雨、登校
三題噺もどき―はっぴゃくごじゅうきゅう。
しとしとと、雨が降っている。
さして激しくもなく、かといって大人しいわけでもない。
雨は嫌いではないが、濡れるのは鬱陶しいし、頭が痛くなるのも面倒だ。
「……」
今日は比較的マシな方かな。
自転車を漕ぎながら、軽めの頭痛に耐えている。
そう頻繁に薬も飲めないから、吐き気を催す程度まで行かない限り頭痛は耐えている。
「……」
最近、頭痛薬を飲むと唇が腫れるようになった。前はそんなことなかったのに。
その上のその腫れも何日か続いた後に、乾燥したような感じになるから。
何ともまぁ、面倒なのだ。あとたまに動悸のようなモノもする。気のせいだと思うけど。
「……」
ペダルを踏みこむ度に、合羽が捲れてスカートが濡れる。
酷くないからいいモノの、行く前から濡れていれば意味もない。
下校中なら、この程度の雨は合羽なんて着なくてもよかったんだけど……生憎登校のタイミングで、今から学校に行くと言う時間なので。
「……」
暑くて蒸れるし、濡れて意味もないし。
合羽を着るくらいなら、ジャージで登校したいくらいだ。
学校の決まりで、登下校にジャージを着るのは許されていない。
それができるのは体育祭の日くらいか……クラスマッチの日もわざわざ教室で着替えないといけない。めんどくさいルールだ。
「……、」
頭が濡れないように被っていた合羽のフードが風で外れた。
前髪が暴れて、視界が悪くなる。ただでさえ雨のせいで悪いのに。
妹曰く私の自転車の運転は荒いそうなので、視界と道の悪い雨の日は気をつけている。
そうでなくても、色々と交通ルールというモノが変わっているからな。
「……」
緩くブレーキをつかみつつ。
視界の先の信号が赤に変わる。
フードはもうかぶり直しても意味がないのでそのままだ。
多少濡れはするが、タオルはあるからいいだろう。激しくもないし何も問題はない。
……雨の日はそれだけで荷物が少し多くなるから嫌だ。
「……」
タオルはいつも持っているけれど。
万が一を備えて、靴下の替えと、鞄を入れるための袋。
合羽も畳めばかさばって邪魔になるし、かと言って傘をさすわけにもいかない。
「……」
道路を挟んだ反対側の道に、制服を着た集団が歩く。
エナメルバックを抱えているのは運動部だろう。大きなリュックを背負っているのも運動部。フェルトのお守りがたくさんついている。楽器の袋みたいなものを持っているのは吹部だろうか。楽器って持ち帰るのかな。
「……」
何とはなしに、いつもの癖のように。
あの子を探してみる。
今日はでも、雨だからどうだろう。
「……」
あの子は雨の日は送ってもらうこともあるから。
今日くらいの雨ならどうなのだろう……。
でも今日は見つかりそうにないな。
「……」
自転車通学は、大抵みんな合羽を着ているし。
鞄も袋に包まれて何もよく見えない。
私自身の視界もたいしてよくないし。
これじゃ、見つかるものも見つからない。
「……」
まぁ、送ってもらっていたとしても。そうじゃなかったとしても。
学校に着けば会えるし、いつものように昼休みに会って話す事は出来る。
……信号も青に変わったし、さっさと行くとしよう。
「……」
明日からまた、2日間休みかぁ。
別にいいんだけど、やることがないのもなぁ。
いや、学生の本分は勉強だから、それをしたらいいんだけど。
そんな気分にもなれないだろうし……面倒な面倒な休日だ。
あの子にも会えないし。
「……」
まぁ、まぁ。
いいや。明日の事を考えるのはやめておこう。そういうのは嫌いだから。
お題:雨・学校・エナメルバック




