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彼女こそヒロインです!!  作者: 千本桜の残り香
中等部 
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入学式2〈ヒロイン〉

次の投稿が遅くなり申し訳ありません。

体育館こと、アリーナにはすでに人が大勢集まっていた。見るからに上流階級の人間という人がわんさかいて、庶民である私は足が震えてしまう。そんな私に気づいてくださった麗子様がにこやかに微笑みながら、

「希さん、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。堂々として歩けば多少の失敗も見逃してくれるものなんですよ。それに、希さんはかわいらしいから、そこにいるだけで華ですからね。」

「か、か、かわいらしいっっっ!何を言ってらっしゃるのでしょうか!?麗子様と比べたら、私なんて、ゴミ...いえ、その辺のホコリにもなれまセンワ!」

私が何といっても、クスクス麗子様は微笑んでくれる。なんと麗しい方なのだろう。

「席は自由なようですね。私たちも座りましょうか。」

感動で動けない私に声をかけてくださる麗子様は天使、いや女神。

「は、はいっ!」

麗子様が歩くと、自然と騒がしかった体育か...アリーナが静かになって、道が開けた。ですよね、財閥のお嬢様だもんねえ...しかもこんな美人で…性格も良くてさ...もう隣に並んでることが恥ずかしくなってくるよね...自分の顔面のクズさがさ...あぁ~もう悪口まで聞こえてくるよ...

「麗子様の隣にいるのって...」(幻聴)

「庶民の子だよな...特待生とかいう...」(幻聴)

「よく隣にいれるよな...」(幻聴)

「ホント、恥ずかしくないのかしら...」(幻聴)

「ごめんなさい、私のせいで...」

なぜだか麗子様が私に謝ってくる。悪いのは私の顔面なのに...

「こんな後ろの席の方になってしまって。前に座りたかったでしょう。」

あっ!席のことだったっ!こんな私に気遣ったせいで麗子様が申し訳なさそうにしている!!でもそんな顔も美しいっっ!!まつ毛長っ!

「いえ、いえっ!むしろ、後ろの方が安心しますっ!」

「希さん、そんなに緊張していると疲れるでしょう。楽にしてくださいな。」

「そんなことないです!あの...あの...」

「どうしたの?希さん。」

「これより、私立天龍学園高等部入学式を開式致します。皆様、御着席ください。」

ああもうっ!せっかく麗子様に希って呼んでくださいってもう一回言おうって思ってたのに!麗子様も「どうしたの?」と、私の挙動不審な問いかけにも答えてくださったのに!

司会の人っ!タイミング悪いよ、もうっ!

司会の人の進行のおかげで(私は一生許さないけれど)つつがなく入学式は進んでいく。

「次は、新入生代表あいさつになります。空原峻さんお願いします。」

空原峻...空原...峻...そらはら...しゅん...なんか聞いたことあるんだよなぁ...いやあるわけないんだけど...聞き覚えが...すごい昔にさ...多分...昔の記憶を掘り出そうと必死になっていると、舞台袖から空原峻が出てきた。

「う...そ...でしょ...」

彼は、麗子様と並ぶほどのまばゆい光を放つ美形だった。スラっと高い身長は多分180cmを超えている。頭は驚くほど小さくて、たぶん8~9等身前後。髪は、ものすごく色素の薄い茶色。光の当たり方によっては、金髪にも見える。サラサラのストレートで、瞳は透き通るような青。空を切り取ったかのような青。鼻はすっとしていて高く、唇はちょうどいい大きさで、薄く、血色がいい。一見すると細身だが、鍛えているようで体幹はしっかりとしている。そんな神々しいイケメンが演台に立ち、話し始めた。

「本日は私たち新入生の為にこのような盛大な式を挙げていただき誠にありがとうございます。」

わぁ、声までイケメン。顔が美しいと、声も美しいのか。内容は全く入ってこないものの、空原峻のイケボを聞いていると、突然不穏な単語が飛び出した。

「この場を借りて、ご報告させていただきます。私空原峻の婚約者である、海友財閥の長女海野麗子嬢と、空原峻は両家の合意を持って、婚約破棄をし、」

は???どういうこと?待って、頭の計算が追い付かない。えーっと、まずあのイケメンと麗子様は婚約者だとっ!美男美女じゃないですかっ!お似合いじゃないですかっ!それで...それで...何?...両家の合意を持って...婚約破棄ですとっっ!なんで?えっ?なんで?

混乱している私に立て続けに情報が舞い込む。

「神埼希さんと婚約を結ぶことを発表致します。」

「えっ?は??」

遂に頭がパンクした。


お読みいただきありがとうございました。

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