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SF勢力

 ゼノス皇国、教皇謁見の間で、金髪金目の美男子が女性教皇に(うやうや)しく頭を垂れた。


 玉座の背後には国が信仰する宗教、ゼノス教の神であるゼノス神の巨大な像が建ち、天井のステンドグラスは宗教画を模していた。


 そして教皇を守る護衛の兵士達は皆一様に金髪の美男子の話に動揺している。


 彼の名はシグナ・エリアート、SF世界において全世界に宣戦布告をした世界最強の軍事大国ゼノス皇国の空軍を束ねる若き空将にして全軍のエースパイロットである。


 正装用の豪奢な軍服に身を包み、シグナが最大の敬意を以って頭を下げる女性教皇の名はエレン・ゼノデウス。


 皇族ゼノデウス家の一人娘であり、今年でようやく二十歳を迎える身でありながら病死した父に代わって五億人にもなる国民全ての期待と希望を背負わされている。


 彼女の細い腰には大きすぎる重責を少しでも減らすべく、シグナは日々奔走しており、その忠誠心は誰よりも厚い。


「なんだか信じられないわね」


 異世界との融合、生物兵器ではない本物のモンスターや改造手術を受けずに戦闘用ロボを倒す男達、どれもエレンの耳には作り話にしか聞こえないが、シグナがそんなつまらない嘘をつかない事はよく知っている。


「私も信じられません、まるで絵本の世界に迷い込んでしまったようで、ですがこれは全て事実なのです」


「それで、そのエグゾディアスと言いましたか? その力は本当なのですか?」


「卑しき悪魔共を捕まえ聞き出し調査したところ、どうやら悪魔の国を治める魔王は魔剣探索に重臣達を動かしているそうです。

魔剣の詳しい力は分かりませんが魔王が求める以上は人に仇名す悪しき存在である事は確か、それに戦った悪魔達が使う魔法を見てもその力は脅威的であり、連中を放っておけば必ずやゼノス神様の怨敵となりましょう」


「また……敵国が増えるのですか?」


「…………これは我が国を守る聖戦、成すべき大義なのです」


 そう言ってシグナは再び頭を下げてから謁見の間を出て行った。


 その後ろ姿を見守るエレンの表情は心配に満ちて暗く、儚げな美しさを醸し出す。

 清廉な印象を与える青と白を基調としたドレスに身を包み、絹のような青色の髪は美しく、サファイアのような輝きを持つ瞳はわずかに潤み、その美しい容姿はあまりに弱々しく、とてもではないが全世界に宣戦布告をし、世界統一に乗り出す覇王には見えない。


 理由は単純、神の教えに狂い、ゼノス教を信仰せず科学に溺れる他国を全て滅ぼしゼノス神の下、世界を統治しようと戦争を始めたのはエレンの父であり彼女はただその後を継いだだけだ。


 それでも敬虔(けいけん)なゼノス教信者である国民は戦争に湧き、新教皇であるエレンにゼノス神の神罰を世界にと期待し願った。


 エレンは戦争など望んでいなかった。


 人を救うはずの神の為に何故人々が死なねばならないのか疑問だったし、神を信仰しようがしまいが同じように暮らし、考え、子を成して家族と過ごす、そんな同じ人間達をゼノス神を敬わないという理由だけで悪として殺戮することが正しいとは思えなかった。


 そう、彼女はどこぞの国の王と同じく、多くの人が死ぬ戦争など望んではいなかっ

た。


 そして神の教えを忠実に守るこのゼノス皇国には、彼らの言うゼノス神に仇名す邪悪なる悪魔の気持ちを知る者などいなかった。

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