第40話 武器屋
「それじゃ、準備をしようかね。賢聖、準備は何も情報だけじゃないんだよ?少なくても山に行くんだし食料も必要なし、なにより装備が第一だ。さすがに賢聖とセリアの服装をみて冒険者だと思う人はいないさ」
「そうだぜ、どっからどう見ても依頼者にしかみえねー、この際いい装備をそろえようぜ!」
「私、ナイフぐらいしか使ったことありませんけど大丈夫でしょうか」
「心配いらないさ、ナイフも十分武器になるし武器だけではなくて防具を買いそろえるのが最優先だよ、できれば二人は自分の身は自分で守れるレベルになってもらえたらいいのだけどね。なに、すぐには難しいだろうからこれからの旅の中でということにはなるがね」
自分の身は自分で守るね、男なら誰しも武器や防具を買いそろえるのはテンション上がるもんだよな、だけどこの仕事について、人を助けることはしても傷つけるための道具を自分の手に握ることがどうにも抵抗があるんだよな
カッコいいとは思う、だけど自分でそれを使おうとは思わない。例えていうなら高級車を見るのはいいけど自分で乗りたいとは思わないみたいな感じだな
と思って俺は武器を持つことを遠慮したけど護身用だ、武器を持たない冒険者なんていないなどさんざん言われて渋々ついて行った。
セリアは以外にも乗り気になって向かって言ってる
「いらっしゃい・・・冷やかしなら帰んな」
営業スマイルから一転、店を出ろとのお達し。あれか!恰好か!そんなにひどい格好してんのか!?この街外見重視しすぎだろ!もっとあるだろ、中身見ろよ!
「いいや、私たちは客だよ、言い値を払うから装備一式を用意してくれないか」
「あ?っと、あんたはそこそこ腕の立つ冒険者のようだな、何か?こいつらの師匠かなんかか?」
「それも悪くないが、残念ながら関係性は違う、同じパーティーメンバーだよ。それより揃えてくてるのかい?難しいなら他の店に行くだけだからすぐに返事してくれたまえ」
そういうと店主は客ならちゃんと対応すると言って俺たちの装備を見繕ってくれた。
防具とかは防御力重視でフルメイルなんかにした日にはすぐばてるし動けないなんかのでメリットしかないから却下になった。よく戦国自体の武士は鎧なんか着て戦ができたよな
「まあ、初心者に重い装備なんて無理だわな。軽くて丈夫なものでいいな。それで問題は武器だがあんたら獲物はあんのかい?」
「俺はない、何ならあんまり武器とかは持ちたくないとまで思ってるが、しいて言うなら殺傷能力の低いもの生活で使えるものがいいな」
俺は本心をそのまま言うとそんなものは日用品売ってる店にでも行けと大目玉を食らった。もう黙っておこう、着せ替え人形に徹するぜ
「お嬢ちゃんは何使うんだ」
「そうですね、私はナイフしか使ったことがないです。」
「ナイフか、護身用に持つとしてそれだけじゃ足りねえ気がするが」
そうですか、とセリアは少し考えこむが
「心配ねえぜ、セリアが戦うことはねえんだからな!あくまで戦闘は俺とそこの女だ、護身用としてあったら問題ねえんだ」
店主もそういうことならと素人でもわかる業物のナイフを用意してくれた。おい、いくら積んだんだよ、散財しないのかとアマルフィに聞くとエレンが払うか心配ないと、15歳にたかる構造はいろいろと問題あるだろ!と思ってエレンに謝ろうとしたが
「俺、金はあるんだ。今まで使い道なかったしな、だから心配いらねえし、どうしても気になるなら賢聖さんに腕を直してもらった治療費だと思ってくれ。本来はそれもで足りないぐらいだぜ」
なんとも気前のいい話だよ、俺もそんな人間になりたい。年下の男の子を見てそう思うことがどうかとは思うけどな
「それでお前さんはなににするんだ?」
どうせお飾りだしなー
「エレン何がいいと思う?」
「そうだな、短剣とかでいいと思うぜ、いきなりちゃんとした武器持っても使えなきゃ意味なしな。それにセリアと同じ目的で使うわけだしな・・・あ、この杖なんかはどうだ?」
杖って、この世界魔法まであんのか!?
と思っていたけど日本で言う錫杖とみたいなもんで、扱いは鈍器だ。まあ杖は職業柄よく使うものだし他のよりは親しみがあるか
というか、リハビリと言えば杖か!むしろ一番しっくりくるか!
「お、あんたいいのに目をつけるな!これはな・・・こうやって、ほら、刃が出てくるだろ?仕込み杖ってんだ!珍しいだろ?」
エレンがテンションが上がって速攻で購入したのは言うまでもない。うん、仕掛けがあるのって男心くすぐられるよね、それは分かる!
「な、言ったろ?武器屋が嫌いな男なんていねーんだよな!最初に渋ってた賢聖さんですらあんなになるんだからな」
エレンはにこやかに笑う。
「そうですね、あんなにうれしそうな賢聖さん初めて見ました。でもあの杖、武器になるんですか?あれより剣とかの方がいいのではないですか」
実用性の部分を重視するセリア、彼女はデザインよりもかなり機能性な部分で買い物をするタイプなのだろう
まだ、アマルフィの方がデザインを気にしたりしていたぞ?
というか、ファッション面ではエレンが一番センスが養われてて同じ性能ならこっちの方が似合うとか俺やセリアにお勧めしてくれたな、それがまたしっくりくるからほとんどエレンの意見を採用したな
当のセリアは
「武器は武器で防具は防具ですよね、それ以上でもそれ以下でもないですよ」
とまあ、なんともいろっ気がないというか・・・
「賢聖、実際問題、剣は使えるのかい?私は出会ってから見たことないし、それに前世と言っていいのか前の記憶でも剣は振るっていなかったんだろ?」
「ん?ああ、全く使えないよ。それに傷つけるために使うつもりはないし、一応持ってるってことが大事なんじゃないのかな?セリアもそんなにナイフ使えないだろ?」
「そうですね、二人のようには戦闘には参加できませんが、危険のない魔物ぐらいは一人で仕留めれますので食料調達には役立てそうです」
「賢聖、君はセリア以下の戦闘力として考えておくよ」
やれやれ、と言わんばかりの反応をするアマルフィ。すかさずエレンがフォローを入れてくれる。
「賢聖さんの本領は戦うところじゃないんだからじゃねえか、護身用程度にしか俺も思ってねえし賢聖さんは戦わなくていいんだよ。後ろに賢聖さんがいるだけで俺は全力で戦えるし怪我しても治してくれるって思うと気が楽になるぜ」
うん、エレンほんとにやさしい!こう、傷つきそうな心をさっと守ってくれる感じがあるな。
そんないいやつが、どうして前のパーティーメンバーからあそこまで毛嫌いされているんだ、それがやっぱり解せないな
それから必要なものを買いそろえて明日の準備を終えた。荷物持ちは俺とセリアになるので二人で持てる量のみしか買えなかった、エレンとアマルフィが荷物を持たないのは戦闘に専念するためでだ、セリアの荷物も俺より軽くしており、スキルを使うことに専念しやすい環境にした。
俺は非常事態にならない限り出番ないから荷物を主体にして持つことになった。
パーティーリーダーが荷物持ちとはこれはいかに
「各自寝坊しないようにな、全員寝坊した場合、時間を間に合わせるためにアマルフィのスキル使わないといけない羽目になるからな」
エレンとセリアは覚悟を決めた目でうなずいた。二人とももう二度とあの思いがごめんなのは一緒だ。
その夜、エレンと同じ部屋の俺は聞いてみることにした。
「エレン、今日は大丈夫だったか?無理してないか?」
「何が?」
わざととぼけるような風に答える
「元パーティーのこと」
少し黙って、意を決したように言葉を絞り出した
「気にしてないって言ったらうそになるぜ、あんな言われ方しても長い間パーティー組んでたからな。あいつらは俺のこと嫌いだったみたいだけど俺はあいつら好きだったんだぜ、だから今日までは申し訳なさがあったんだ、でもまあ今回で完全に吹っ切れたぜ」
それもこれも賢聖さんのおかげだと、寂し気に言うがやっぱり辛いんだろうな。昔の仲間にあそこまでいわれたんだからな
きっと明日からの勝負はエレンにとって辛いものになるかも知れないけど、区切りをつけるいいきっかけになるといいな
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