第七話 祝福が生まれ出る
《CHERUB // SITUATION REPORT》
RUBICANTE: MIGRATION—TANEGASHIMA VECTOR
BARBARICCIA: CORE BREACH—IMMINENT
GARGARIN: DEPLOYED / STORM FIELD ACTIVE
VIRTUTES (REMAINING): DEGRADED / ROE LOOP RISK
NOTE: WORDS FEED / PROCEDURE FEEDS
種子島コロニー。
旗が、叩かれていた。
国連旗も、コロニーの旗も、同じ風に殴られている。
所属も色も、風の前ではただの布だ。
空は暗くなる。夜ではない。
渦の中心が一点に絞られ、そこから圧が降る。
台風の目が、コロニーを見下ろしていた。
戦略級大天使ガルガリン。
“降下”ではない。
ガルガリンは降りる前に、まず空間を整列させる。
雲を回し、圧を積み、音を消し、最後に——宣告として唸る。
その唸りを聞いた瞬間、種子島の力天使たちは反射で背筋を正した。
正したくないのに、正してしまう。
正すほど“未来(勝つ)”が顔を出す。未来は因果だ。因果は餌だ。
誰かが小さく呟いた。
「……神さまみたい」
ガルガリンは神ではない。
神の名を借りた執行だ。
執行は祈りに似てしまう。似るほど危ない。
ルビカンテ級は、風に対しても急がない。
焦げた縁が、礼拝堂の通路みたいに伸びている。
伸びる先は、人の多い場所——
種子島の中心。学園。繁華街。式典の線が残る場所。
ルビカンテ級は、舞台を欲しがる。
舞台が広いほど、遊び相手が増えるから。
ガルガリンの嵐が、その赤い縁へ斜めに突き刺さった。
風の刃。圧の槍。
ただの気象ではない。戦略級の“空域執行”。
赤い縁が揺れる。
揺れるのは個体ではなく、場だ。
場が揺れると、境界が燃える。
風が火花を巻き上げた。
火花は燃料ではない。酸素もいらない。
火花は「終わりを消す粉」だ。
粉が嵐に混ざると、嵐は清めではなく、拡散になる。
ガルガリンの中心圧が一段上がる。
上がった圧が、回廊の“礼拝堂”を押し潰そうとする。
ルビカンテ級は、ひとつだけ仕草をした。
首を傾げる。
祈りに似た動き。だが祈りではない。玩具を見る動き。
赤い縁が、嵐の中で一本、細く伸びた。
それはガルガリンの“封鎖線”に触れた。
触れた瞬間、封鎖線の定義が焼けた。
封鎖線が揺らぐ。
揺らぐのは雲ではない。
「ここから先はだめ」という終わりの線だ。
終わりが焼けると、嵐は一瞬、行き先を失う。
ガルガリンは即座に補正する。
戦略級は迷わない。迷いを計算で切り落とす。
だがルビカンテ級は、その“正しさ”を遊ぶ。
正しさが増えるほど、終わりの線が増える。
線が増えるほど、焼く場所が増える。
嵐と赤い縁は拮抗しているように見えた。
しかし実際は、嵐が舞台を整えるほど、赤い縁は舞台を太らせていた。
ガルガリンの唸りが、もう一段低くなる。
「……まだ、潰せない」
潰せない。
戦略級でも。
それが、種子島に不安を落とした。
種子島コロニー。
種子島中枢へ繋がる通路は、最初から“守り”の匂いがした。
消毒剤、樹脂、油、そして紙。
命令書類と点検票と、誓約書の紙。
人間の世界は紙でできている。
紙の線が、規律になる。
その規律に、最初の咬音が落ちた。
——ガリッ。
壁ではない。床でもない。
通路の入口に張られた結界みたいな表示板——「立入禁止」「監査区域」「資産搬送線」。
その板が、まるで乾いた骨みたいに噛み砕かれた。
影が、這い出した。
バルバリッチャ級。
形は獣に近い。
獣よりいやらしい。
四肢があり、背骨があり、口がある。
口は多い。
顔の位置に一つ、肋の間に二つ、肩の付け根に一つ。
どの口も同じことをする——噛む。
噛むのは肉じゃない。
噛むのは、線だ。
床に塗られた誘導線。
扉の認証枠。
センサーの検知域。
そして能天使の隊列そのもの。
バルバリッチャ級は、慎重に進まない。
“遊び”の礼儀を知らない。
ドン、と前脚を踏み下ろし、床の区画線を踏み潰す。
踏み潰した線が、焦げたように消える。
消えた瞬間、通路の「ここからここまで」が壊れる。
壊れた“ここ”に、野蛮が雪崩れ込む。
残存能天使が列を作る。
列を作るのは彼らの祈りだ。
祈りではないはずなのに、正確さが祈りに似てしまう。
機械声が朗読する。
《VIRTUTES // ROE RECITATION》
ROE-1: SECURE CORE
ROE-2: ENGAGE HOSTILE
ROE-3: MAINTAIN FORMATION
ROE-4: REPORT / CONFIRM / EXECUTE
朗読の途中で、バルバリッチャ級が突っ込んだ。
音が違う。
速いとか、重いとか、そういう音じゃない。
遠慮がない音だ。
壁を蹴り、天井の配管を裂き、照明を牙で引きちぎって、暗闇を落とす。
暗闇は恐怖を育てる。
恐怖は束になる。
束は未来を含む。未来は因果。因果は——餌。
バルバリッチャ級はその餌を、唾液みたいに啜った。
能天使が射撃を開始する。
弾道は正確だ。
正確だから、規律が濃くなる。
濃くなるほど、バルバリッチャ級の口が喜ぶ。
バルバリッチャ級は撃たれても止まらない。
肉がないのに、痛がらない。
代わりに、弾が当たった“正しさ”を噛む。
——ガリッ。
能天使の銃口に、肩の口が噛みついた。
噛みついたのは金属じゃない。
銃口の刻印、識別、規格、整備履歴。
“これはこう撃つべきだ”という正しさ。
正しさが欠けると、能天使の射撃が一拍だけ乱れる。
乱れは異常になる。異常は報告になる。
報告は言葉になる。言葉は束になる。
束は餌だ。
能天使は乱れを修正しようとして、朗読を増やす。
《VIRTUTES // ADJUST》
FORMATION: REBUILD
LINK: RESTORE
REPORT: SEND
送る。
送るという行為が、バルバリッチャ級の喉を鳴らした。
バルバリッチャ級は、今度は床の誘導線に噛みついた。
線が千切れる。
千切れた瞬間、避難誘導の「方向」が消える。
通路の奥で、下級天使たちが走る。
犬頭、鳥頭、猫頭。
不揃いの足音。
不揃いだから、今そのもの。
バルバリッチャ級は不揃いを嫌う。
不揃いは噛みにくい。
噛みにくいから、まず揃えようとする。
揃えるために、野蛮に踏み荒らす。
ガン、と前脚が床を叩く。
衝撃で壁面の案内板が落ち、紙の束が散った。
紙が舞う。
舞う紙は祝福に見えそうで、見えない。
紙は規律だ。規律は餌だ。
バルバリッチャ級は紙を噛み、噛み砕き、飲み込む。
飲み込まれた紙の文字が、空中で焦げた粉になって散る。
散った粉が、また別の線を消していく。
「やめて!」
誰かの叫びが束になりかける。
束になりかけた瞬間、バルバリッチャ級の肋の口が笑ったように開いた。
ヒナが踏み込む。
銃は役に立たない。近づくしかない。
近づくために今を削る。
足音を三つ。
——いる。今日、いる。
バルバリッチャ級は、ヒナの足元の線を噛んだ。
線が消える。
踏み込んだ距離が、突然伸びる。
終わりが消えると、距離は遊びになる。
ヒナはよろめき、それでも踏み直した。
踏み直した“正しさ”が餌になる気がして、心臓が冷える。
サエが短く叫ぶ。
「言うな!」
叫びは誰に向けたものか分からない。
自分自身かもしれない。
残存能天使が前へ出る。
前へ出て、また朗読を増やす。
増やすほど影が太る。
太るほど、野蛮が加速する。
バルバリッチャ級は、最後に——
中枢の扉へ、頭から突っ込んだ。
扉の認証枠が砕け、警告灯が散り、鍵束の部屋の匂いが漏れる。
命令、保全、製造、監査。
世界の“正しさ”が詰まった匂い。
バルバリッチャ級の口が全部開いた。
喰う。
喰うために来た。
種子島コロニー中枢へ、野蛮が突入した。
地球、ワシントンD.C.。
ワシントンの白い街。
チリアット級の足音が、雪の上を裂く。
ローラは裏口の階段に身を寄せ、端末を胸に抱いていた。
ナディームは角で見張る。
目立たない横顔で、世界の鍵穴だけを数えている。
監視の赤い点滅が、遠い星みたいに街角に散っている。
その赤い点滅のどれかが、今もローラを見ている。
“保護”の名で、見ている。
端末は静かなはずだった。
隔離され、封印され、押収され、回収され——
いまは抱きしめられて、黙っているはずだった。
なのに、端末の隅が一瞬だけ白く跳ねた。
《UN-MNF // SECURE-LINK》
ALERT: CORE BREACH (TANEGASHIMA)
HOSTILE: MBK-BB (BARBARICCIA) // CONFIRMED
STATUS: ENTRY—VIOLENT
REQUEST: ASSET LOCKDOWN
…
文字列は、雪の反射より速く流れた。
ローラには読めない。
読めない速度で、世界の最悪だけが通過した。
それでも“CORE BREACH”の二語だけが、目に釘みたいに残る。
コアが破られた。
中心が破られた。
破られたときに出る匂い——それは祈りではなく、宣告だ。
ローラの喉が鳴った。
返事をしたい。
「いま、いる?」に返したい。
返したらヒナが助かる気がする。
でも返したら窓が太る。太れば獣が増える。
増えれば、今見た“コア破り”がもっと深くなる。
端末が勝手に点く。
いま、いる?
ローラは指を動かさない。
動かさない代わりに、胸の奥の痛みを掴む。
痛みは今だ。今なら祈れる。
未来を祈らない形で。
ナディームが低く言った。
「……今日だけを、守れ」
ローラは頷く。
頷きは祈りに似ない。
祈りに似ない形で、自分を今に縛る。
そしてローラは、返事の代わりに、祈りを選ぶ。
言葉を短く折りたたみ、未来を削って——
「主よ」
声を出さない。胸の内側で言う。
言葉を短く折りたたむ。今の形に縛る。
「ヒナが、今日を生きますように」
「終わっていいものは終わりますように」
「終わってはいけないものは——」
胸が痛い。
友情。
祈り。
今。
ローラはその痛みを、刃ではなく、結び目にする。
「……今日の手を、離さないでください」
端末の隅が滲む。
M
遠い星の向こうで、何かが応えた気配。
ナディームの目が、わずかに細くなる。確認の目。
その瞬間、ナディームの頬にまで届くほど空気が変わった。
「……来る」
彼が言う。
獣ではない。別の何かが来る、と。
ローラは答えず、端末を抱きしめた。
抱きしめるのは返事の代わり。
返事の代わりに今を固定する。
種子島コロニー中枢。
種子島の中心で、主天使の声が硬く響く。
監査回線。国連回線。
命令が、束になって降りる。
束になるほど危ない。
束は未来を含む。未来は因果。因果は餌。
リリエルは白紙の端末を抱え、倒れかけた体を机に預けた。
目だけがログを追う。
追うほど白紙が眩しい。
「MBK-MC-00……更新……」
彼女は言葉を出しかけ、咳で止める。
言葉が増えれば喰われる。
喰われれば、終わりが消える。
外で、バルバリッチャ級が扉の線を噛む音がした。
鍵束の場所へ近づく音。
ヒナは撤退線の前で、下級天使の手を押した。
「先に。いま」
短く。束にしない。
サエが叫ぶ。
「ヒナ、戻れ!」
戻れは終わりに似る。
でも戻らなければ、守れない。
能天使の残存が、最後の列を作る。
朗読がまた増える。
増えるほど影が太る。
詰んでいる。
誰もが分かっている。
分かっているのに、言わない。言えば祈りになって餌になる。
その時——
空間に“宣告”が鳴った。
音ではない。ログの音色。
《PANMIXIUM // RESPONSE》
INPUT: PRAYER (ORIGIN: EARTH / NODE: LAURA)
VECTOR: “TODAY”
CONSTRAINT: NON-ESCALATION OF CAUSALITY
STATUS: ACCEPTED
床のパンミクシウム層が、泡立たない。
獣にならない。
代わりに静かに“形”を整える。
二つ。
同じ高さ。
同じ間で。
生成。
出生ではない。
誰かの願いが、現実の整列として立ち上がる。
白い輪郭が起きる。
無機質な肢体。
胸に番号はない。
代わりに“名”が刻まれている。
《VIRTUTES—EXCEPTIONAL // INIT》
UNIT-01: CASTOR
UNIT-02: POLYDEUCES
ORIGIN: PANMIXIUM RESPONSE
AFFILIATION: NONE (TEMPORARY)
PRIMARY DIRECTIVE: PROTECT “TODAY”
二体は同時に顔を上げる。
目がないのに見ている。
見る先は敵ではない。
避難線の向こうの、小さな命だ。
そして、機械声が朗読する。
聖歌ではない。
だが聖歌より冷たく、正確で、強い。
《ROE RECITATION // CASTOR》
ROE-0: PROTECT “TODAY”
ROE-1: CUT ONLY THE FEED
ROE-2: INTERDICT WITHOUT ESCALATING CAUSALITY
ROE-3: MINIMIZE WORDS / MINIMIZE FUTURE
ROE-4: IF “ETERNITY” VECTOR DETECTED—SEVER
《ROE RECITATION // POLYDEUCES》
ROE-0: PROTECT “TODAY”
ROE-1: EXECUTE ONLY THE NECESSARY
ROE-2: DO NOT PURSUE PLAY
ROE-3: MAINTAIN SILENCE
ROE-4: STRIKE THE MOUTH OF ORDER-DEVOURING
サエが震える声で言う。
「……誰だ」
二体は答えない。
答えないことが答えだった。
政治の番号でも、国の旗でもない。
祈りの名だ。
ヒナは息を止めた。
言葉が出ない。
言葉を出したらこの奇跡が因果になる気がした。
だからヒナは短く、今だけを置く。
「……わたし、ヒナ」
「いま、いる」
カストールの機械声が、返事の代わりにログを吐く。
《ACK》
HINA: PRESENT
TODAY: CONFIRMED
その一行が、祈りみたいに胸へ刺さった。
バルバリッチャ級が、二体を見た。
喰える、と言っている。
手順が増えた、と喜んでいる。
だが増えない。
増えないことが、この二体の異常だった。
カストールが一歩出る。
その一歩には余計な未来がない。
余計な未来がないから、バルバリッチャ級の口が迷う。
カストールは“遮断”する。
通信線を切るのではない。
言葉を減らす。
命令の数を減らす。手順の枝を刈る。
餌を、餌になる前に小さくする。
ポリュデウケースが“執行”する。
大きく切らない。
追わない。
遊びに乗らない。
必要な線だけを、短く、冷たく、断つ。
バルバリッチャ級が噛みつく。
噛みついた瞬間、噛みついた“口”が逆に切られる。
口の輪郭が定まった瞬間が、唯一の弱点だった。
ヒナが踏み込む。
足音を三つ。
——いる。今日、いる。
彼女は接近戦で核へ入る。
核は“統制を喰う中心”。
中心は、今この瞬間だけ形を持つ。
ヒナの刃が走る。
乾坤一擲。
未来ではなく今の一閃。
切断。
バルバリッチャ級の影が、音もなく崩れた。
崩れた影は最後まで笑わない。
笑わないのに、遊びの匂いだけが薄く残る。
その匂いが消える前に、ポリュデウケースが一行だけ吐いた。
《CONFIRM》
ORDER-DEVOURING MOUTH: CLOSED
終わりが、許された。
終わりが許されると、初めて守りが守りになる。
ヒナは膝が抜けそうになり、サエが肩を掴んだ。
「生きてる」
サエの声が震える。
震えは未来に似る。
でも今は、震えていい。
同時刻。種子島コロニー上空。
ガルガリンの嵐は、まだ赤い縁と相撲を取っていた。
風が正しいほど、赤い縁が焼く場所を増やす。
終わりを消す粉が、嵐に混じる。
そこで、空気が一拍だけ変わった。
祈りの気配が、アルファケンタウリの空域へ触れた。
“勝て”ではない。
“永遠”でもない。
終わっていいものは終わるという形。
終わりが許されると、ルビカンテ級の本質が揺らぐ。
ルビカンテ級は終わりを焼く。
焼くべき終わりが「赦された終わり」になると、焼き切れない。
赤い縁が、細った。
細った瞬間が——ガルガリンの刃だった。
ガルガリンは中心圧を最大にする。
嵐の目が一点へ潰れる。
潰れる一点が、赤い縁の礼拝堂を“物理”として崩壊させる。
風が、赤い縁の連続を断った。
断たれた縁が火花になって散る。
散る火花は、もう終わりを消せない。
ただの灰になる。
ガルガリンの唸りが、宣告になった。
「——終われ」
祈りではない。
執行の終止符。
ルビカンテ級は、嵐の中で最後まで首を傾げた。
遊び相手を探す仕草。
だが舞台は潰れた。
舞台がなければ、遊べない。
赤い縁が、消えた。
地球、ワシントンD.C.。
ローラは端末を抱えたまま、雪の中で息を吐いた。
吐いた息が白く、白さが怖い。
怖いのに、今だと分かる。
遠くで獣が走る音はまだある。
でもさっきより、世界の“揺れ”が減った気がした。
端末が一瞬だけ、ログのような文字列を吐く。
ローラには読めない速度。
ナディームは、たった一拍で意味を取った。
彼の顔から色が消える。
驚きと確信が同時に来た顔。
「……祈りが、動かした」
ローラは震えて首を振る。
「わたし……なにも……」
ナディームは否定しない。
否定しないまま、言葉を削って落とす。
「君は窓を開けた」
「そして——窓の向こうは、“答え方”を知っている」
彼の視線が、胸の奥の名へ戻る。
天城 祈。
燃える名。
燃えるのに、確信を燃やすしかない名。
ローラが小さく聞く。
「……あなたは、誰を探してるの」
ナディームは答えない。
答えないことが、答えだった。
雪の中、彼は写真の裏側の文字を指でなぞった。
種子島 工区07。
天城 祈。
「種子島に、天城がいる」
声には出さない。
出さないから、計画だけが残る。
チリアット級の足音がまた近づく。
ナディームがローラの肩を押す。
「動く。今だけ」
ローラは頷き、走り出す。
走りながら胸の奥でだけ短く繰り返す。
——今日。
——今日だけ。
遠い星の下では、二体の能天使が静かに立っていた。
祈りが作った無機質な荘厳。
“永遠”ではなく、“今日”のための執行者。
そして、種子島の空域には、まだ別の影が残っている。
遊びは終わったのではない。
遊びが、形を変えただけだ。




