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食い物がねぇ by ハシブトカラス

 儂はカラスだ。日本と言う国の市街地で有名なハシブトカラスだ。


 ハシボソカラスとは見た目がよく似ていて、人々は儂らを同じカラスだと思っているが、全くもって違う。

 あんな『野ガラス』と一緒にしてほしくない。よくもまぁ、歩くことに重きを置くカラス。跳んで飛ぶことが誇りなのに。


 あいつらときたら。儂らを馬鹿にするように悠々と公園と呼ばれる場所で歩くのだ。

 儂らは頑張って人間たちの目を掻い潜り、ビニールと呼ばれる透明な皮を持つごみと言う死体を食べているのに、あいつらは歩けることを見せつけるように、空からでは見つけにくい虫を儂らに見せつけるように食いおって。


 飯の話で思い出した。


 儂はもうかれこれ30年以上生きているのだ。

 普通、儂らの平均寿命は20年位だが儂は長生きである。人間であるなら100才は優に越えている。

 そんな儂にはあるコンプレックスがあるが、まぁ良い。


 そんなことより、儂は今、危機的状況に陥っている。といっても、儂にとって死ぬほど深刻ではないがな。ふふっーん!


 儂は各地を転々としている。他のカラスの縄張りにうまく干渉しないように、または、ばれないように食い物を腹に納めながらな。


 だが、それでも市街地の居酒屋や料理屋等の食品に関連するごみという生き物を人間が落とさない日は無かった。

 

 なのに、ここ最近ごみの数が減ってきていた。人間はごみを落とすのが生き甲斐なのに。


 儂はおかしいと思った。


 原因はすぐにわかった。


 東京と呼ばれる石の木が立ち並ぶ所の、大きな人達が行き交う交差点にあるテレビと呼ばれる薄板に入っている人間が言っていた。


 病気が流行っているらしい。

 

 儂は心配した。その人間たちを苦しめる病気が儂に罹ったりはしないのかと。


 長生きの秘訣は自らの健康管理だからな。


 それは杞憂に終わった。


 知鳥の人間たちを研究している雀ーチュウ爺が調べたところ鳥類には影響が無いらしい。哺乳類にはあるそうだが。


 難しい事はわからんが、影響がないなら良いと思ったのも束の間、儂の食いぶちである行きつけのごみ場のごみが少なかった。


 老いた儂は若いカラスに追い出されてしまった。


 美味しい肉が食えた場所なのだが。


 他の場所にも行ったが、全ての追い出されてしまった。


 カラスの食糧難らしい。


 儂は考えた。



 そして、暫く山に籠ることにした。

 もうすぐ、本格的な春が来ることもあり、冬眠している知グマや知鹿に挨拶しにいくついでに春のおこぼれを与ろうとおもったのだ。


 知鳥の鳥たちに挨拶をしてから儂は飛び立った。


 気分は、真冬にいく島ー罪持つものの楽園ー

を目指す、上着だけちょっと上品な人間の男の気分である。


 ビバ、春。


 待ってろ、我が愛しき春の虫たちよ!


 


 

 

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