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四天王攻略完了

 桜崎凛一の四八の主人公補正(スキル)

 持て余されし若き肉体:ある一定の条件を満たす事で最強の戦闘形態、性欲魔人モードになる力、性欲魔人モードの時は野獣のような身体能力や普段の三倍の妄想力を得る。だが一定の条件をクリアして賢者モードという形態になると悟りを開き宇宙の真理と一体化する事ができる。


 

「さっきの続きだ。質問だけどみんなのお姉さんて事は四天王って四姉妹なのか?」

「違うわよ、血が繋がっていなくてもこの世の可愛い子は漏れなく私の妹と弟なの」

「なっ!? まさかこの世界にもオレの嫁文化があるとは!?」

「『オレの嫁』!? なんて素敵な響きなの!? やっぱり君は私のモノにするわ、魔王様と一緒に可愛がってあげる」

「ん? 魔王と一緒に寝るって言ってたけどお前が魔王に可愛がられるんじゃないのか?」


 凛一の質問にルビはクスリと笑うと口に手を当てて笑いをこらえた。


「逆よ逆、あの小さくて可愛らしい幼女魔王のノアルエイド様の寝姿を一人占めする権利を四人で争っているのよ」

「どんな魔王軍だよ!?」


 ここはゲームの世界ではなく異世界なのだから凛一が知るファンタジー作品と何もかもが同じはずはないが、それでも魔族四天王がガールズトーク好きの若い美少女達で魔王は可愛い幼女と少しも魔族らしさが無い。


「クソ! ただでさえスレンダー美少女と巨乳ボクっ娘のサイドテール双子姉妹にツインテールロリータにポニテの爆乳お姉さんという完璧の布陣なのにロリ魔王だと!? お前らはオレを萌え殺す気か!?」


 凛一の魂の叫びルビは二コリと笑う。


「あの子たちの髪型や服は私がコーディネートしたのよ」


 反射的に凛一はルビに土下座していた。


「ちくしょう! 勝てねー! 魔王軍最強過ぎだろが! こんなのにどうやって勝てばいいんだ!!?」

「貴方おもしろいわね」


 エリスと戦っていた時は真剣な面持ちで剣を交えていたが凛一と対峙してからルビの機嫌はうなぎ登りだった。


「つうかなんで魔王軍の幹部全員美少女なんだよ、男いないのか?」


 ルビの笑みが冷めた。


 今までは嬉しそうに頬を緩めながら凛一を眺めていたのに、その凛一の質問一つで彼女の顔からは柔らかさを失った。


 一瞬だけ視線を落としてから、ルビは堅い笑みを作った。


「みんな死んじゃったの」

「…………」


 絶句した。

 触れてはいけない事だったかと凛一も今までの興奮が冷めた。


「殺したのはエリスの両親だから貴方が気にする事じゃないけれど、先代の魔王軍は私達の親が運営していたの、だけど人間との戦争で勇者ロトギスとその守護天使エリエルに四天王、私達の親はみんな殺されて、魔王様も勇者との戦いで命を落としたの」


 涙は流していなかった、それでも、ルビの声があまりに寂しそうで、凛一は聞いているだけで胸が締めつけられた。


「ロトギスはこれで魔族は壊滅すると思っていたみたいだけど、娘の私達が四天王の代理を務めて、まだ言葉も喋れないノアルエイド様を魔王にして魔族を復興させたわ」


 ルビは魔王の事にしか触れないが、ならば若い彼女達も当時はそれこそ少女のように幼かった事だろう。


 なのに四天王の娘だからという理由だけで魔族の命運を背負い今まで人間達と戦ってきた事を考えると同情せざるを得ない。


 凛一はまだこの世界の事を詳しく知らないが、エリスは魔族との戦争とは言ったが魔族が攻めてきたとか、世界征服を目論む魔王といった事は話さなかった。


 ならばこの世界における魔王と勇者の戦いというのは地球で起こる民族紛争のような物で魔王軍が倒すべき悪というわけではない気がして、戦争がそんなに簡単なモノでは無い事は分かっていても、凛一は目の前に立つルビが酷く可愛そうな存在に思えてしまった。


「お喋りはここまでよ、貴方家族は?」


 顔に今までの柔らかさを取り戻してルビは地面を滑るようにして一瞬で凛一に近づき抱き締めるとまた頭をなでる。


「妹と二人暮らしで世界が融合した衝撃で別の場所に飛ばされたみたいで探してて――」


「妹って可愛いの?」

「可愛いのなんのってオレは妹より可愛い奴なんて見た事ないっての! 言っておきますけど四天王の皆さんと互角ですよ!」

「それは是非探さなくちゃいけないわね! 私達の魔法で妹ちゃん探してあげるからお姉さんと一緒に――」


 頭上から降り注いだ雷撃に気付いてルビはコンマ一秒で凛一からバックステップで距離を取る。


 ルビと凛一の間にエリスが降り立ち剣を構える。


「いい加減人間を惑わすのはやめて欲しいわね、でもあたしがいる限り人類は守りきって見せるわ!」

「……エリス・グランベール」

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