第17話 【鑑定】
結局、【鑑定】することから逃げられなかった。いや厳密には強行すれば逃げれるのだが変に疑われてまでリスクをとるのは得策ではないと判断した。
ちなみに値段は中金貨1枚であのぼったくりバニアは一回どついてやろうかとも思ったけどテスラさん怖いので早々とその夢はあきらめた
「もう、薄々気が付いていると思いますが、今回はあなたが【ヒール】のスキルを持っているかどうかが問題になっています」
「ええ、分かってます。【ヒール】でなかった場合帰ってもいいんですよね」
「はい、それはもちろん、私は公平であることを望みます」
こんな口約束に全くの効力を持たないということは、汚い大人の社会においてわかりきっている、が要は俺の気持ちの問題だ
やれることは手を打ってからでも遅くはない
「では、はじめますね」
テスラさんは俺の手をさわり片手には紙を持っている
次第に紙に文字が浮き出ており、俺の名前とスキルの名前が表示された
「これで御しまいです」
「これで、終わりですか」
なんというかあっけない、でも今回はスキルの効果を受けることが問題ではなくそのあとだ
そして表示されたスキルは【リハビリ】
テスラさんの表情を見るに教会のデータの中にはおそらく該当する者はないと考えていいだろう
「【リハビリ】ですか、私は長年この役を務めてきましたが初めて出会いました、興味で聞きましがどんなスキルなんですか?」
「少しだけ気持ちを楽にするそんなスキルですよ」
嘘、ではないはずだ。体がよくなれば悩みが一つ消えるというわけだ、それは結果的に気持ちを少し楽にするということだともいえるだろう
それにはっきり見て何か怪我や病気を治していないんだ、回復系スキルという証拠は何もないはずだとなれば問題ないな
「こいつしらばっくれやがって!お前は何らかの回復スキルを使ったに違いない!!」
「な!」
言いがかりにもほどがあるし理屈が無茶苦茶だ、こんな頭の悪いやつと関わるのはデメリットしかない
「それはないのではないでしょうか」
「あ?なんか言ったか?」
ここまでのやり取りをじっとそばで聞いていてくれたセリアがついに発言した
「あなたは賢聖さんのスキルを【ヒール】と疑ってここまで連れてきて【鑑定】まで受けて賢聖さんの無実は証明されました。それなのにそんなことを言うなんて言いがかりのほかありません!」
「はぁ?そもそもな【鑑定】なんてどうでもいいんだよ!おめーらが教会に楯突いたんだろうが!」
「そんな」
そんな、完全にチンピラの理屈だ。
「おい、バニアてめぇ【鑑定】なんてどうでもいいってどういうことだ?あぁ?」
ここにもチンピラがいました、はい
「え、あ、いや」
バニア、頭悪くて助かる、そこまで行くとむしろいとおしくも思えるアホさだな
はっきり言える、状況はカオスだ。それだけは確かだ
本来、責められるはずの俺たちを置いてけぼりで鬼のテスラがあほの子のバニアを説教している、もう帰りたい
あほの子バニアが俺に非があると投げかけ、ぼろを出す。そんな繰り返しで誰も収集がつかない地獄絵図のような状況になった
「あ、あのそろそろ帰りたいのですが・・・」
「話はまだ終わってねーだろうが!!」
ヒィッ―――もうヤダ、テスラさんもうタガが外れてこっちまでなりふり構わず説教口調だし、誰か助けて!
流石のセリアさんも涙目だし俺は容疑者的な立場にあるため強く言えないし、教会の人間やっぱり頭おかしいわ
「何をやっているのですか?」
そこには明らかに雰囲気違う女性が立っていた。
「「アナスタシア様」」
さっきまでのやり取りが嘘だったかのような二人の反応だった。
見た目はセリアより少し年上のような印象を受けるが、様づけとな、若くて偉い人とか一番関わりたくない・・・
「あなたが【ヒール】のスキルを持っている疑いのある人ですね」
話す言葉一言一言がおかしい、カリスマというか心地よさが異常にある
本能的に感じる、この人は危険だ、ここにきて一番やばい
「テスラ、結果はどうでしたか?」
「白でした」
「では、なぜここにいるのですか、わざわざご足労いただきありがとうございました。あなたの無実が証明されたので帰っていただいて構いません」
「ッ!はい」
な、何とか声が出た
自分の意志とは別に心酔しそうになる感じがする、この人のためだったら何でもしたくなるようなそんな気持ちだ
とにかく危険だ、それだけは分かる!早く離れないと!
「で、でわ失礼します」
「ああ、一つだけ」
「な、なんでしょうか」
「うちのものが失礼なことをしてしまい申し訳ありませんでしたね」
最後の言葉は聞かないうちに足早に逃げるようにして教会を離れた。
セリアは完全にボーとしていたので無理に手を引いて歩いた
「はぁはぁ」
異様に疲れた、かけられた言葉はいたって普通だが言葉というか立ち振る舞いから受ける印象がただ事じゃない
もう少し話を聞いているとおかしくなりそうだった
「セリア?」
急いで宿まで帰ってきたがその間、俺が夢中だったというのもあるがセリアは一言も話していなかった
「セリア!?」
ボーとしている、まるで意識障害のようなそんな印象を持つ
「おいおい、なんでだよ。普通じゃないだろこれ」
体をゆすり声をかける
「セリア!」
「へ、賢聖さん!?」
「戻った?!」
「え、なんで、賢聖さん抱きしめてるの?!」
「よかった!セリア大丈夫か!?」
「い、いまいち状況が読めませんが・・・(賢聖さん混乱しているみたいだし、抱き着いてもバレないかも、チャンス!)エイッ!」
賢聖は誤解のないように言えば抱き着いてはなく両肩をゆすっている状態だったが目が覚めたセリアからは抱き着いているように誤解した、というわけだ
ちなみに賢聖の頭の中はどうしてセリアがこんな状況になったのか、何が原因なのかで頭がいっぱいでセリアの行動にさく頭のキャパがなかったためセリアの好意的な行為を気に留めなかったことになる
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