第24話 聖人の街
「街に入る前に何かかぶったらどうだい」
確かに顔を隠す方がいいがあいにく持ち物には何もない、と思ってたら黒いマントをアマルフィが投げた
「これを使ってくれ」
「いいのか、アマルフィのものなんだろ?」
街に入ってすぐ捕まるよりはいいだろ、と。確かにそれは困る。それにしても正直俺の情報がどこまで名で回っているんだろうな
街の名前はシンテルクというらしい。この街の特徴はなんと聖人の居る教会があるんだとさ
「おい、まさかその聖人ってアナスタシアじゃないだろうな!?」
「よくわかったね、そのまさかだよ」
「なんでそんなリスクを取るんだ!」
頭わいてんのか!と思ったがさすがにそんなこと言わない、なにせ大人だからな。
「確かにリスクがあるけれどリターンも大きい、まず教会にセリアが捕まっていた場合ここにいるだろうし捕まっていなかったら別の場所を探せばいい、何ならこの川沿いでもいい、今一番恐れるべき最悪のシナリオは教会に捕まっていることだと思うのだが私の考えは違うかい?」
確かにそうだ、教会に捕まるそのシナリオは最悪だ、いや一番最悪なシナリオは俺もアマルフィも分かってるだけどそれは口には出さない、出してもいいことがないからな
だからあえて言い換えるのであれば生きているなかで最悪な想定だな。
「確かにその通りだ、取り乱したな、悪かった」
「いや、君がここまで追い詰められた現況のもとに行くんだその反応は正しいよ。それじゃあ入ろうか」
「俺怪しまれないかな」
「顔隠してれば大丈夫だよ、それに冒険者の付き添いってのは意外とすんなりなもんだよ」
門番にギルドカードを見せて俺がアマルフィの連れだということを説明すると歓迎されて入れた。
冒険者というのは基本的に歓迎される、冒険者が多い場所は豊かであることが基本だからだ、冒険者の魔物討伐のお金が街が負担している以上、街にお金がなければ冒険者が来ない冒険者がいなければそれは街にお金がないことを意味しているから、というからくりらしい。
「本当にすんなり入れた」
「言っただろ?冒険者にもこのぐらいのことがないと続けれないよ。さてまずはギルドに行ってお金をもらおうか、何をするにも先立つものが必要だからね」
金銭的なもので俺は全く役に立たない、いや、お金はあったんだ。ただセリアが管理してただけでな
「冒険者って儲かるのか?」
「賢聖は仕事してた?」
「仕事というか、まあスキル使ってお金稼いでたな、確か数日で大金貨三枚とかだった気がするな。」
「それ普通の人より余裕で稼いでるじゃないか、でも、冒険者はものによるが一日でそのぐらい稼ぐもんだね、もちろん毎日働くわけじゃないし怪我をすればその分働けないからね、トータルの稼ぎがいいかは腕次第といったところかな」
俺から振った話だけどよく考えてみるとそれが多いのかどうかわからんな、ただ逆に言えば数日で同程度稼げるのは割りがいいほうなのか
でもまあ、魔物には襲われない代わりに教会のせいで命の危険なんだけどな
想像していたよりも大きい場所だった、理由はすぐにわかった。ギルドの中に酒場が併設していたからだ
アマルフィいわく、力を持った荒くれものを普通の酒場で飲ませて喧嘩にでもなったら面倒だからここで一括管理しているらしい。そのためほかの酒場よりかなり値段が安いんだとさ
「魔物を討伐したんだ、報酬をもらいたい」
「ギルドカードを見せてください」
「これだよ、どうかな?今回はかなり頑張ったはずだから報酬も弾んでくれると嬉しいんだけど」
渡された大金貨は8枚、どこが大金貨4枚程度の報酬だよ!倍じゃねーか、もしかして計算できねーのか
だとしたら哀れ極まりないな
「失礼なことを思っているだろうからやめてくれないか」
「まさか、俺がそんなこと思うわけない」
「ではどんなことを考えていたのかな?」
「偉大なアマルフィ様についてきて本当に良かったなと」
無言での腹パン
「私でも腹が立つことはあるんだよ?」
ぜひとも行動を起こす前にいってほしかったよ。
痛い、本当に。この腹パン女にはいつか仕返しをしてやりたい!知的な話し方してるけどやることが暴力的すぎる、頭のねじ絶対に飛んでるな
「で、お金も手に入れたことだし次は情報収集だな?」
「待ちたまえよ、お腹が空いていたら頭も働かないだろ?まずはご飯だよ」
何を悠長なことを、と思ったが腹の虫が大きな音で鳴いたのでおとなしく従う。
ギルドの酒場で食べるが値段は安い割にご飯がおいしい、ファストフードみたいなのかと思ってたけどちゃんとしてる。どうも、体が資本の冒険者にとってクエスト中で過酷な状況でもない限り食事は栄養がしっかりしているものを食べるらしい。
偏った食事でぶくぶく太った冒険者は真っ先に死ぬかららしい。多分過去の教訓だな、ギルドもそんな人を増やしたくないから必然的に食事は栄養重視になるってわけだ
「すげー理にかなってるな」
「食事で儲ける必要がないというのもあるしね、冒険者からすればますますここを使うってわけだよ。まあ、不味くてほかの酒場になだれ込んだ日には酒場の店主は店をたたまないといけないだろうからな」
「・・・冒険者って何やるんだよ」
「ほらそこを見たまえよ」
そこには屈強そうな男と華奢な女が立っていた。どうも口論になっているようだ
「助けなくていいのか?」
「あの男の方をかい?」
何言ってんだよ、弱いかどうかの次元じゃないだろあの女の人命の危険じゃないのか
「いや、女の方を・・・」
女は男を一瞬にして床に這いつくばらせた
「おうふ、なんとも可哀想に」
人は見かけによらないというわけか。ちなみに店をたたむ理由は喧嘩がいたるところで起きたら店が壊れて立て直しの費用が払えなくなるからだそうだ
冒険者に絡まれないようにしないとな
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