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第9話 なんて便利なスキルなんだ!

井戸の中は人が一人通れる程度だったけど、一本道で迷うことなく出れた。そういえば助けてくれたあの男の人の名前聞くの忘れたな。


「この森」

「しってる場所?」

「さっきいたのにもう忘れたんですか?」

「と、いうことは」

「そうですよ。加賀さんと出会った場所ですよ」


そうか、そう思うとこの場所が始まりの場所ってわけか


「さて、森に出たならもう安心ですよ」

「そうなの?」

「ええ、私のスキルは植物の場所が分かるだけじゃなくてその場所までの道や、植物の状態を把握できるんですよ。つまり応用すれば人の場所や道なんかも普通にわかります。食材も確保できますし水も大丈夫ですね」

「それはすごい」

「ただ、街の中みたいに植物がないところは点でダメなんですけどね」

「それがあるならこの森でも遭難することなさそうだな。じゃあ歩きますか」

「え?加賀さん、休まないんですか?」

「セリアさんすまないけど、人に追われるって経験がなくてこういう時どうしたらいいかわからないんだ」


俺は普通に日本でまっとうに生きていたから当然、人に追われることなんてなかった。だからどうするのが正解なんかは全くわからないけど少しでも離れることが優先だと思うわけだよ


「いえ、流石になれているとは言え夜の森は危険ですのでここで休みましょう」

「そう、ですか。セリアさんがそういうなら」

「あ、ちなみに私も追いかけまあされることなんて経験ありませんからね」

「ですよねー」

「でも、森のことならわかります、夜は目も利きませんしそれに今日は疲れもあります、ここから先たくさん移動することになりますから

教会の人は基本的に外まで追いかけてきませんから大丈夫ですよ、あんなプライドと権力の塊の人が泥まみれになって私たちを探すなんて考えにくいですから」

「そんなもんなのか、でも見張りはいるんじゃないか?」

「森の中であれば大丈夫です、私のスキルがありますから」


え、セリアさんのスキル超便利。この状況下で完璧といってもいいぐらいのスキルだな

それに比べて俺のスキルは・・・ってもしかして


「セリアさん、足とか疲れてない?」

「それは、まあ」

「もしよければ見ましょうか?少しは楽になりますよ?」


どうも仕事モードというかリハビリ的なことをしようとすると敬語が出てしまうのは長年の癖でしょうがないかな


「あ、でも、もしいやだったら・・・やっぱりやめときましょうか」


そうだ、俺はこのスキルで間接的にセファさんを殺してしまったんだ


「ぜひ、お願いします。実は足がパンパンだったんですよ!加賀さんがそういってくださってうれしいです」


そういってセリアさんは笑ってくれた。

この人には本当に気を遣わしてばっかりだな・・・


「では、少し触りますね」


足首、膝関節を伸ばして筋肉の状態を診ていく。そうしてまた手が光った。

正直この程度の痛み緩和とかはスキルじゃなくても十分にできる、が手段はこだわらないのが一流

方法にこだわるのは三流だ、だからスキルで症状が改善するならそれでいいと思う

迷うことなく俺はスキルを使う


すでに人を不幸にしたスキルだけど、それ以上にむしろこれから多くの人を救うためにこのスキルを使っていきたい

まずは目の前の心優しい女の子ために使おう


「本当に軽くなった」


セリアさんは期待してなかったみたいだけど、この【リハビリ】のスキルは本物だ。

ここまでで、【リハビリ】のスキルで分かっていることは状態を把握するだけで劇的に回復するというか、元の状態に戻すことができる効果だ。まさに本来あるべき姿に戻す(リハビリテーション)だな

個人的にはすごく使い勝手がいい、前世の仕事のままだし、得られるものが大きい。

ちなみに自分に試してみたが効果はなかった、評価が足りなかったのかもしれないが自分に使うのは諦めておく。

その他、評価しない場合はスキルは発動しなかった。つまり、発動条件として評価が組み込まれているということだ。この点は噂の【ヒール】の方が制約がないから楽なのかもしれない、ただ、得られる効果は微妙なものだけど

なんにせよ、


「加賀さんのスキルって本当にすごいですね」

「ああ、自分でも驚いてる」




「さて、これからどうしようかな」

「どうしますかね」


当然、あの街には戻れない、これは確定事項だ

ちなみにこの国は宗教国家でシェーレンというらしい。国教はシェーレン教という、名前だけいっちょ前にかっこええな

それで追いかけまわされた街の名前はルスカンベルクというらしい、これまた名前はかっこいい

名前だけな。

この国自体が宗教国家である以上、俺はこの国では肩身が狭いというか、スキル使えないってなるとこの世界の基本能力がなくなる、つまり手足縛られて生きていくようなものになる

打開するには


「この国出るしかないか」

「加賀さん意外と頭回るんですね」

「セリアさんは意外と口が悪いんですね」


よく考えてみればセリアさんの前では基本的におどおどしていただけなのでそう思われてもしょうがないけど、わざわざ言葉にするあたりいい性格しているぜ

ちなみに元三十のおっさんは異世界にきて環境の変化に戸惑って頭回ってなかっただけで普通に追いついてれば少しは頭回るんだ


「ではとりあえずの目標はこの国出ますか」

「ああ、そうだな。でもセリアさんはいいのか?」

「まさかここで私を置いていくという選択肢があるんですか?」

「いや!そうじゃなくて国を出るってことに抵抗感ないの」

「両親を殺し、おばあちゃんも殺したこの国にうらみはあっても未練はありません。むしろこの国を抜けだせるいいきっかけになりました」

「俺はあんまり宗教ってわからないんだけど、セリアさん一応宗教国家で生きてきたってことはシェーレン教?の教えってのがあるんでしょ?それはいいのか?」


宗教を信じる人にとって改宗したり、教えに背いたり、全く違う文化に触れて教典に違和感を持ったりするのって自分の信じてたものがガラッと変わるわけだ

無宗教の人間には想像できないものだけど


「ええ、私あの国に生きながらなんとまともに教育受けてないんですよ」

「・・・そんなのってありなのかよ」

「だめですよ?でも、無理をお通してここまで来ましたので」


長い物には巻かれろ、の精神の日本人には正直驚きを隠せない生き方だ

日本人は口では長い物には巻かれるなんてよくない、自分の意見を貫けと最近の風潮ではなっているが実際につきとおすとごくわずかな成功者と大多数の社会不適合者が生まれる、となると結果的に発言と行動が違ってくるわけだ

日本でいえば義務教育受けないみたいなもんだろ、どっかの小学生ユーチューバーがそれやってたけどすごいバッシングだったもんな

俺個人は害がないので興味なかったけど、それにしてもセリアさん結構破天荒なんだな

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