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契約

今回は短めです。


前書きも短めです。

まだ昼にもなっていない刑務所の中で、悪魔と囚人はお互いに向き合っている。

いまだ警戒は解けていない、しかし敵対しているわけでもない。


敵対と和解の境界線上を歩いているのだ。


『あんたは悪魔が魔界でどういった扱いなのか知ってるか?』

「さあ、知らないな」

『だろうな、普通はそうだろうさ』

悪魔は囚人の素っ気無い態度を気にすることなく話を続ける。


『今現在、悪魔は魔国に居場所を持っていない。なぜなら悪魔は人族に寄生する魔族、魔国と人族の各国が敵対している今……人族がいないと存続が成り立たない悪魔は魔王にとっちゃお払い箱だ』

「なるほどな」

『そこでだ、俺はあんたに一つの契約を持ちかけに来た』

悪魔はそう言うと右掌を223番に向ける。

悪魔の掌から半径7センチほどの大きさの魔法陣が現れる。


「…契約の内容は?」

『やっぱり話が早い、俺は嬉しいぜ?』

悪魔はニヤニヤと笑って話し出す。

囚人は黙って話を聞いた。


『俺はあんたに悪魔が魔界に戻れるようにして欲しいのさ、方法は何だっていい。魔王を殺して俺が魔王になって悪魔を呼び戻してもいい、それとも人族を滅ぼしてその功績として魔国に居場所を作るでもいい』

「俺のメリットは何だ?」

その言葉に悪魔の笑みが深くなる。

まるで、その言葉を待っていたようだった。


『力だよ、お前には俺直々に力を与えてやる。お前の復讐はまだ果たされていないだろう? 神速の勇者の時とは違う、勇者と正面から戦える力をやる。その力を使って俺の願いもついでに叶えて欲しいってだけだ』

「…………」

223番は黙って俯き、真剣に考えるそぶりを見せる。



10秒ほどの沈黙の後、223番はついに顔を上げた。


「…良いだろう、乗ってやる」

『その言葉を待っていたよ』


悪魔は目の前の魔法陣に左手で何語か分からない文字をスラスラと書き加える。

『この魔法陣は契約書だ、俺の名前は今書いた…あとはお前がこの魔法陣に魔力で名前を書けば契約完了だ』

「…わかった。」


囚人は右手人差し指に魔力を込め、自分の名前を魔法陣に書き込む。


【グリース】

姓は無い、田舎では珍しく無いことだ。

名前を書かれた魔法陣は妖しく輝き、一瞬強く輝いて消えた。

契約の完了、明確な印がなくてもグリースはそれを何となく実感できた。


『グリース! いい名前じゃないか』

「お前の名は何だ? 俺にはお前らの文字は読めない」

そう言うと悪魔は驚いたような顔をした。


『お前…契約書が読めねぇのに名前を書いたのか!? なんて命知らずな…』

「命なんて、とうの昔に捨ててるよ」

囚人…グリースはそう言って笑った。

悪魔はグリースに右手を出して握手を求める。


『俺の名はアーモン、悪魔の中じゃあ少しは有名な方だぜ。これから長い付き合いになる、仲良くして行こうぜ相棒』

「…違うな」

『何がだ?』


グリースはアーモンに右拳を突き出す。

「うちじゃあこうするんだよ」

『…なるほど』


2人はお互いの拳を付合わせる。


「…それじゃあ、契約記念に短期的な目標でも決めるか」

『面白えな、何にするよ?』

アーモンの問いにグリースは不敵に笑う。


「とりあえず、脱獄だな」

テディベアって本当に可愛いですよね。


…それだけですよ?

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