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プロローグ 姫さまのクローンを作ってみろ!


僕はベルフォート・サリエリであり、魔法貴族サリエリ家の唯一の跡取り。


名門の出であるものの、生まれつき失格の魔法使扱いになってしまった。なぜなら魔力値が低くて魔法を使うことの才能もないのだ。


そのため「ポンコツ」と呼称され魔法研究所の閑職に追いやられた。


「こいつ才能がないなあ」


「邪魔をするな」


魔法研究所においてよく叱られたままで平穏な日々を送ろうとしていた。


その時、希望の光を見つけた。


帝国のお姫様、世界一美しいの天使、アイリ・ウェストミンスター。


初対面から恋に落ちたような気がしたのだ。


僕と付き合うわけがないと思わなかった。


「ベルさん、とても優しいでね」


ある日、そう伝えてくれた。


「アイリさん、私のこと……好きなのか?」


顔を赤くなって頷いた。


「好きというよりむしろずっと一緒にいたい!」


「なら、結婚しろ!」


敢えてアイリの手を握ってそうと言いだした。


初めて自分の幸せを求めていたが、一番正しい選択のような気がしたのだ。


アイリは目が潤んで抱きついてきた。


「はい!」


一番楽しい日々だった。


平穏な日々が五年ぐらい続いていた。


その五年のうちに才能も見つけた。


「魔法研究にかけては、才能があるわ。私のチームに入るか?」


褒めてくれていたのは大賢者だ。


常に挙動不審だけれど、優しいような気がしていた。それに僕の才能を認めてくれた。


「お褒めにあずかり光栄です!」


初めて認められる。


【クローニング】


それは彼の学問分野だ。


身体組織を手に入れさえすれば、人間にせよ精霊にせよ龍さえクローンを作製できる。


大賢者によると、【クローニング】は禁術だが彼はすべての責任をとてくれる。


それから大賢者のチームに入り本と試験に取り組んでいた。


忙しいですができるだけアイリとデートに暇を見つけようとしていた。僕たちの恋人関係は依然として秘密だが、アイリが成年に達すると王様に告げることにする。


「アイリに近寄るな!クズ」


「価値のない研究に戻っていけぇ!」


よくアイリに恋している人々に叱られたが、怒っていない。


アイリはいつも側にいるので。


そうと思ったところが、平穏な日々はいきなり終わりを告げた。


ある日の夜更けに、王様の前に呼び出た。


もしかしてアイリが婚約のことを王様に告げていた?


そう考えると心が踊っていた。


門を開けたら真面目な表情をしていた王様と数多い大臣を見た。


「ベルフォート・サリエリ、これを説明してください」


王様は足元に置いていた書類を指差しお問いを投げかけてくれた。


パッと【クローニング】研究の記録とわかった。


「陛下、僕は大賢者の指示に従っているだけです!」


「署名はあなたの名前をびっしりと書いてあります」


「記録の責任を持っておりますので……」


「いい加減にしろ!」


王様は大声で呼び王座から立ち上がった。


「大賢者はすでに何もかも告げてしまった!罪人よ、まさか禁術研究は死罪だと知りませんでしたか? 」


「僕……」


取調べの最中に門が唐突に開けられた。


入ってきたのはアイリ。


来た!僕は無理な取調べに巻き込まれていたのを聞いたに違いない。


振り向いてアイリを見た。


「アイリ!手伝ってくれ!」


「すみませんが、あなた、何方ですか?」


呆気に取られた。


アイリがうんざり顔をして門をちゃんと閉ざすと王様の脇へ走っていった。


「その方は禁忌を犯した罪人ですか?聞くが早いかすぐに来ました」


王様は頷き怒って眺めてきた。


「たかが臣下のくせによくも王族の名前が言うね!」


「違います、陛下!実は私たちすでに長い時間デートをして婚約さえしておりました!」


「なに!」


王様が怒鳴りアイリに振り向た。


ついさっきの発言を聞くなりアイリが慌てぶりとなったものの、あっという間にうんざり顔に戻っていたり王様に落ち着いて説明し始めたりしていた。


「すべてその方の作り話だけです。婚約者と申しますより、一度も会えませんくらい見慣れません人です。」


耳を疑った。


婚約者ともあろうものが、今知り合いさえ認めない?


王様はホッとした。


「罪人だけじゃなく嘘つきでもあります!貴族としても永遠に追放されるべし!」


「タ……助けてくれ!アイリ!」


泣いて助けを求めていたがアイリが呻き声をやり過ごし聞こえないぶりをしていた。


「罪人を追放しろ!」


王様の指示に従って、衛士が槍を構え部屋から乱暴に投げ出す。


最後に部屋を見た時相変わらず視線はアイリの顔から離れない。


それから、片付けに短時間をもらった。


実は王国から離れることを気にしない。


ここにある楽しい思い出もないし、一つだけ忘れられない人はアイリだ。彼女に限り、裏切らない筈だと思わなかった。


離れるとしても、アイリが失えない。


片付け終わると、もう夜中だった。一緒に離れるように説得してみるのため、こっそりと寝室に入った。


アイリが見つからない。王様といる筈だ。


もしかして一人で離れないと。


えい、ブラシ?


鏡の前にアイリがよく使うブラシを見た。ブラシを手に取って眺めた。昨日の夜にはベットに座り髪を払っていたアイリと未来のことを話していた。


ブラシには引っかかった髪があった。


思いつく。


【クローニング】で第二のアイリを作成できる。


おぞましい思いつくのような気がした。思いついた瞬間には本当の罪人となった。


しかし、それはラストホープだと思う。


アイリと一緒に離れないとしても、せめてクローンと一緒にいる。


そのような考えを持ったまま、ブラシをポケットに入れできるだけ早く王国から離れた。


月はいつもより明るいと覚えられた。街も寝静まった。


王国から離れると、延々と続いた樹海だけを見えた。


幾日か歩いたり樹海に彷徨ったりとした。


家?


めまいがした時、炊煙が見えた。恐る恐ると近づいてから目立たない家を見つけた。


弱々しく門を叩いてみたら美しい少女が会われた。


「えぇ!何か起こしたの?」


僕を眺め驚いて呼び出した。


もう長い間鏡の中に自分の姿を見ないものの、幾日か彷徨った末にひどく狼狽した姿を想像できる。


笑ってみたまま、状況を説明してみた。運よく少女は優しそうので速やかに家に入れた。


「ご飯を作っているところので、お先に二階の部屋に行ってよこになったほうがいいよ」


少女に感謝してから疲れた身体を引きずって階段を上る。


今まで、まだアイリを考えたしかない。


アイリ……


【クローニング】


大賢者の魔術工房で何百回も練習していた魔法。失格魔術使いにしても使いやすくなった。


もう待たない!


指を噛んでから血か流し埃まみれの床に複雑な魔法陣を描き徐々に魔力を注ごうとしていた。


最後の一歩は触媒だ。


ポケットからアイリのブラシを取り出し魔法陣の中にちゃんと置いた。


やっと、また逢える。


「アイリ・ウェストミンスター、応えよ!」


眩しい光が溢れていた。


少女みたい影が光からだんだんと見えてきた。光がすっかり消え去るとようやく少女の顔をよく見えるようになった。


アイリにそっくりだ。


美しいすぎる顔にハマった。目が潤みクローンの顔を血まみれで触ってみた。


触り慣れた触感ので、突然にさまざまな思い出が湧き出した。


「あなたがわたしのマスターか?」


アイリのクローンがそう訊ねた。


考えてみた。


「いえ、妻だ。」


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