第65話 エレンの悩みと賢聖の反省
夜、俺たちは2つの部屋に分かれて寝る。当然男女で分かれたのだけど、エレンの顔が浮かない。俺はてっきり今日の依頼のこと気にしてるのかと思った、責任感の強いエレンのことだもしかしたら自分の行動でパーティーの名前に傷が的なことかな
とりあえず話を聞こうかなと、思っていたらエレンの方から声を掛けてきた。
「賢聖さん相談があるんだがいいか?」
何と相談とな、となると今日の依頼のことじゃなさそうだ。むむ、もしかしてアリスのことか!パーティー内の恋愛的なそんな話?
「実はアリスのことなんだけど」
ほら来た、超名推理!
「アリスの腕の決断あれで本当に良かったのかな、俺、見ているのが最近辛くて・・・賢聖さんはどうしてそんなに落ち着いているんだ?罪悪感は感じねえのか?」
おっと、まじめな話だったな。この手の決断は俺には普段常にしていた、もちろん前の世界での話だ。
リハビリに限らず医療ってのは治療することんのメリットとデメリットが当然ある、例え薬だ。薬は飲めば病気が治るかもしれないが副作用が出るかもしれない、手術だと病気を根本から治せるかもしれないけど死ぬかもしれない、何もしなければ改善することなく危険にさらされるかもしれない。
リハビリならそんなことはないかもしれないと思うが、厳しい選択を迫られるときもある。例えばリハビリをすることで悪影響を及ぼす時にはリハビリをしないという選択もあるし、効果が得られないのならリハビリを終了するということを本人・家族に説明するときもあった。
だから、医療措置をするときに成功すれば何も思わないけど失敗したときには責められる覚悟はできてる、いかに自分に医学的に正当な理由があってもその場で責められるぐらいは甘んじて受け入れるんだ。
「当然罪悪感は感じるよ、でも俺はそれ以上に命を救えてよかったと思ってる。俺は自分の目の前の命を見捨てるなんてことはしない。恨まれるかもしれないし自己満足だといわれるかもしれない、だからといって見捨てるって選択肢は俺にはないんだよ、俺は命を救うことで責められるのを覚悟しているんだよ」
これは普通の人には酷な話だ。ある意味特殊な状況にいたからこその話だからな、同じ覚悟をエレンに求めるのは土台無理だ
「エレン、辛いならたまにこうやって吐き出してもいいよ、いつでも聞くから。」
「賢聖さんはどうしてそんなに強いんだ?」
「強いわけじゃない、慣れてるんだよ。エレンが魔物と戦うときにしり込みをしないのと同じさ、俺には無理だ。多分エレンは慣れだって思っただろ?そうなんだよ、慣れなんだよ、もちろん世の中にはなれちゃいけないものもある、アリスの件に関しても真摯に罪悪感や自分の選択に責任感を感じるのは真摯に向き合ってる証拠だと俺は思うぞ」
俺が強いところなんて見せたことないだろうに、エレンにそんな風に言われるのが正直にうれしかった。でも、俺からすればエレンの方がずっと強い。自分の行動に責任を持ってるし相手を思いやる気持ちがある、それはやろうと思ってできることじゃないと思う。
「俺が真摯に向き合ってる?」
俺の言葉を咀嚼するように繰り返す。
「そうだよ、少なくとも俺はそう思うよ」
ここまでは俺の感情や俺から見たエレンの話だけど、アリスの感情については何とも言えないし一言で片付くような類の内容じゃないしそれはアリスだけのものだからな。推測はできても完全に理解することはできない。
多分それはエレンも分かってると思う、だから直接聞くなんて行動をしなかったんだと思うな。まあそれで悶々と悩んでいるみたいだけど
「・・・そっか、ありがとな」
そう言ってエレンは納得した表情をして眠りについた。
エレンの求めている答えとは違ったのかもしれないけど今の俺に言えることは伝えたしあとは本人次第だな。
エレンの悩みを見ると自分が駆け出しの時の頃を思い出すな、いつぞやか慣れてこういったことの感情の処理を機械的にするようになったんだよな。
その時はプロになったのだと思ってたけど実は真摯に向き合えてなかったのかもな。そう思うと自己嫌悪に陥りそうだ・・・はぁ、いっちょまえに偉そうに言ったけど本当は俺自身が向き合わないとな
アリスのことだけじゃなくてな
さて、反省もそこそこにして明日も忙しそうだし俺も寝るか。
お読み頂きありがとうございます!
ここまで少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価を頂けますと、作者のモチベーションが爆上がりします!
お手数お掛けしますが、ご協力頂けると幸いです




