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勇者VS殺人格闘家

「ほお、我の名前を知っているか、如何にも、我こそはセイラン帝国軍四大将軍が一人!北方将軍ガノンダルヴァ! その矮小な肉体、大和の民か」


「そうだ、俺は大和最強の武術家神谷喜助の弟子、神谷竜輝! 何故この村を襲う!?」


「竜輝? そうか、貴様が近頃我がセイラン帝国に刃向かうあの子鼠(こねずみ)か」

竜輝は元の世界でもそれなりに活躍していたのだろう、竜輝の名は四大将軍の耳にも入っているらしい。


「いいから答えろ!」

「フン、単純な話だ、魔剣とやらを手に入れる途中にあった。ただそれだけだ」

「それだけの理由で……だが何故お前らが魔剣を求める、剣など俺達武術家には無用だろう」


「我が皇帝が異界の宝を所望していてな、エグゾディアスという魔剣には世界を統べるという伝説があるというではないか、それほどの宝ならば我が皇帝にこそ相応しい、我らの悲願は最強の武皇帝オルシンハ様の下、世界を統一する事、この村も遅かれ早かれこうなっていたであろうな」


「なんという傲慢……だが何故お前達が魔剣とその在り処を知っている?」


「世界が融合してから魔族とかいう鬼の軍と戦ってな、その時に聞き出した情報を元に我が軍の呪術師に捜索させた結果、この近くにあるという事を知ったのだ、貴様らも同じではないのか?」


「ああそうだ、だがあの剣はお前達には渡さん!」


『当たり前だっ!』


 竜輝よりも先に駆けたのはセイルだった。

 超重量のアークが地を蹴る度に大地が揺れ、地面は大きく抉れた。

 右手に持った高周波ブレードを大きく振り上げてセイルは腹の底から叫ぶ。


『そんなくだらねえ理由で人殺してんじゃねーぞてめえ!!』


 凛一には知る由も無いが、二十歳にも満たない年齢で傭兵集団のエースパイロットをしている事や、戦時中である事を考えれば、きっとセイルには戦争に関わる辛い過去があったのだろう。


 セイルの叫びは真に迫るものがあり、振り下ろした剣は感情をぶつけるような激しさだった。

 

 だがその刃はガノンダルヴァには届かない、否、アークが持つ大剣はガノンダルヴァの目の前で止まっていた。


 真剣白刃取り、人体の(ことわり)から外れる巨大ロボットの剛腕からくりだされた一撃を生身で受け止めている。


「これは凄いな、まさか人形風情がこれほどの腕力を持つとは……だが!」


 ガノンダルヴァは歯を食いしばり力むとアークの大剣を左へ放り、アークが体勢を立て直す前に飛ぶとアークの鋼の腹部を殴り飛ばした。


『ぐあっ!』


 大男と言っても三メートルもない生身の人間の拳で一〇メートルの鋼の巨人は後ろへ倒れ、マイクを通してセイルの呻き声が聞こえてきた。

「ふん、所詮人形では我が(たぎ)りを収められんか」

「ならあたしが相手よ!」


 倒れたアークを見下すガノンダルヴァはトドメとばかりに振り上げた拳を下ろし、聖剣を構えるエリスを見てほくそ笑む。


「武器に頼る弱者には期待などできぬが、我に挑む心意気や良し、では後悔するなよ……異界の戦士よ!!」


 大地が揺れた。


 ガノンダルヴァが猛然と地を踏みしめエリスに向かって突進してくる。


 いくら大きいと言っても人、っで、ありながら凛一は駅のホームで快速列車が迫ってきた時の迫力を思い出していた。


 数十トンの超体質量物質が超高速で迫りくるあの言いようのない迫力、セイルが操るアークからは何度か感じたが、それを一個人から感じるなど思っても見なかった。


 エリスも巨大モンスターと対峙した時のような感覚に襲われながらも剣での攻撃とみせかけて大地に手を付けた。


「メガクエイク!」

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