七草粥警察
七草粥警察 第一条 代用は不可
七草粥警察が現れるのは、
一月七日の朝だけだ。
チャイムも鳴らさず、
物音も立てず、
気づけば台所に立っている。
白い手袋。
無表情。
胸元の名札。
――**七草粥警察**
彼らは、いきなり取り締まらない。
まず、問いかけてくる。
「では、問題です」
穏やかな声だった。
「こちらは、何草でしょう?」
差し出されたのは、
小さな葉の束。
……正直、分からない。
「えっと……セリ?」
「不正解です」
即答だった。
「これは、ナズナです」
そう言って、
彼は次の草を出してくる。
「では、これは?」
刻まれている。
もう原形がない。
「……ゴギョウ?」
「惜しいですが、違います」
声はどこまでも丁寧だ。
「正解は、ハコベラです」
私は汗をかき始めていた。
「ほうれん草じゃ、だめですか?」
思わず聞くと、
七草粥警察は首を横に振った。
「代用野菜は認められていません」
「大根の葉も?」
「認められていません」
「スーパーに売ってなくて……」
「理由は関係ありません」
次々と草が出される。
乾燥状態。
刻まれた後。
すでに粥に入った状態。
難易度が、
明らかに上がっていた。
「……もう、いいです」
私がそう言うと、
七草粥警察は、静かに頷いた。
「敗北を確認しました」
「では、本年の七草粥は
**未達成**と記録します」
彼らはそれ以上、何も言わない。
ただ、
帳面に何かを書き込んで、
去っていった。
翌年の一月七日。
私は七草を完璧に覚えていた。
……だから、
彼らは、また来た。
「復習です」
そう言って。
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また次のお話しでお会いしましょう♪




