巨大ロボットSF主人公 セイル・ファンバー3
「あの日が遠いわ……」
「そう思えるだけの年月があったからこそアルアの胸もこれだけ立派に――」
後ろから胸を掴んできたセイルを殴り落とし、うつぶせに倒れるセイルの後頭部をカカトでぐりぐりと踏みつける。
「今思えばあの時のアンタのほうがクールでカッコ良かったわ、それがどうしてこんな社会のクズに……」
頭を抱えてため息をつくアルアの足から脱出してセイルは立ち上がり、また胸を揉む。
「そりゃあれだけ可愛かったお前の胸が要塞のようなボリュームになったんだ、オレ様の要塞のように警戒心の強い性格が反比例してこれだけ可愛くなっても不思議はグハッ!」
鋭い右フックで頬を打ち抜き、セイルはコマのように回転しながら壁に叩きつけられた。
「なんでアンタはいつもアタシの胸ばかり揉むのよ!?」
「フッ、愚問だなアルア、それは! そこにおっぱいがあるからさ!!」
五秒後、アルアは頭から血を流すセイルを引きずりながらブリーフィングルームに向かい、通信機を手に取った。
「はい、バカの確保は終了したので今そっちに向かいますね」
二〇分後、セイルとアルアはパイロットスーツに着替えてそれぞれの機体に乗り込み発進を待った。
『ほんじゃ今回もさっさと終わらせようぜ、そして悪党滅亡世界平和でバンバンザイだ』
発進三〇秒前、巨大ロボット・アークの通信機越しにセイルの軽口を聞きながらアルアが不意に尋ねる。
『ねえセイル、そういえばさ、世界から戦争が無くなったらアタシら仕事無くなって職失うのにアンタいつも世界平和言ってるよね?』
『当たり前だろ、なんたってオレ様の目的は永続的な世界平和だからな!』
『そりゃアタシだって戦争は嫌だけど……母国の為にとか敵国を倒す為にって頑張る軍人はいっぱいいるけど、アンタみたいに全世界を平和にっていないじゃん、アンタなんで世界の為に戦ってるの?』
『聞きたいか? それはだな』
二人の機体が基地から射出され、アークは翼を広げて青い空へ飛び立った。
『戦争があったらガキどもが安心して遊べないだろ?』




