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第21話 大人の対応・・・?

ガサガサ


音が聞こえる


「何の音だ」


目を開ける、そこには少なくても俺より大きい化け物、魔物がそこにいた


「グゥゥゥ」


すぐに襲ってこないところを見ると警戒してんのか、確か熊とかに会った時には背中を見せてはいけないと聞いたぞ

ゆっくり、ゆっくりだ、後ろに下がってここから逃げる


「あっ」


足元に何か引っかかった

尻餅をつき見上げるようにして魔物を見る


「はぁはぁ」


心拍数が上がり息ができない

もしかしてこのまま死ぬのか、何もなさずにセリアも探せずここでこの化け物に殺されるのか


「すまないねー、君大丈夫だったかい?」


あまりの場違いの声が聞こえたが全く耳に入らない、なぜならこのままじゃ死ぬからだ、膝が笑って力が入らない


「おーい、聞こえるかー」

「聞こえねーよ!」

「聞こえてるじゃないか!」


腹に一発パンチが入った。


「グフッ」


どうもこの腹パン女がさっきの化け物を倒してくれたらしい、確かに魔物は死んでいるもう、パニックで状況が見えてなかったそれは間違いない、だけどいきなり腹パンはないだろ


「ありがとう、といった方がいいですか」

「先に言っておけば私に敬語は不要だよ、それに礼も不要だから、この魔物逃がしたの私だしね。」

「あんたのせいかよ!」


迷惑この上ない、とどめを刺し忘れて魔物を逃がしたらしいだから出会った直後あの魔物は人間の俺をみて警戒していたということらしい

確かによく見ると手負いで怪我がない状態だと出会った瞬間に死んでいてもおかしくないような魔物らしい、あまりに恐ろしすぎる


「いやー大変だったね」

「あんたのせいだろ!」

「お兄さんいい反応してるね」


キャッキャッと笑う。どうも腹パン女と話すと口調が荒くなる、落ち着け俺、俺は精神年齢は三十歳なんだ、こんな子供にからかわれてどうする!大人の対応だ!

息を整えて笑顔を作り、患者と接するようにキャラクターを作り上げる。リハビリ職は役者のようなものだと俺の先輩が言っていた、もともとリハビリは医療職の中で患者と一対一で過ごす時間が長い、患者とのコミュニケーションを円滑にするために患者が求めるキャラクターを演じることがしばしばある、少なくても俺はそうやってきた、今こそその培ってきたスキルを出して大人の対応だ


「自己紹介がまだでしたね、私は加賀賢聖です」

「賢聖でいいかい?」

「ええ、構いませんよ。ちなみにお名前をうかがっても?」

「うん、その前にねからかったことは謝る、だからその気持ち悪い作り笑いと敬語をやめてくれないかい、その顔は私が嫌いな顔だ」


表情が一気に暗くなった。少し大人げなかったか、というかこれじゃ腹パン女の方が大人じゃないか!

一気にみみっちく見えるな・・・


「すまない、こっちも悪かった少しムキになったよ」

「先にからかったのは私だからね、気にしてないよ。それで私の名前だったね、私はアマルフィ、冒険者だ」


目の前の腹パン女、もといアマルフィはソロの冒険者らしい。冒険者は魔物の討伐や護衛、盗賊討伐や賞金首狩りなど様々な方法で生計を立てている。いわゆる何でも屋みたいな感じだな、依頼料を払えばだれでも雇えるがその依頼を受けるかどうかは冒険者にゆだねられる。


「賢聖はどうしてこんなところにいるんだ」

「まあ、いろいろとな」


ここで教会とのごたごたは言うべきではないだろうしスキルのことも隠していこう。元はアマルフィのせいとはいえ命の恩人ではあるからそんな人をだますのは少しだけ罪悪感が・・・いや全くないな、何も問題ない


「言いたくないなら聞かないよ、でこれからどうするのかい?」

「人を探してるんだが、とりあえず森の中は危険なことが分かったから街か村を探す予定だ」


少しアマルフィは考え込んで


「よし、私がついて行ってあげよう、ここであったのも何かの縁だ」

「ありがたいが、俺は今一文無しなんだ、君に払える対価はないぞ」

「構わないよ、私も行き先が決まってるわけじゃないけど街までは案内するよ」


そういって手に持っている槍を素早く振るった。


「ここで一人になるのは危険じゃないかな?」


俺の背後にさっきと同じ魔物が切り倒されていた。尋常じゃない速さだ、これが人間業ではないことは予想がつく、つまりアマルフィは戦闘系のスキルということになる。というか、戦闘系のスキルってここまでぶっ壊れのものなのか、人間やめてるぞ


「お礼はいつかする、だから街までよろしく頼む」

「うむ、素直でよろしい」


夜も深いので今日は魔物の死体から離れたところで寝ることになった。安全が担保された途端、眠気が襲って来た、ずっと緊張状態で過ごしていたからな無理もないが


「賢聖、起きたまえ。全く君は昨日今日あった人間に警戒を解きすぎだ全くどんなところで生きてきたんだ」

「ん、ああ、もう朝か」

「いいや、実はもう昼だ、かく言う私も寝て起きたのがいまだ」

「人のこといえねーじゃねーか!」


確かに俺も気を許しすぎるというか、そもそも俺なんかの力だと気を許してなくても何かされても抵抗できないけど、アマルフィも寝てるってことは同じじゃないかというと、私は賢聖が何かしてきても気づくし逆に返り討ちにできるよ、と笑って返されると立つ瀬ないな


「そうだ、アマルフィ道案内は頼むぜ、俺は道が分からないからな」

「全く気を許しすぎというか、もうここまで来たら肝が大きいというか・・・・賢聖、君は大物だよ」

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