表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

異世界へ転生したら意味不明な能力しかなかった件 〜仕方がないのでその能力を出来るだけ上手く使ってみます〜

作者: ブルガリスク菌

初作です。よろしくお願いします。

小説を書くのは苦手ですが、楽しんで頂けたら幸いです。

僕は今異世界にいる。何で異世界にいるかって?

まあ簡単に言うと、現世で死んで転生したのだ。


分かってもらえないかもしれないが、現世での死因はシャトルラン中に水分不足で倒れて死んだ。

とてもバカだ。

変な人生だったよ。

でも異世界ではしっかりとした異世界ライフを楽しみたい。


だが、現在僕は変な人に絡まれている。

見た目は女神みたいな感じだ。


「あなたに能力を授けよう」


自称女神が言った。


「お、待ってました。異世界の異能力だ!」


僕はどんな能力が貰えるのか楽しみでテンションが上がっていた。


「この能力の中から選びなさい」


能力は勝手に付けられるのではなく、選ぶ方式だった。

僕からしたら好きな能力を自分に付けられるのでありがたい。


「どんな能力があるんですか?」


「まずはペットボトルのキャップを投げるのがめっちゃ上手くなる」


「ちょっと一旦待って」


思っていた能力と全然違っていた。

というか聞いたことないぞそんな能力。

誰が好き好んで使うか!そんな能力。


「続けて下さい」


「次に、ブーメランを投げると必ず自分の手に戻ってくる能力」


「ブーメランが必ず自分の手に戻ってくるのは練習しないと無理だから能力として初めから付いてるのはありがたいね。じゃねーんだよ!」


この自称女神はずっと意味の分からない能力ばかり言ってくる。

次は流石にまともな能力だと思い込んで聞いた。


「最後に、ガチャガチャで必ず狙っている物が出てくる能力」


「馬鹿じゃないの?」


「え?私はいたってまともですけど」


こいつ。

使えない女神だな。

どうやってこの能力を上手く使えって言うんだよ!


「ちなみに異世界にはガチャガチャってあるんですか?」


流石に最後の能力があるならガチャガチャはあるだろうと思い、質問をした。


「ありませんけど」


「何考えてるんですか?」


いやガチャガチャに使う能力を得てもガチャガチャが無かったら意味ねーじゃねーかよ馬鹿野郎。


「この3つの能力からどれか好きな能力を1つお選び下さい」


「異世界恒例の魔法が使える能力とか空を飛べる能力とかは無いんですか?」


僕が食い気味にそう言うと女神は


「私の力ではそのような高度な能力は付ける事が出来ません」


と返してきた。女神ガチャに失敗した。

ここで3つ目の能力が欲しかった。

しかしどうしようか。

どの能力も使い道がほぼ無いぞ。

異世界だから敵がいる事も考慮すると。


「じゃあ1つ目の能力で」


僕はペットボトルのキャップを上手く投げられる能力に決めた。


「ではその能力を貴方様に付け、異世界へ送り出します」


これからどんな生活が待っているのだろうか。

多分ほぼ人任せの生活になるだろう。






無事、僕は異世界へ転生した。

おかしな能力を持って。


「どうやってこの能力で生活したら良いんだよ。

まあ戦わなければ良い話か」


なので僕はゆっくり生活出来る町を目指して歩き始めた。

そう言えばペットボトルのキャップを上手く投げられる能力だけどこの世界にペットボトルってあるのか?

ガチャガチャの能力にボロクソ言ったが、ペットボトルが無かったらこの能力も使えねーぞ。

そして歩いていると、少し大きな町を見つけた。


「ラッキー。これで安全な生活は保たれたはず」


そのまま歩いていると現世でも見た自販機を見つけた。


「一応この世界にもペットボトルはあるんだな」


良かったと安心して良いのだろうか?

まあ能力を発揮出来る確認が出来たから素直に喜んでおくか。僕はそう言って心の中で喜び、再び歩き出した。

町に着いたのは良いが、僕は陰キャだ。

仲間のみんなならもう分かるだろう。

そう、人に話しかけられないのである。

出来れば陰キャが完全に治る能力が欲しかった。

どうしようか。

結局は自分の力で解決しないといけないのか。


「おい、そこの君」


後ろから女性の声がした。

僕は誰のことだろうなと思いながら無視をした。


「おい、そこの君だよ」


また同じ女性の声がした。

誰かからずっと無視をされているのか。

災難だな。


「おい何でさっきから無視をするんだい?」


と言いながら女性は僕の肩をポンっと叩いた。


「え?僕のことだったんですか?」


てっきり僕以外の誰かだと勝手に思い込んでいた。


「いやーね。ここでは見ない顔だと思ったから話しかけたんだよ」

なるほど。

確かに僕は今ここに来た者だからね。

よく分かったなこの女性。

「いや、今日転生して生活出来る場所を探してたんです」

僕はとっさにそう答えた。


女性の見た目は見るからに火属性の剣士の様な姿をしている。めっちゃ強そうだ。


「ふぅ〜ん。君は転生者なのか」


「現世で色々あって、死んで、気付いたらここにいたんです」


「ま、頑張れよ」


そう言うと女性はあっさりとこの場を立ち去った。

これからの旅の仲間になってくれると思っていたのに、人生はそう上手くいくものじゃないんだなと改めて実感した。


僕は町を一通り見てこう思った。

何をするにもお金が必要だと言うこと。

そして、お金を稼ぐにはモンスターを倒さないといけないと言うこと。

一番最悪なのが、僕の唯一の能力、ペットボトルのキャップを上手く投げられる能力はペットボトルを買わないと発揮出来ないと言うこと。

自販機で買えるお金が無いと何も始まらないじゃないか。

そう思い、僕は解決策を頑張って考えた。

今までに無いぐらい頑張って考えた。

頑張って考えた結果が、自販機の横に置いてあるゴミ箱を漁って、ペットボトルのキャップを探す事だった。

汚いと思うが、これが一番良い考えだったのは確かだ。


「ゴミ箱を漁ってペットボトルのキャップを十個ぐらい集めるか」


僕はそう意気込み、最初に見た自販機へと向かった。

自販機のゴミ箱にはリサイクル用のペットボトルのキャップが大量に入っていた。


「本当に日本みたいだな」


ふとそう思った。

ゴミ箱の中のキャップをありがたく十個ほど頂き、その場を去った。

この様子を誰かに見られていたらその人は僕を不審者だと思っただろう。

だってゴミ箱を漁るとか食糧に困っているホームレスぐらいしか見ないだろう。


十個ほど取ってきたペットボトルのキャップを持ち、威力を確認するために木に向かって一回キャップを飛ばしてみた。

能力通りペットボトルのキャップは上手く飛んだ。

初めてだったがあの女神は変な意味で凄いな。

ペットボトルのキャップは木を二本貫通した。

僕は呆然としながら突っ立っているだけだった。


「嫌な予感はしたがこれほどの威力だったとは、思ってもいなかった」


やっぱりあの女神は変な意味で凄いな。

これなら町の近くにいるモンスターぐらいなら余裕で倒せるかもしれないぞ。

少しだけ希望が見えてきた、気がする。

噂をすれば僕の周りにモンスターが集まってきた。

集まってきたと言ったが、三体だけだった。


「よし、もう分かったからな。この何の変哲も無いペットボトルのキャップ一個でお前を倒してやる!いだぁい!」


かっこいいことを言っていたら普通に足を噛まれてしまった。めっちゃ痛かった。

幸い血は出ていなかったから良かったが。


「うおりゃあ!」


僕はモンスターに向けてキャップを投げた。

練習時と同じ様にキャップはすごい勢いで飛んでいった。

投げたキャップはモンスターの体を貫通し、奥の木まで貫通した。

正直威力が強すぎてビビっている自分がいる。


「この能力があればモンスターなんて一撃だ」


僕は残りの二体に向かってまたペットボトルのキャップを投げた。

もちろんモンスターは二体とも即死だ。

しっかりと体に空いた穴は向こう側まで貫通している。


「まあ威力は後々調整できるように練習しておくか」


練習しないと色々な場所に被害が出る。

もしかしたら町中で戦う場面があるかもしれない。

そんな時にこのままの威力だと建物を貫通してしまう。

そうしたら僕も捕まってしまうからな。


「このモンスターは一体100円なのか」


モンスターを倒した事でお金が手に入った。

強さに合わせて貰える報酬が違うのだろう。


「これを何回も繰り返したら寝床にはありつけそうだな」


そう言っている間に火は沈みかけている。

そう、もう夕方になっていたのだ。


「これじゃあ今日の寝床が無いぞ。本格的に野宿をしなければならない可能性が出てきた」


野宿をどうするか悩んでいた時に


「お、ここにいたのか」


と聞き覚えのある声がした。


「昼の剣士さんだ」


「私のことはミリヴェルと呼んでくれ」


ミリヴェルと言うのか、かっこいい名前だな。


「そう言えばお前に名前はあるのか?」


気にしていなかったが僕には名前が無い。

特にあの自称女神からも君と呼ばれていたので名前は無いのだろう。


「特にまだ名前は無いですね」


「じゃあ君はこれからウイクな」


微妙にネーミングセンスの無い名前を出してきたな。

絶対に由来は適当だろうこの名前。

でも人様に付けてもらった名前だから何も言えないのが事実。


「分かりました。ウイクですね」


ウインクを略した名前みたいで言うとますますこの名前の気持ち悪さが感じてくる。


「お前、寝床ないだろ」


「そうですね。まだ転生して一日目ですし」


「じゃあお前に寝床をやるよ」


「え?良いんですか?」


やった!遂にベットを手に入れたぞ。

あの時の出会いは無駄じゃなかったんだ。


「知り合いに宿を経営してる奴がいてな。一部屋なら貸せるって」


「本当にありがとうございます」


これは奇跡だ。

そう確信した。

絶対にそうに違いない。

何言ってるんだ。


宿に着くとミリヴェルさんは帰って行った。


「それにしても綺麗な宿だな」


「そう言ってもらえて嬉しいです」


急に背後から音が鳴った。


「うぉい!」


僕はその声にびっくりしてしまった。


「すみません。驚かすつもりは無かったんです」


「ですよね」


多分この方は登場の仕方からしてこの宿を経営している人だろう。

浴衣みたいな服を着ているので確定だ。


「私はこの宿を経営しているミリヴェルさんの友人のナベルです」


「ナベルさんですか。こんばんわ」


「早速、ウイクさんの部屋へ案内させてもらいます」


前世の癖で挨拶をしてしまったが、無視されているのでこの世界にはそう言った挨拶は無いのだろうか。

それにしてもウイクが気になってしょうがない。

どうにかしろよこの名前。


「ミリヴェルさんは昔からネーミングセンスは無いので我慢して下さい」


急に心の声を読まれたような気がして僕は鳥肌が立った。

「いいえ、別にこの名前は気に入っていますよ」


「そうですか。それなら」


この人、なんか裏がありそうでめっちゃ怖い。

多分こう言う人を一番的に回してはいけない気がする。

部屋に着くとナベルさんは少し部屋紹介をして戻って行った。


「これは十分過ぎる部屋だな」


ベットはもちろん、トイレのような物、そして広い机。

なんて快適なのだろうか。

部屋の広さは前世で住んでいたアパートみたいな広さで安心出来る。

家族とこの広さでいたから一人だけだと謎の贅沢感がある。


「もう今日は疲れたし寝るか」


なぜか食欲は湧かなかったのでそのまま寝る事にした。

食欲は無いが睡眠欲はなぜかある。

あの女神の仕業か?






次の日、僕はペットボトルのキャップを上手く投げられる能力以外の能力を習得する為にお金稼ぎをしようと外へ出た。

流石に金を払わずにずっと旅館で暮らすわけにもいかないからな。

この能力があればまず死ぬ事はないだろう。

そう心の中で思い、町から出た。


「昨日の敵は瞬殺出来たからもう少し強い敵でも倒せるだろう」


僕は少し調子に乗っていた。

昨日の戦闘から一気に戦闘への不安感が消え、どんな敵が来ても一撃で倒せると思い込んでいた。

自分でも少し気にした方が良いとは一度考えたが、


「こう言うのは気持ちで負けたら戦闘でも負けるんだよ」


そう言う結論を出し、別のことを考え始めた。


「そう言えば昨日戦ったのはスライムみたいな見た目だったな」


急に昨日戦ったモンスターの見た目を思い出した。


「じゃあ少しランクアップして、今日は森にいるゴブリンでも倒そうかな?」


今日の出発前、ナベルさんからモンスターの事について色々話を聞いていた。

モンスターの強さや種類、そしてモンスターの出現場所などナベルさんは物知りな様で詳しく話してくれた。

なので結構重要な勉強となった。


「たまにそこら辺のモンスターとは比べ物にならないくらいのモンスターが出るって言われたし気をつけなきゃだな」


たまに鉄装備を着た謎のモンスターが突然出現するらしい。

噂なのだが、魔王と関係があるだとか無いだとか。

まあ僕には関係の無い話だ。

僕は森へ入り、今日の獲物のゴブリンを探していた。


「おーい。ゴブリンたち出ておいで」


あまりゴブリンたちは姿を見せない。

僕にだけ。

ナベルさんは結構見つかると話していたのだが、なぜか一向に見つかる気配がしない。


「何でだ?調子が悪いのかな?」


僕は真っ先に自分の運のなさを疑った。

運は良い方ではないが、悪い方でもないと思っている。

しかし、それとは真反対の現実がある。


「もしかして、昨日お風呂に入ってないから体臭が臭すぎて逃げたのかな?」


昨日お風呂に入ってないのは事実だが、それは流石に違うだろう。

色々原因を考えながらゴブリンたちを探していると急な悪寒を感じた。


「何だこの嫌な予感は」


まるでアニメのキャラクターが死ぬ直前のような感じだ。

とても怖い。

少し時間が経つと、ドカン、ドカンと重い音が遠くの方から聞こえてきた。


「何だ?この音は?歩いているのか?」


鉄の靴で歩いているみたいな音だ。

「変なファッションでも流行っているのか?この町は」

するとその音はどんどん近くに寄ってきた。


「なんかどんどん音が近くなっていないか?」


僕は恐る恐る後ろを振り返ってみる事にした。


「うわぁぁぁぁぁ!」


後ろを振り返ると、そこには鉄装備で武装したスライム?のようなモンスターがいた。


「嘘だろ。これがたまに出現するモンスターなのか?」


僕は今日の朝に聞いた話を思い出した。

このモンスターは鉄装備を身につけているため、簡単には倒せないこと。


そして出会ったら生きては帰れないこと。


「最悪だ。だけど僕のキャップの威力を舐めるではない」

僕はそう言い、モンスターに向かってペットボトルのキャップを投げた。

キャップの威力は強く、鉄装備を凹ませる事が出来たが、ダメージは全く入っていなさそうだ。


「ふん。良い装備を着ているみたいだが、十個ほど投げればその鉄装備を壊せそうだな」


僕は凹んだ場所へ集中砲火を試みた。

しかしいきなり手のような物が僕の体を覆い、攻撃が出来なくなってしまった。


「クソ、硬すぎて全然身動きが取れない」


僕はなんとかペットボトルのキャップを持ち、自分を覆っている物に向かって投げた。

覆っている物はキャップの攻撃で破壊することができたが、すぐに再生して元通りになった。


「これが魔王と関係している可能性がある理由なのか」


再生は魔王ほどの位にならないと取得出来ない能力だ。

そんな噂が出るのも当然だろう。


「今はどうにかしてこの状況を打破しないと」


こいつの倒し方を考えていると、スライムは口を開け、僕の体を運んだ。


「え、僕を食べようとしているのか?嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」


せっかく転生の機会をもらったのにまさか二日目で死ぬとは思ってもいなかった。

今ではあの自称女神もまともなんじゃないかと思い始めている。


「楽しい人生だったよ。悔いしかないが」


これが僕の最後の言葉となった。

僕は現世で死んで、異世界へ転生したが、異世界でも早く死んでしまった。

もっと頭のおかしい能力を使い込みたいと思った。




ウイクはヴォービズによって殺された。

小説を最後まで読んで頂きありがとうございます。

もし宜しければ、ブックマークに追加やポイント評価、いいねをよろしくお願いします。

今年は短編小説を中心に頑張っていきたいと思います。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ