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勇者 武芸者 巨大ロボ VS 魔王軍四天王

「なんとか……間に合ったわね……」


 肌が焼けるような熱と耳をつんざく爆音が晴れてもまだ空気は熱く、ヒートアイランド現象が起きた東京を思い出す。


「マジかよ…………」


 森が消えていた。

 エリスが守ってくれたおかげで凛一達と足元の地面は無傷だが左右は二〇メートル、背後に至っては一〇〇メートル先まで焦土となり、あれだけ生えていた巨木は灰も残っていない。


 遠くに見える木々も焼け焦げている。

 凛一の心臓が一度大きく鳴った。

 エリス達の格好はコスプレっぽいと思った。

 エリスと竜輝の戦いは大地震の中で凄いレベルの格闘をしてたとも思える。

 だがこの惨状はなんだろうか。


 果たしてこんなリアルがあるか?

 こんな事が起こり得るか?

 現代日本の特撮技術で可能だろうか?


 右手の一振りで指向性の爆炎、否、マグマの津波が襲いかかって来たのだ。


 ポニーテール美少女の起こした現象に凛一は本当にここが異世界なのだと思い知らされた。


 今まではどこか半信半疑、もしかすると夢かもしれないと思っていた気持ちがマグマの熱で焼け焦げて凛一の中で強い覚悟が決まる。


 頭の中からあらゆるファンタジー作品のデータが溢れだし脳味噌がフル回転して凛一の表情が自然と引き締まる。


「平和ボケしてるヒマねえな」

「ちょっと四天王が揃って何やってんのよ」

「四天王なのかっ!?」


 シリアスタイム終了、いつもの凛一に戻った。

 

  モンスターと遭遇した

  四天王Aが現れた

  四天王Bが現れた

  四天王Cが現れた

  四天王Dが現れた


  コマンド

  こうげき

  まほう

  どうぐ

 ▶にげられません


 そんな映像が頭をよぎる。


「ちょいちょいちょいちょっと待てよお前! なんで四天王がエンカウントしてんだよ!? 第一ステージで四天王全員と同時バトルってそんなゲーム誰が買うんだよ!? クロノがトリガーしたって四天王エンカウントはねーだろ! それともこの世界じゃ魔王や四天王のエンカウントがデフォルトなのか!? ボスはフィールドやダンジョン徘徊してねーで城でおとなしく待機して勇者が来るまでワイン転がしながらキメ台詞考えるべきだろ!!?」


 パニクった。凛一はひたすらパニクった。


 彼の物語は始まったばかりだ。


 ただの学生がひょんな事から異世界に迷い込んでそこで美少女天使と出会って徐々に強くなりながら悪い魔王を倒す。


 などという王道展開は無く、いきなり四天王、それも四人全員と同時に遭遇したのである。


 こんな理不尽な展開どんな三流作家でも書かないだろうし書いても売れないだろう。

 なのに、


「ワインは飲みませんがお菓子とジュースなら食べてますよね?」とツインテール。

「魔王城のリビングにある映写クリスタルで恋愛ドラマ見ながらね」と左サイドテール。

「あとCMの間は流行りの服とか美容関係について喋ってるわね」と右サイドテール。

「そして毎晩誰が魔王様とベッドを一緒にするか争っているわね」とポニーテール。

「女子高生かッ!!」


 なんで魔王軍四天王がお菓子食べながらドラマ見てガールズトークしてんだよ!?


 てか最後だけ大人のエスカレーター登り過ぎだろ、ベッド一緒ってなんだよ!?


 ファンタジーのイメージがズタズタじぇねえかオレのドキドキとわくわくを返せ!


 と続けて言いたかったがすぐにポニテ美少女がエリスを指差す。


「勇者エリス、まさかこんなところで会うとは思わなかったわ、先代魔王様の仇も含めて今日こそ決着をつけてあげるわ」

「先代魔王を殺したのはあたしのお父さんのロトギスだけど大歓迎よ」


 エリスが腰から金色の最強の聖剣(セラフブレード)を抜き構え、同時にリーダー格と思われるポニーテール美少女も腰から燃えるような赤い剣を抜き放つ。


 そして勇者と四天王の視線が交わる中、凛一は鎧姿のエリスと違い露出度の高い赤いドレスのおかげで良く見えるポニテ美少女の爆乳の谷間と揺れをひたすら脳内HDに保存し続けた。


「ルビお姉さま、あの少年から異常な気迫を感じますので、あちらはわたしが」


 小柄なツインテール美少女の進言に赤いポニーテール美少女のルビは口元を緩めてエリスの背後に目を向けた。


「そういえばいつも一人の貴方が今日は珍しくパーティーを組んでるのね、いいわ、四対一なんて卑怯だもの、後ろのゴーレムも含めて四対四といきましょう」


 エリスとルビ意外の人物が視線を合わせる中で凛一は思う。


「(やっぱ巨大ロボってゴーレムに見えるんだ)」


 などと考えている間にも戦況は変わる。


「じゃあアタシはあのデカブツを」


 右サイドテールの美少女がアークと向かい合ったまま余裕の表情を浮かべる。


「じゃあボクはこの筋肉にーさんにするよ」


 と、左サイドテールの美少女が竜輝と向かい合い、有言実行、小柄なツインテール美少女は凛一と交えた視線を離さず魔力を高めていく。


「じゃあ初対面の人もいるみたいだから自己紹介しておくわね」

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