第64話 帰宅
宿の流転の民に帰っていた。それぞれくつろいでいたが終止無言だったがその沈黙に耐えられず思わず声が出た。
「やっぱりおかしかったよな・・・」
一呼吸置いてから
「そうですよね!(ですわよね!)」
二人の声が重なって同調した。
そこからは堰を切ったように次々にメンデルさんの奇行について話した、話したというかパニックに落ちた心情を吐き出した。
メンデルさんの奇行だけでなくセスさんのあの慣れた対応、きっと似たようなことを今までもしてきたようなそんな反応を想像させられる。
「多分ですけれどあの方、攻撃系のスキル持っていますわ。普通の人の腕力ではあんなになりませんもの」
「それとタガは外れてるな、それとこの世界の人はこれが一般的なのか?」
「あなたは私たちがあんな奇行をする人に見えますの!?」
アリスが声が荒ぶる。
「私は分かりませんが冒険者ならそうかもしれませんね」
さらっとセリアは自分だけは対象から逃れた。
「待ってくださいまし!セリア、自分だけ逃げようとしても無駄ですのよ!あなたも今は冒険者なのですからね、それに冒険者たちの名誉のために言いますけれどあんな奇行をする人はいませんわ。なにせ冒険者にとって体は一番大切なものですからね、それにタガが外れているのは職種関係なくいるところにはいますのよ」
そんな風に話をしていると依頼組の二人が帰ってきた。
「お、楽しそうに話してるな!ってことはうまくいったのか」
「待ちたまえよ、無理に明るく振舞っている可能性があるだろ?最初からハードルを上げるのはかわいそうだろ」
「む。それもそうだな、ハードル上げてすまねえ。」
またアマルフィがエレンをからかってるし、ほんとエレン素直だよな。というか今更だけどこの二人依頼とかうまくこなせたのか?いつも言い合いしてるけど、と思って聞くと仕事は別なんだとさ。確かに戦っているときの息はピッタリだったしそんなものなのか
シュンとしてるエレンに事の顛末を話した。
「そりゃ、すげえ覚悟決まってんな。そういう類には近づかねえのが一番だぜ、たぶんセスってやつのためなら何でもやりかねねえからな。賢聖さん、そんな奴でも治したんだろ?」
「どんな経緯でも怪我には変わりないし、ほんとは怪我する前にとめるべきなんだろうけどな。」
「それは無理だろうね、遠距離を主体とするアリスだが腐っても冒険者だ素人の行動なら反応できないわけがない、そのアリス出さえ何もできなかったとなると近距離を得意とする私や馬鹿でも対応に遅れた可能性があるからね。馬鹿の言うとおり近づかないほうがいい類だろうな」
苦々しそうにアマルフィが話す。確かに俺やセリアは素人だから反応できないにしてもアリスは冒険者でアマルフィやエレンに比べて少しは反応が遅れることはあっても素人相手に気が付かないなんてことは無いだろう。
つまり、相当の実力があるってことだ
「なにせよ商売できそうでよかったぜ、それで・・・」
エレンは聞きにくそうにアリスの方を見る。
「ええ、私の方も収穫がありましたわ。といっても賢聖さんが聞いてくださったんですけどね、明日技術者を紹介してくれる手はずになっているんですの」
心底ほっとした様子のエレン。まだ相当アリスの怪我を引きずっている様子だな、自分の決断でこうなったっていう罪悪感がなくなることはないのは確かだ、もちろん俺にもそれはあるしエレンの気持ちもよくわかる。アリスはそんな俺たちの気持ちが分かっているから最初の時以来取り乱すことはないし今は前向きな発言も増えている、がしかしそれが少しだけエレンに重荷になっているのも見て取れる。
「そういえばそっちの依頼はどうだったんだ?うまくやれたか」
「あ?ああ、まあな」
「今回は一日護衛って依頼を受けたんだけれど、依頼人と喧嘩してね」
依頼人と喧嘩ってことはアマルフィがか・・・全く大の大人が何やってんだか
「アマルフィ、いい大人なんだから丁寧な対応ぐらいできるだろ?」
「ん?・・・ああ、そうだな。私も大人げなかったとも思うよ、今は反省しているさ。いいわけになるかもしれないが依頼を受けるなんて言うのは初めてでね、どうも勝手が分からなかった節があるんだ、今度はうまくやるよ、なあ、エレン」
ん?話の流れがおかしい、アマルフィが話せば話すほどエレンの顔がうつむいているし、セリアとアリスはクスクスと笑ってる、しまいにはアマルフィがエレン呼びだと?
「まさか」
「俺がやらかしたんだ・・・それでア、アマルフィ、さんにフォローしてもらって」
「ハッハッハ!いいじゃないか、私たちはパーティーなんだからな!助け合っていこうじゃないか!」
ぐぬぬ
エレンの悔しそうな声が聞こえる。どうもことの顛末は森に入って魔物を見てみたいという学者が依頼人だったらしい。その依頼人に対して護衛を頼まれたわけなんだが、これが自由な人らしくてエレンたちが魔物と戦っている中でも目当ての魔物じゃないとわかると否や別の場所に移動する、目当ての魔物だとできるだけ傷つけないようにしてほしいだの、解体を手伝ってほしいだの言われこのままだと守り切れないということを伝えても「それを守るのが仕事ですよね」と言い返され、ついにエレンがキレた。
キレたエレンは「このままだと守り切れないし命の危険がある、提示された報酬に見合わない」と暗に限界だと伝えたのに対して、学者さんは「報酬は提示の倍出すからそれでいいだろ、黙ってついてきたまえ」と逆切れされる始末。
そこからは口論になりかけたところをアマルフィが両者をなだめたというわけだ、あのまま行くとクエスト失敗でギルドからの評価は下がるし違約金を支払うケースもあるのだという
「フフフ、私の機転で報酬は二倍、そして今度依頼するときは指名してくれるそうだよ。案外話の分かる人でね私はあんな依頼なら受けてもいいと思うがね」
なるほど、アマルフィと似たようなタイプの人なんだな。人当たりのいいエレンが苦戦する理由がよくわかった。
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