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出会いと作戦会議

今回は少し早めの投稿です。

意外と筆が進みました、日頃の行いが良いからですかね?

アーモンと脱獄を目指すグリースは、誰もいない食堂にて一人で堂々と昼食を堪能していた。

周りの人間に見られるとまずいアーモンは悪魔が入ることのできる異界【ロエース】に隠れている。


「さて、いつ事を起こすかだが」

厚く切られたレアステーキを食べながらグリースは脱獄の方法を考える。

しかし、なかなか良い案は思い浮かばない。


難しい顔を浮かべるグリースのフォークがステーキへ突き刺さったその時だった。


「…【勇者殺し】」

「っ!?誰だっ!」

誰もいないはずの空間にグリース以外の声が聞こえた。

グリースは咄嗟に身構えて周囲を見渡す。

カウンターにいる料理人に不審に思われてはいけない為、席を立つことはできないが最大限の注意を払う。

声は刑務所の男性棟では珍しい少女の声だったが、食堂にはグリース以外誰もいない。


「…あなたに、話がある」

警戒するグリースに少女は容赦なく語りかける。その声に敵意を感じることはできない。

「何の用だ?」

グリースは構えを解き、しかし警戒を緩めることなく見えない相手に話しかける。

勿論、カウンター越しの料理人にバレないように声は抑える。


「…あなたは、脱獄がしたい」

「っ!?」

「私は、復讐がしたい」

少女は驚いているグリースを放って自身の目的を話す。


「私の村を襲い…家族を殺した紫電の勇者、私はヤツを殺したい」

「…なるほどな」

復讐相手は、奇しくもグリースと同じだった。


「あなたと悪魔の会話を聞いていたことは謝る…ただ、私に協力させて欲しい」

「何故そこまで俺にこだわる?」


牢に入れられている犯罪者より、同じ紫電の勇者に恨みを持っている人間同士で団結しあった方がまだやり易いだろうに、なぜ脱獄の手伝いまでして俺に協力したいのか…グリースにはわからなかったが、すぐにその答えは返ってきた。


「私も、この刑務所に…入れられている」

「そう言うことか」

同じ穴の狢だった。


「でも、私はあなたと脱獄する手がある。だから、あなたの紫電の勇者を殺す旅に同行させて欲しい。悪魔の契約を果たす手伝いもする」

『良いんじゃねえか?イロイロと便利そうじゃねえか』

「…悪魔」

「アーモン、お前はロエースにいろ」

『お前が煮えきらねぇから俺が背中を押してやろうと思ってな』

「声を聞く限り子供だ、復讐なんてつまらないことに協力させることは…」

「私はもう17歳、成人してる」

グリースの言葉を遮って少女?は言った。


『お前さん、戦闘の経験は?』

「相手が何人いようと絶対に負けない、それだけの力はある」

アーモンはグリースをニヤニヤしながら見る。

グリースはため息をついて言った。

「お前…名前は?」

「っ!アンリ!姓は無い、ただのアンリ」


脱獄作戦に、姿の見えない協力者が現れた。



昼食を食べ終えたグリースは、牢に戻って脱獄の作戦をアンリから聞いた。

アンリの姿はいまだに見えず、声のみが聞こえて来る。

脱獄の作戦は至ってシンプルなものだった。

「…なるほど、お前が作った秘密の抜け穴があると。しかし俺が通れる隙間があるのか?」

「あなたが…ここに入ると知って作った。あなたの為の抜け穴だから」

予め作っておいた抜け穴からの脱獄、あまりに単純な作戦にグリースは拍子抜けした。


「しかし、よくバレなかったな」

「私には特別な能力がある。これがある限り脱獄がバレることはない」

『ほう、勇者以外にも変な能力を持つ役がいるのか』

アンリの言葉にアーモンが興味深そうに言う。


「…多分、私が周りに隠してたから」

「知られてたら勇者になれるかもしれない能力か。」

『当ててみるか、【透明化】だろ?』

「…違う」

『…じゃあ、【大地操作】だ。それで穴を掘ったんだな?』

「それも…ハズレ」

『………』


それ以降アーモンは何も言わなかった。

「じゃあ、いつ決行する?看守に俺がいない事がバレる前に王国を出たい…やるとしたら夜中か?」

「明後日の夜中は満月…脱獄するにはちょうどいい明るさがある」

アンリの言葉にグリースはニヤリと笑った。


「なら、明後日の真夜中。アンリの都合が良いタイミングで始めよう」

「わかった」


アンリがそう言った後、彼女の声は聞こえなくなった。


「…牢に戻ったのか?」

『さあな、それよりも…お前にしてはヤケにあっさりアンリを信用したな』

「お前は信用していないのか?」

グリースがそう言うと、アーモンはハハハと笑った。

『悪魔ってのは自分以外は誰であっても信じる事はしないものだぜ?俺たちが唯一信じるものは契約だけだ。契約によって初めて相手を信じる事ができる…と言うよりも相手と交わした契約を信じる事ができる』

「…そう言うものか」

『そう言うもんだ、信じてるぜ?お前との契約が果たされる日をな』


そう言ってアーモンはロエースに消える。

牢に静けさが戻った。


グリースは牢で一人、早めの昼寝を始めた。

最近、献血に行って来ましたがかなり快適で驚きました。ジュースもくれてお菓子も貰えるなんて至れり尽くせりですね。


それにウェットティッシュもくれました、僕は日本赤十字の株主か何かになったんでしょうか?

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