第63話 正気かこの女!
セスさんから実際に力を見せてほしいと言われ、見せるのは構わないけど誰か本当に怪我していないのかと聞いた。そうしたら、迷わず秘書のメンデルが自分の足を折った。
そうだ、自分で自分足を迷わず折ったのだ。
「は?何やって」「え?」「何やってるんですの!」
俺らは三人同じような反応になっていたがセスは少し違った。
「馬鹿もんが・・・あれほど先走るなといつも言っておるじゃろうが!客人の前で何見せとるんじゃ、惚れ見てみい、引いておるじゃろ」
「・・・はい、すみませんでした。先ほどの挽回をと思ったのですが」
「あんな三文芝居でどうにかできるレベルじゃととうになかっただけじゃ、それなのにお前というやつは・・・」
すまんなんだ、見苦しいところを見せたと。セスさんが謝罪しメンデルもそれに続いた。
「見ての通りじゃから治してもらってもええかの、本当にこんなつもりじゃなかったんじゃが」
「すみません、お手を煩わせてしまいました。」
「はぁ、メンデルは忠誠心というかワシのいうことを素直に聞くんじゃが少々行き過ぎたことろがあっての、たまにこうやって頓珍漢なことをするんじゃよ」
少々・・・え、これが?!
嫌なにから突っ込んでいいのか分からないし頭の中パニックになった、何なら一番冷静さを欠いている状況といってもいい
そしてメンデルさんは全然声上げてないけど足当然だけどもう真っ赤になってるんだけど!?どうしてそんなに平気な顔してるんだ!?
異常すぎる光景に脈が速くなる。
スゥ、ハァー!ふぅ!
乱れた呼吸を整えるために深呼吸して、息を整えて無理やり冷静になろうとする。
「では、行きますね」
状況は評価しなくてもおよそ分かってる、外傷による大腿骨骨幹部付近の障害でおそらく骨折と思われる。
ああ、スキルが発動しそうだな。
「ほぉ、それが加賀のスキルなのか。メンデルどうじゃ」
「はい、セス様。足の痛みは引いて・・・元通り動きそうです。すごいですね、前よりも軽いぐらいです」
本当にスキルが発動してよかったよ。見るに堪えない傷跡だったしな
「なんとそこまでか・・・君たちシェーレンから来たというのは本当か?」
セスさんはひとしきり驚いた後で俺たちがどこから来たか尋ねた。
隠す必要もないためセスさんの質問に頷いてみると、「苦労したじゃろう」とまるで何があったかを見透かされたような声で俺たちに話しかけた。
「よし、加賀らに認定しようかの。ほれ、これが商業ギルドのカードじゃ。なくすなよ?これがあればワシからの認定を受けたことになるか一定の信頼があるじゃろ、ルクゼンベにいる間はどこでも有効じゃから大事に持っておくのじゃよ。」
これが商業ギルドのカードか。冒険者ギルドのカードによく似ているな、たぶん似たようなシステムなんだろうな、今思えばギルドカードってどんな仕組みなんだろう。これだけなんか魔法というか一層ファンタジーだよな
「それと店をもつんじゃったよな、何か希望はあるかの?メンデルのことを治してくれたお礼じゃできうる限りの希望を聞くぞ、ほかにも何か準備してほしいものがあれば言うんじゃぞ」
セスさん全部タダで用意してくれるのかと思ったらきっちり後からお金は取るといわれた。
ですよねー、世の中そんなに甘くないですよね・・・、でもまあ希望は叶えてくれるということなので人通りが多くて治安がいい場所を希望した。物は机と仕切りみたいなものだけで十分なのでそれを頼んでおいた、俺のスキルでいいところはものや場所を選ばないところだ、やろうと思えば路上でもできる。それだと一応プライバシーが守られないので部屋を借りるわけだが
「そんなところかの?また準備できたら連絡する、ほかに何もなければ今日は帰ってええぞ」
帰るまえに一つ聞いておかないといけないことがある。アリスの義手のことだ。
【ヒール】が浸透していないというか、無い国だからもしかしたら義手が普及しているのかもしれないししていなくても技術者を紹介してもらえれば恩の字だ。
「セスさん実は俺の仲間のアリスの腕を見てもらいたいんですけど」
アリスは普段長袖に手袋をしているのではたから見れば分からないことの方が多い、なにせ形だけはよく似せているからな、だけど一緒にいる時間が長ければ長いほどその違和感に気が付く。当然セスさんも気が付いていたわけで
「やっぱりかの、そうじゃないかとは思ったが踏み入ってええのか分からんかったんじゃ。それで技術者についてじゃたの、ふむ・・・・おらんことは無いんじゃが如何せん気難しいやつで気に入られれば話が早いんじゃが嫌われると後が面倒な奴がおるんじゃがそれでもええか」
そこまで保険掛けられると不安になるけど可能性があるなら十分だ、セスさんにそれで問題ないことを伝えて紹介状を書いてもらうことにした。
紹介状を書くのに少し時間が欲しいとのことだったのでまた明日取りに行くことになり今日は商業ギルドを出ていった。
帰路に就いたが三人はしばらく無言だった。それもそうだ、希望通りの成果を出せたにも拘わらず疲労困憊な状況なのだから
「なんだか疲れたな・・・」
「はい。もう、ベッドで休みたいです」
「本当ですわね、私は甘いものでも食べたいですわ」
トボトボと歩く三人はどこから見ても目的を達成した姿には見えなかった。
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