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◼️プロローグ:波乱の生徒会選挙〜幕開け〜

(どうしてこうなった……)


一学期が始まってすぐ、外では遅咲きの桜が散り始めた頃。


まだ新学期が始まったばかりだというのにも関わらず、体育館には全校生徒たちが集められていた。


一年生は不思議そうに顔を見合わせ、二~三年生はまるで今からイベント事でも始まるかのような、そんなソワソワした雰囲気の各種各様な視線が体育館の最前へと向けられている。


全学生が注目しているその舞台上。


そこで、ぼく――周防渚(すおうなぎさ)は呆然と立ち尽くしていた。


(いや、本当にどうしてこうなった?)


頭上にデカデカと掲げられている横断幕には達筆で書かれた『生徒会選挙』の文字。


そして、ぼくの身体の上からは『生徒会・書記』と書かれたタスキがかけられている。


「…………」


よくテレビとかで選挙に当選した候補者なんかが身体に『当選』って書かれたタスキをかけながら、両手を挙げて万歳三唱している姿を見かけるけど……。


こう、実際にみんなの注目が集まる前でタスキをかけるのって、


(す、すごく……恥ずかしいッ!)


そう、何故かぼくは生徒会役員に選ばれてしまったのである。


この学校の生徒会選挙は普通とは少し違った特殊な方法で決めらている。


それは、生徒の立候補式ではなく投票形式で決められているということだ。


一~三年の全校生徒各々が、生徒会に入ってほしい人の名前を書いた紙を箱に投票。その中で最も名前の多かった者から順に生徒会長、副会長、会計、書記といった風に役員が割り振られていく。


そうして、生徒会に入れば自然と生徒の前に立つ機会や、関わり合いも増えていくわけで。


そんな状況で名前を集めるのは当然、この学校の生徒から一目置かれている存在――


つまり、みんなの憧れ的存在であったり、クラスカーストの上位者や学年においての人気者といった人物が選ばれることになる。


言わば、これは生徒会選挙の名前を借りた人気投票なのだ。

そんな人気投票で特に同年代の男子から多くの票を獲得し、ぼくは見事に当選してしまったのだ……。なんで?


いや、なんとなく理由は分かってはいるんだけど……。


それを認めたくない自分がいる。


それに――


「はぁぁぁ……」


深いため息を落として、ちらっと視線を横に向ける。


そこには、ぼく以外にも他に三人、女の子たちの姿がある。


どの子も違った雰囲気の可愛さがあって、この投票に選ばれたのもうなずけ――


「……人前に立つ、とか……だるぅぅっ……」


いや、なんだか一人すごく不満げな目をしながら、ダルそうにしている子もいるけど……。


それに……生徒会メンバーがぼく以外みんな女の子だなんて、心が休まる気がしない。


一体、ぼくに投票してくれた何人がぼくのことを誤解しているのだろう……。


ほぼ――いや、確実。99%の皆さんが誤解していると思うけれど……。


気まずそうに視線を逸らしながら、男子にしては幾分長い髪の毛をくるくると指先でもてあそぶ。


「……はぁ…………」


再度、ため息を吐き出して、天井の明かりをぼんやりと見上げる。


そうしてぼくは、どうしてこんな状況になってしまったのか記憶の回想を――いや、現実逃避を開始するのだった……。


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