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第39話 もめごと

パーティー名は『アスクレピオスの杖』に決まった。よく考えたらもう俺たちこの国出るから冒険者になるメリットってあんまりないんじゃないのかな、と思ったんだがギルドカードは全世界共通らしく登録してさえいれば他国にでも行きやすくなるらしい、国の方から指名手配というか名指しの入国拒否されていない限りは問題ないということだ


「せっかくだから依頼受けてみるか?」

「え、いいのか?このまますぐに船に乗るんだと思ってたんだけど、賢聖さんがそういってくれるなら俺なんか選んでくるぜ」


そそくさとエレンは掲示板の方に走っていった。


「エレンさん、本当に楽しそうですね、なんだかみてるこっちまで嬉しくなってきますよ」

「そうだな、俺も同意見だな。強くて頼りがいがあるけどまだ15歳なんだって改めて思うよ。その点セリアもまだ16歳なんだからたまにはわがまま言ってもいいんだよ」

「そうですね、考えておきます」


フフフ、セリアは微笑む。その笑顔が年相応なもので安心する。エレンだけじゃなくてセリアもまだ子供だ、もっと子供らしく振舞えるようにしてあげないとな


「おい、あれ、何か揉めてないかい?」

「ん?」


エレンを見ると三人組のエレンと同じぐらいの年の人と何やら和やかとは見えない剣幕で言い争いになっている。


「はぁ。しょうがない、私が止めに行ってやるか、これも大人の役割だ」


なるほど、アマルフィはこのままの流れだと自分まで子供の扱いされそうになるから先に大人だって俺に言い聞かせてるのか、そんなところが少し子供っぽいと思うのは言わぬが花かな


「賢聖さん、あれ大丈夫でしょうか・・・」


もう、アマルフィが止めに行ったから大丈夫だと高を括っていたが


「何やってんだ、あいつら」


さらにヒートアップして武器に手を掛けようとしていた。急いで向かうと

相手の女の子が


「あなたが何をそこのクズから聞いたのか聞いたのか知らないけどね、そいつが無能だったから私は死にそうになったし、ドラゴンを倒したのも私たちのおかげなのよ!そいつみたいな自分のことしか考えていないやつをパーティーに入れている方が雰囲気が悪くなるから追放したのよ、それにね怪我もして使い物にならないと来たわ、お荷物を抱える余裕なんてなかった、それだけよ!それにあんた新しく組んだ人よね、いずれ分かるわ」


ああ、なるほど元パーティーメンバーなのか、随分エレンと聞いた話が違うな。この際真実は二の次で問題は本人がそう思っていることだよな

いくら訂正しても仕方ない類の問題だ、だけどそんな風にエレンを言われるのは納得できないな


「お、俺は・・・」

「君は謝らなくていいさ、むしろあっちが謝るべきだ、君たちの過去に対してとやかく言うつもりは全くないけれど、それとこれからのことは別物だと思うがね、私が言うのもなんだが彼がいることで雰囲気が悪くなったことはないよ、問題は君の方に思えるがね」


アマルフィが相手の女の子に睨みながら言い返す。


「はッ!何言ってるのよ!実際にそこのクズがいなくなっただけで私たちの雰囲気が良くなったわよ!ねえ?」

「エレンが抜けてから仕事もスムーズになったッス!」「おいらもそう思う!」


これは流石にひどい、思春期にありがちな光景だけど見過ごすわけには行かない


「お前たち・・・」


エレンは今にも泣きそうだった。さっきまであんなに楽しそうだったのに


「だったら別にいいじゃないか、なんでわざわざそんなことを言いに来たんだ?本当はエレンが気になっているんだろ、心配しなくていい、エレンは俺たちと楽しくやってるさ」

「あんただれ?」

「エレンとパーティーを組んでるんだ。ちなみにパーティー名はアスクレピオスの杖ってんだ、よろしくな」


女の子は失笑し


「あんたみたいな、素人をパーティーに入れてるなんて落ちるところまで落ちたわね!オッホッホ!!見れば見るほど惨めね!」


穏便に済ませようと思ったら今度は俺の方見て爆笑してるわ、興奮してるなー、さて言いたいこと言ったっぽいし適当に話し切り上げるか


「黙れよ、それ以上喋るなら殺すぞ」


「へぇ、ヤル気?」


女の子がそういった瞬間、俺とセリア以外の雰囲気が一変した、よくアニメとかである殺気ってやつだろ。心臓を鷲掴みされたような、身が震えて一歩も動き出せない


「っと、ここでやるのもいいけどそうね、そこのクズは依頼を見に来たんでしょ、であればそれで決着をつけましょうよ。あなたたちが勝てば今日のことは謝罪するわ、でも私が勝てば全員土下座して私たちの方が上ですと言いなさい」


なんと横暴な、若い冒険者ってのはこんなじゃじゃ馬しかいないのか


「それだけでは足りません、これまでのことをエレンさんにまとめて謝罪してください!」

「はぁ、また次から次へと、しかもあなたも戦えないんじゃない?ますます、元パーティーにいたのによっぽど冒険者から嫌われているのね。でもいいわ、もしあんたたちが勝ったなら謝罪するわよ」


俺に対する暴言は許容できてもエレンや他の人に対する発言はぜひ撤回させたいな。なにより、エレンにとってはトラウマの対象だろ、謝罪でどのくらい楽になるかは分からないけどそれでもこれじゃあんまりだ

勝負するなら勝ちたい、でも依頼で勝負って戦闘要素が高いと正直こっちには勝ち目がないな、言っても向こうは有名なパーティーだからな


「それじゃ、どの依頼にするか決めようか」

「私たちは何でもいいわよ、どんな以来でもこなせるのが売りだからね」


俺には依頼の是非は分からないし、エレンは精神的に正常な状態じゃないだろうからアマルフィを見るけど


「ふむ、それだとこれなんかどうかな」


持ってきたのは天然霜(てんねんそう)という植物の採取となっている。天然霜(てんねんそう)が何かは分からないが植物であるならセリアがいる以上こっちが有利だ、それに純粋な戦闘力がものを言うものでないのであれば五分五分で戦えるはずだ


「植物の採取の依頼ね、わざわざそれを選ぶってことは植物に関連するスキルを持っているのね。でもそれで戦闘しない依頼を選んだと思ったなら大間違いよ」

「天然霜・・・・アマルフィさん!それは!」


セリアが聞き覚えがあったのかアマルフィの名前を呼ぶが


「もう決めたことよ、今更遅いわ。じゃ、今から始めたいのは山々だけどそれじゃさすがに不公平よね、明日の朝いちばんにここに集まりましょ、それから始めましょうか。ああ、別に抜け駆けしてもいいわよ?そのぐらいのハンデはあって然りだもの」


ほんと自信満々だな、セリアが何を言おうとしたのか気になるし情報収集に今日は時間を費やした方が良さそうだな

今の状況だとエレン動けなさそうだし


「ああ、分かった。明日の朝一だな、そっちが抜け駆けしてないか確認するためにも朝来るさ」


そういって向こうの三人とは別れた。


「セリア、それでさっきは何を言おうとしたの」

「はい、天然霜というのはある特殊な植物につく露のことです、それが氷結草というんですがその植物自体は山の奥であればあります。問題はその周りの魔物です、非常に強力な魔物が多く存在しているからこそ市場に出回らないんです」

「それは・・・すまない、私の落ち度だよ。植物だから私たちの方に有利だと思ったんだが、浅はかだったよ」

「いや、全く情報がないわけじゃないからな勝負はこっから始まるんだ、それにアマルフィに任せたの俺だし、俺が選ぶよりはいい結果だと思うと悪くない」


入手が難しいにしても植物である限りアドバンテージがあるのは変わらない、天然霜というか氷結草が実際にある場所を受付嬢に聞いて今日は明日に備えて準備するか


「みんな、すまねえ。俺のせいで巻き込んで・・・」


エレンが俺たちに謝罪を口にした。俺にもこの世界にきてこういう経験はある、その結果、セリアのおばあちゃん、セファさんがなくなってしまった。だから痛いほど境遇と気持ちが分かる、でもやっぱり悪いのはエレンじゃない、エレンを必要以上に陥れて恥をかかせた彼女たちに問題がある


「エレン、もう俺たちはパーティーで仲間だ。このパーティーはメンバー問題は自分の問題、自分の問題はみんなの問題だと思ってる、いわば家族のようなものだと思う、だから遠慮すんな、困ったときはお互い様だ」

「賢聖さん・・・こんな時どういっていいか」

「エレンさん、ありがとう、でいいんですよ」

「そう、か。ありがとう賢聖さん、ありがとうみんな」

お読み頂きありがとうございます!




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