巨大ロボVS殺人格闘家
「メガクエイク!」
呪文名と同時にガノンダルヴァに向かって前方の土が次々に盛り上がり、鋭い岩が飛び出す。
頑丈な岩の槍が地面より敵を刺し貫くクエイクの上級版であり、これで死なないモンスターは少ないのだが、ガノンダルヴァはソレを何もせずに受け、そして分厚い筋肉の鎧にぶち当たったクエイクは一つの例外も無く砕け、踏み潰され、ガノンダルヴァに蹂躙されていく。
ただ走るだけで上級呪文の障壁を破壊する姿は異常なれど、それこそアクション世界の住人たる超常の肉体の成せる技であった。
「だったらこれよ! メガブリザード!」
エリスの手の平から凍てつく吹雪が巻き起こりガノンダルヴァを包み込む。
物理的な攻撃が効かぬなら超低温による凍死、仮に死ななくても体温を奪い筋肉の動きは止まるし凍傷でまともに戦う事など叶わない、実に正しい判断だが、エリスが凛一のように格闘アクションを理解していればこのような事はしなかっただろう。
「その程度の吹雪で我が熱き魂の炎を消せるとでも思ぉたか!!?」
まるで効いていない。
ガノンダルヴァという熱血筋肉魔人に触れる吹雪は片っ端から溶けて水になり体からは湯気が立ち昇る。
「ちょっ、アレあり得ないんだけど! サラマンダーでも凍え死ぬんですけど普通!」
「ぬぅうううん!!」
振るわれた剛拳を勇者の剣の刃で受け止めてエリスはたまらず吹き飛び背後の家の壁を突き抜けていく。
オリハルコン製の剣を殴ってもガノンダルヴァの素手はかすり傷一つついていない。
「痛つつ、くっそー、あいつの体どうなって……」
「これで終わりかぁあああああああああ!!」
起き上がると悪鬼のような威圧感で迫るガノンダルヴァ、最悪の目ざましである。
「イヤァアアアアアア!!」
咄嗟に剣に魔力を込めて振るがまたもガノンダルヴァの拳と衝突しダメージは与えられない。
一撃目はただ剣で受けただけだが今は魔力を込め、さらに攻撃の為に振るった。
おかげで一方的に弾き飛ばされる事は無く相殺して両者は互いに距離を取った。
「ほお、我が拳に傷を付けるとはな」
自分の拳を眺め感心するがガノンダルヴァの拳には本当に薄皮一枚が傷つき、うっすらと血がにじむ程度である。
確認するがエリスは先代魔王を倒した最強の聖剣である天界兵器熾天使の剣に魔力を乗せて振るった。
天使の娘である魔力も、勇者の娘である剣術も、そこらの魔術師や剣士が足元にも及ばぬほどのレベルのはずなのだ。
その剣と打ち合いかすり傷、アクション世界の武術家とは全身が神の金属でできているのかとエリスは驚愕し過ぎて声も出せずに震えた。
「だが奇妙だな、なぜその剣は我の拳を受けて折れない? 異界の剣とはそんなにも頑丈なのか?」
問われても出せる声をエリスは持ち合わせていなかった。
「何かおかしな事を言ったか? 普通剣や鎧は殴れば折れるものであろう? 武術家の体と同じ強度の金属など我は見た事が――」
『オレ様を忘れんじゃねーよ!』
異界間の価値観のズレを訴えるガノンダルヴァの眉間にシワがよった。
「人形風情が!!」
背後から迫るセイルへ振り向きざまに拳を放ち、アークの鋼の巨拳とガノンダルヴァの拳がぶつかり合う。
人類の英知を結集させた科学が生み出した最強の鬼子、巨大ロボ・アークの馬力に生身の肉体で立ち向かうガノンダルヴァは唸り、歯を食いしばる。
アークは打ち負け、拳が弾かれた。
一体この男はどれほどの身体能力を秘めているのだろうか?
ファンタジー世界の肉体強化呪文でどれほど強化しようと、SF世界の遺伝子技術でどれほど人の遺伝子を組み替えようが、常人がこのような力を持つのは不可能である。
どんな魔術師や科学者でも研究する気も起きないだろう。
「肩慣らしにもならぬわ!!!」
「俺が相手だ!!」
アークへ向かって一歩踏み出すガノンダルヴァの足が竜輝の言葉で止まる。
電撃オンラインでインタビューを載せてもらいました。
https://dengekionline.com/articles/127533/




