逢魔が時に恋が写る
「もう!英馬っていっつも無茶するんだから!」
少女は空気を大量に頬張って怪我だらけの少年を叱りつける様に言う。
少年は木陰に解ける夕日で目を眩ませてか、はたまた涙のせいか、ぼやける己の視界で少女の顔を見据える。
少年は目からボロボロと大玉の涙を零しながら言う。
「ひっぐ……だ、だって!命日ちゃんが変な奴にいじわるされてたから!助けなきゃって!ひっぐ……」
膝で公園の砂をジャリジャリ鳴らしながらそう言う少年に少女は嬉しそうに微笑んで言う。
「弱虫で泣き虫のくせに……」
少女の黒い髪が風に揺れると、橙色の光が反射して黄金色に輝く。
少女は横を向くと、囁くような声で言った。
「……ありがと」
少年はアホみたいな顔をして言う。
「え?何て?」
少女は少年の方を向き直して太陽のように笑うと言う。
「ありふんでるよ~だ!」
少年は猫のように勢いよく飛び上がって少女に抱き着く。
「いやぁぁぁ!!あり怖いいいいい!」
少女の赤くなった頬が、純白のワンピースと共鳴する。
すると少女の顔は初々しい恋心を映した。
――
青年はゆっくりと体を起こして、そのまま一息もせずに言う。
「あれ?命日?」
俺がこの夢を見たのが学校の敷地内にある寮で住み始めて、一週間の頃だった。
もう一つの言い方をすれば、命日が自ら命を絶ってから二日の頃だった。
俺が学業そっちのけで命日の死について調べていた頃だった。
そしてその原因が「特薦」そのうちの誰かによる壮絶な虐めによるものだと分かった日の夜のことだった。




