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囚人番号223番

シリアス注意の看板を見ても読みに来たあなたはかなりのシリアス好きとお見受けします。


…覚悟はできておりますか?

今作はコーヒーのブラックを濃縮したかのようなシリアスです。


好きな人はいいですが嫌いな人は読む前にそっと閉じてください。

敵の胸に突き刺した剣から涙のように滴り落ちる赤い雫。俺の胸にできた穴から細く川のように流れる赤い液体。


とある森に設置されたキャンプの中で男は安堵からため息を吐いた。


…終わったのだ。


仇討ち、そんな綺麗な言葉で表せるような崇高なものではないが、その表現が一番正しいのだろう。


しかし、まだ完了ではない。

俺の標的は2人……まだ半分終わっただけなのだから。



……それなのに、この胸の傷。

今も俺の命の雫を溢し続けている胸の傷穴。

いわゆる致命傷……なのだろう。


人道に背いた報いか、それとも己の力不足か。



「……いや、両方か」

もし、一命を取り留めることができたなら……その時は必ず。


そこで男の意識は途切れた。







王国の北に位置するとある刑務所、そこに1人の囚人が収監されていた。


「……お、起きてるか?223番」

看守が怯えた様子で囚人に話しかける。

「…もう、朝か」

囚人が粗末なベッドから起き上がる。

ボサボサの短髪は茶色に煤けており、暗い緑色の瞳はジッと看守を見つめていた。


看守は囚人が牢屋の中にいるにもかかわらず一歩後退りをした。


「5分後に朝礼がある……あまり遅れないように」

「めんどくさいな」

囚人は本心からそう呟き、看守は何も言い返すことなく去っていった。

朝礼に出なくても注意すらしてこないだろう看守の態度に囚人…223番はため息をついた。


彼は言うまでもなく罪人であり、刑務所に投獄されるにふさわしい罪を犯していた。そしてその罪の内容から刑務所の囚人や看守たちに恐怖されている大悪党であった。



223番は五分経っても朝礼には行かずにいまだベッドで横になっている。

彼が身じろぎするたびに粗末なベッドがギシギシと甲高い音を立てる。

「……眠くないな」

彼は1人呟き、ベッドから出る。

朝礼のために鍵を開けられた牢屋から出て、朝礼が行われている運動場には行かず食堂に向かう。


もちろん、食堂には誰もいない。

彼も食堂に人がいないことは知っている。

彼の目的地は食堂の中にあるカウンターの奥の厨房だ。そこには朝礼が終わった後でやってくる囚人の為に振る舞われる簡素な食事を作る料理人が居るのだ。


「おい、居るか?」

彼はカウンター越しに料理人に話しかける。

「…アンタか。料理はできてる、言われた通りの献立だ」

怯えた……様子はなく早く立ち去ってほしいと言わんばかりの態度で料理人がプレートを彼に渡す。


そこには新鮮なトマトとレタス、そして分厚くスライスされたハムのサンドイッチ。そして香ばしく焼かれたステーキと贅沢にドレッシングをかけられた色鮮やかなサラダ。


どう見ても囚人に食べさせる料理ではない。


「これからも頼む」

「早く食って寝てな」

明らかに嫌われているが、要求には素直に従う料理人。彼だけではない、誰もこの囚人には逆らうことはない。


それは彼が乱暴だからではない。

むしろ規律を守らないだけで囚人にしてはとても大人しい方だ。実際、この刑務所で彼が喧嘩した姿を誰も見てはいない。


しかし看守も、乱暴な囚人も彼が通れば道を開け、欲しいといったものは可能な限り差し出す。


それは、彼が犯した罪が余りにも大逸れていて、彼以外にできる人間が考えられないからである。


……その罪は、殺人罪と国家反逆罪。

国の法に則ればきっとそれらが適用される。


囚人は贅沢すぎる朝食を食べ終えて自身の牢屋に戻り、またベッドで横になる。

何もする事がなく、周りの囚人はそろそろ食堂に行っているだろう時、それは聞こえた。


『よう、探したぜ。【勇者殺し】さんよ』


囚人がベッドから起き上がると、ソレはベッドの横にある椅子に足を組んで座っていた。

銀色に輝く長い髪、血のように赤い瞳を持つ美しい男…囚人はその姿を見て呟く。


「……悪魔か」

『博識だな、大正解だぜ』


悪魔、人に寄生し契約を結ぶ事で魔力を得る魔族に分類される生物。

基本的に明確な姿を持たないが、人前に出るときだけ仮の姿で現れる謎の多い存在だ。


「悪魔が囚人に何の用だ?」

『俺は囚人じゃなく、【勇者殺し】に用があるんだ』


【勇者殺し】、人族を脅かす魔王を討伐するために各国が選んだ奇特な力を持つ人を勇者とし、魔王討伐の任を与えた国の希望を殺害した者。


それが囚人番号223番、王国にいる3人の勇者の中の1人、【神速の勇者】を殺害した男。


『あんた、まだやり残した事があるんだろ?』

「……」

『何も言わなくても知ってる。あんたの村を滅ぼした2人の勇者、王国は黙認してるが神速の勇者と紫電の勇者…ありゃあただの力を持て余したガキだ』

「どこまで知っている?」

悪魔の話す内容に囚人は興味を示した。

悪魔は彼の様子に嬉しそうな顔をする。


『おお、イロイロ知っているぜ。あんたの生まれ育った村がどうなったかも、あんたがどうやって神速の勇者を殺したのかもな』

「……お前の目的は?」

『話が早くて助かるぜ』



2人の出会いは、緊張感に包まれた静かな牢獄の中であった。

昨日家族に銀座のチョコレートを買いました。

最近は銀座に行かなくても銀座のチョコレートが買える時代なんですね、とても喜んでくれました。


僕にはチョコレート買ってません。もらってもいません。


知ってますか?バレンタインって男性が女性にチョコレートを渡すんですよ。(日本の風習ではない)


つまりチョコをもらえなくて落ち込んでいる男子男性諸君!!君たちの方が自然なのだ!!!

むしろ好きな子にチョコを渡すのだ!!



作品の後書きに何を買いているのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[一言] まだ1話ですが村人だった人がこんな扱い受けるまで何が起こったのか気になります。続きを楽しみにしています! ちなみにバレンタインデーはおいしいチョコレートが買える日だと思っています。
2020/02/15 19:13 退会済み
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