」

彼女の顔を見ていると、嘘をついているのが耐えられなくなった。本当の事を言おう、そう心に決めた。

「実は・・・昨日ひとつだけ透視をしたの」

「何を、見たの?」

それは尋ねているのではなく、確認をしているかのような質問だった。彼女は私が嘘をついていた事を責める訳でもなく、ただ次の言葉を待っていた。

「彼の、スティーブの持っていたカギなんだけど」

言おうと決めたものの、なかなか言葉が出てこない。何を迷っているのだ、私はエディの無実を信じている。

「スティーブを刺した人は、黒いポロシャツを着ていたわ」

「黒の・・・?」

レベッカの頭の中に事件当日のエディの服装が現れたのは間違いないだろう。彼女はエディが黒のポロシャツを着ていたのを知っている。

「そう・・・」

「レベッカ・・・」

「もういいの」

私の言葉を遮り、コーヒーをもう一口飲んだ彼女は、その飲み口をジッと見つめている。

「私だってお父さんじゃないって信じていたいわ。でも、どうにもならないことってあるのよね」

かける言葉が見つからず、私は黙ってしまった。大切な友人がこれほどまでに落ち込んでいるというのに、ただ黙っていることしかできない。無力な自分に腹が立った。




 沈黙が破られたのは、それから間もなくだった。私の携帯電話が鳴ったのだ。

「もしもし?」

「おはようございます」

「ウィル?あ、おはよう」

「今どこにいますか?」

淡々と話す彼にいつものことながら少し嫌気が差したが、このまま沈黙が続くのも苦しいと感じた私はウィルに話を合わせる。

「レベッカと一緒にホテルにいるわ」

「そうですか。ちょっと署まで来てもらえませんか?」

「私が?電話じゃダメなの?」

レベッカを一人にさせたくなかった。何も話すことがないとはいえ、一人でいさせるわけにいかない。

「お二人で来てもらった方がこちらとしてはありがたいのですが」

「レベッカも?」

「はい」

私は彼女を見た。レベッカはコーヒーを一気に飲み干し、イスに掛けてあったパーカーを手に取った。

「・・・わかりました」

「それでは後ほど」

電話を切ると同時にレベッカが声を出した。

「ウィルなのね?」

私は視線を彼女へ移し、小さく頷いた。




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