オレリア目線
「失礼します」
エミーリアの件を説明するために、事情を知る5人に集まってもらった。
「オレリア、どうしたんだ?」
「エミーリアに関して、ご報告があります」
「何かあったのか!?」
旦那様は娘のことになると落ち着きがなくなる。今も早く話をしろと言わんばかりにこちらを見ている。
「ジーナから昨日、友達に会いに行っていたエミーリアが泣き崩れて酷い状態で帰ってきたと報告がありました」
「何!?」
「話を聞ける状態ではなかったようなので、そのまま部屋で休ませたと。怪我などは特にしていなかったようです」
(ジーナはエミーリアが好きな男の子に初めて作ったお菓子を渡しに出掛けて行ったはずなのに…と言っていたけどそれは伏せたほうが良さそう)
「なぜ昨日報告しなかった?」
旦那様は少し怒っているようだ。
「昨日報告したらすぐにエミーリアの元に行って事情を問い詰めたでしょう?」
「当たり前だろ?」
「年頃の女の子には色々事情があります。全てを話してくれるなんて思わないことです。そんなことをすれば嫌われますよ」
「うぐっ」
"嫌われますよ"の一言に言葉を飲み込んでいる。
「エミーリアが今朝仕事に出てきましたが、仕事が出来る状態ではないとジーナから話がありましたので休ませました。私が先ほどエミーリアのところに行き話を聞いて来ました」
「それで?」
「どうやら昨日友達に会って帰っているときにレオン様が現れ、その友達にエミーリアは公爵令嬢だから二度と近付くなと警告したそうです」
「「「なっ!?」」」
「その友達を傷付けてしまい二度と会いたくないと言われたようです」
「何でレオン様が?」
「エミーリアのことを調べているのは知っていたが…まさか」
皆さんエミーリアのことが可愛くてしかたがない様子。知っていることを全て話せと言わんばかりにこちらを睨むのは止めていただきたい。
「エミーリアはレオン様について(自分から)は話をしてくれませんでした」
「そうか」
「今後について公爵令嬢かメイドか…彼女はとても悩んでいますがきっと良い答えを見付けるはずです。そして必ず近いうちに本人からそのことについて話があると思います。その時はくれぐれも態度に注意してください」
「分かった…様子を見に行っても大丈夫だろうか?」
「いえ、止めてください」
「…ダメなのか?」
カール様まで…そんな小動物みたいな目でこちらを見ても私は折れません。
「彼女は今、今後について考えているときです。行って何を言うつもりですか?公爵令嬢として生きろと強制するおつもりですか?」
「そんなつもりはない」
「彼女から話があるまではそっとしてあげてください。お願いいたします」
私は深々と頭を下げ部屋を後にした。
「皆に大事に想われて…あの子も大変ね」




