第66話 新たな出会い
今日はセスさんのところに技術者の紹介状をもらうことになっている。話によると気難しい人とは聞いて居るけどどんなもんなんだろうな。
「ようきたの、ほれ、これが約束の紹介状じゃよ。ええか?気難しいが腕は確かじゃ、気立てはよくても中途半端な奴がよければ今言うんじゃぞ。」
そんな言い方されると「じゃあ保険で聞いてもいいですか」なんて言いにくいじゃねえか!まあ、アリスにはできうる限りの最高の義手をつけてほしいとは思うけれども、行ってみないとわかんないか。
というわけで他の技術者に関しては断った、セスさんはうんうんとうなずいていたからこれが正解なんだろう
「ああ、それと加賀よ。店の準備は一週間ほどでできるからの、また時間が空いたときにでもくれば案内するぞ、メンデルがの」
メンデルさん・・・その名前を聞くと多分顔がへの字にでもなっていたんだろうな。
「そんな顔せんでええじゃろ。あいつはあいつでいいやつなんじゃよ、ちょっと親離れできないというかの。まあ年も近いみたいじゃし適度に仲良くしてやってくれんかの?」
「ええ、機会がありましたらね」
社交辞令で返したつもりだった、日本人なら癖だろ?それに明らかな社交辞令だとわかっているから本気にしないこれが普通だと思って過ごしてきた、セスさんにとっては格好の獲物だったわけで
「そうか、じゃったら加賀の専属アドバイザーにでもしておこうかの、これで加賀の言う『機会』ができたわけじゃ、約束は守ってくれるよな?」
口は禍の元、まさにという状況だ。思わぬ一言がえらいことになってしまったわ、あれほど関わるなと忠告されたのに専属アドバイザーなんて関わるの必須じゃないか。なにするのか知らないけどこれ以上墓穴を掘るのはごめんだしさっさと紹介状をもらって商業ギルドを後にした。
「賢聖さん、そんな青い顔してどうしたんだ?」
皆には外で待ってもらってた、紹介状もらうだけだしみんな入ってこなくても大丈夫だと思っていたんだけどこんなことになるならセリアかアマルフィあたりを連れえていくんだったな
「いや、何でもないよ。紹介状もらったことだし行こうか」
「それで賢聖は場所をしっているのだよね?少なくても私たちは知らないことが君を待っている間に判明したんだけれど、もし知らないならその靴を翻して中に入りたまえよ」
アマルフィからおそらく俺が場所を聞き忘れているだろう予測に基づいた厳しいひとことを返される。いつもならここでセリアに慰められながらトボトボと来た道を帰っていくのだが今日は違った。
「ご心配いりません、私が案内します。」
そこには商業ギルドのボスから押し付けられ、関わるなとパーティメンバーから忠告されている張本人がいた。だれか、それはメンデルさんだった。
見ただけで俺、セリア、アリスは震えた。だが初対面の二人の反応は違った、二人とも戦闘態勢だ
「君は誰かな、私は知らないのだが自己紹介をお願いしてもいいかい」
「・・・」
アマルフィの問いかけに反応しない。
「おい、反応しやがれよ!」
「加賀様、これからくだんの技術者ヴァラン様の工房へご案内します」
当然のようにエレンのことをスルーして俺に話しかける。
ん?そいえばセスさん「加賀の専属アドバイザー」とかって言ってなかったか?もしかして・・・
「メンデルさん、セスさんからなんて言われて来たんですか」
「はい、加賀様の専属アドバイザーとしてできうる限りのサポートをするようにと。ですので加賀様のサポートをいたします。」
「・・・多分ですけど、それは私だけのサポートをするのではなく私の店のサポートをすることだと思いますよ。つまるとこは私の仲間のサポートとまではいかなくても会話ぐらいはしてもいいと思いますよ」
「そうだったんですね、これは失礼なことをしてしまいました。私はメンデルと申します。主セス様の秘書をしております、私の行動にはセス様の命令以上の他意はございませんので悪しからず」
なるほど、分かった気がするな。きっとセスさんの悩みはこの子が言葉通りの受取り方しかできないことなんだな。言葉通り素直に受けるのが悪いことかと言えばそんなことはないんだけど素直なままで生きていけるほど世の中甘くないし、たぶんこの子はセスさんの言葉なら信じて疑わないだろうな。
最初よりは警戒心は下がったけどなんとも大変そうな人だな。
しばらく歩くといかにも工房って感じの建物があった。
「ヴァラン様はおられますか」
「あ?おお、メンデルちゃんじゃねえか!どうした、セスの使いっぱしりか?」
「いえ、案内に来ただけです。」
え?それだけ!?ふつうここで簡単に紹介して間を取り持つんじゃないのか?
俺の常識が違うのか!これが異世界流なのか!
と思っていたら他のメンバーもポカーンとしていたのでやはりメンデルさんは案内しろと命令されたので案内したまでで終わったんだな。
「始めまして、加賀です。今日はお願いがあってきました」
「おう、メンデルちゃんの紹介なら聞くのはやぶさかじゃないんだけどよ、おい、そこの二人わりぃが出てってくれねえか」
そう言ってヴァランはエレンとアマルフィを指をさす。
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