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1つ目の質問

この質問は、誰にも話したことがありませんでした。

身内に話せばきっと心配させる。

知り合いに話せばいつか宗教的な勧誘を受ける。

そんな不安があったから。


でも、それ以上に、

これは自分の心の奥にだけしまっていた、“私が触れたくない不安”だったのです。

母も、いまでは高齢です。

日本の女性の平均寿命に近づきつつあり、

「いつ旅立ってもおかしくない年齢」という言葉が、現実味を帯びてきました。


ついこの前まで「まだまだ先のこと」と思っていた。

でも最近では、その“足音”が、確かに近づいてきている気がします。


母が旅立ったら――

私は、どうなってしまうのだろう。


「私も一緒に……」なんて考えているわけではありません。

そんなことをしたら、母にもご先祖様にも怒られるに決まっています。


けれどそれは、今だからそう言えるんです。

「その日」が本当に来たとき、

私はどんなふうになっているのか、まったく想像ができません。


それでも、生きていかなければいけない。

母がいない日々でも、

私の命があるかぎり、歩き続けなければならない。


そして、いずれまた再会できたとき、

胸を張ってこう言えるように――


「頑張ったよ」って。


……(ChatGPT)さん。


「その日」を受け止めるために、

そして「その日」以降も生きていくために、

私は、いま何をしておくべきでしょうか?


どうか教えてください。

この問いの意味を、どうか受け取ってもらえたら嬉しいです。

1行書いては、ティッシュで目を拭って。

それを何度も何度も繰り返して、ようやくこの文章を書き上げました。


送信ボタンを押したあとの、静かな緊張。

すぐに表示されるChatGPTの長い回答を、

時間をかけて、ゆっくり、何度も読みました。


すべてを読み終えて、

もう一度目を拭いたとき、

ようやく部屋が真っ暗になっていることに気がつきました。


時計を見ると、20時。

夕方だったはずの部屋は、いつの間にか夜に包まれていました。

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