入学式3 <ヒロイン>
気が付くと、私はベッドに寝かされていた。
「大丈夫ですか?希さん。突然お倒れになって、心配しましたわ。」
ベッドの横には、麗子様がっ!まぶしいっ!私、倒れたのか...
「入学式は...入学式はどうなりましたでしょうか?」
「それなら大丈夫だよ。」
イ...ケ...ボ...この声は...空原峻...
「な...な...んで...ここに…」
「なんでって、そりゃまあ婚約者様がお倒れになったからね。」
「婚約者様...?ああああああっ!婚約破棄ってどういうことですか??それで私と婚約って、もっとどういうことですか?」
「落ち着いて、希さん。」
麗子様が私の手を握った。ひいいいっ!女神様がっ!私の手をっ!落ち着かないとっ!女神さまがっ、私に言ってるんだもんね、落ち着けって私!
「婚約のことは気長に考えてくれていいからね。もう親御さんには話を通してあるし、4年後には結婚式決まってるから、いつの間にかで流されちゃって構わないからね。」
「ん??結婚式が決まってるって??どういうこと??ってそれよりも、なんで麗子様と婚約破棄なんて!なんで?なんで?なんでなんですか?」
「希さん、それはあとで話すわ。だからね、一回落ち着きましょうね。それで、ちょっとだけ、峻の話をきいてあげてくれないかしら。」
「しゅ、峻ですとっっ!呼び捨てですかっ!」
「まあ麗とは幼馴染だからね。」
「れ、麗っ!なんでそんなに仲がよさそうなのに婚約破棄なんてっ!お二人の結婚式のときは、私を絶対呼んでくださいね!命を懸けて向かいますから!」
「いや、希さん。私と峻の結婚式に希さんが行くんじゃなくて、希さんと峻の結婚式に私が行くのよ。」
「ええっ!なんでどうしてっ!」
「はははっ!ホントに君は面白いね。なんで結婚したいのかって...ねえ」
「ねえ」
神々しい二人が頷きあう。なんですか、これは?絵画ですか?そんなことを考えていたら、空原峻がこちらに向かってきた。近づけば近づくほど、まぶしいっ!顔ちっちゃ!ベッドの横の所で立ち止まるのかなと思っていたのに、彼はベッドの淵に腰かけて、私の顔の方に手を伸ばした。えっ、えっ、何をする気なのかまったくわからない。彼の綺麗な手は、私のあごに優しく添えられた。ぐっと彼の顔が近づく。
「ふぇ?」
あまりにも美しすぎる彼の顔に思わず変な声が出てしまう。毛穴がない…肌白い…
「僕の目を見て。」
こ...声がいい。クラっとする。彼の眼は、透き通った青。移りこんだ自分が醜くて笑いそうになる。
「なぜ結婚したいかって?理由は簡単だよ。」
彼は私の耳元に顔を持って行って囁いた。
「君が好きだからだよ。」
ハイ。ありがとうございました。希の耳と細胞は限界値を迎えました。
私はまたもや失神した。
お読みいただきありがとうございました。