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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
97/122

97真相確認(2)

登場人物

ウル    捕らわれていた元連合国アドバイザー(★4テンロウ)

オーウェル 連合国盟主・ウルの盟友(人間)

ノリク   連合国やオーウェルの宿敵(人間)

ローゼリア ノリクの娘(人間)

「オーウェルさんの船を襲撃したのもタンゴさんですか?」

 俺は、他の項目についてもお嬢様が知っている範囲で聞いていく。


「いいえ、それはお父様よ。

 ジークス・メキロ伯爵を殺してしまった以上、お父様も後には引けなくなった。

 息子のオーウェル様がお父様に対抗する準備を進めていると聞いて、タンゴに襲撃を命じたの。

 タンゴも自分の開発した新兵器の試行運転のつもりだったみたい。

 結局撃退されて、タンゴは重点的にメキロ家の調査を始めたわ。

 その結果、メキロ家のアドバイザーのウルが危険人物だと判断したのだと思うわ。」

 タンゴさんがメキロ家の先代を殺したことで、ノリク様としてもメキロ家を潰す方向に方向転換せざるを得なかった訳か。

 タンゴさんが余計な事をしていなければ、ここまで敵対することもなかったのに。

 だけど、これでオーウェルさんと話をつける事は難しくなったな。

 まずは、話を全部聞いてからだけど。


「だとすると、オーウェルさんと話をつけるのは難しいかも知れませんね。

 タンゴさんを切ってくれればまだ交渉の余地があったかも知れませんが。」


「限界突破種の誘拐事件もそうだけど、

 お父様が判断を誤った所ってタンゴが関わっているのかしら。」


「今のところ全部そうじゃないですか。

 オーウェルさんの船の襲撃だって、タンゴさんがジークス・メキロ伯爵を殺していなければなかったのですよね。

 そもそもノリク様はなぜタンゴさんを登用したのですか?」


「私がまだ小さかった時の話だけど、密偵隊長になっているダクロスがタンゴを連れてウォルタンの領主だったお父様に仕官してきたそうよ。

 ダクロスは自分も魔術師であることと、それよりも、タンゴはモンスターでありながら、武器の発明ができるといって売り込んできたらしいわ。

 お父様とお爺様は、銃器とか言う武器を見せられてこれは凄いとすぐに2人を登用したの。

 その後、ダクロスは諜報部隊を纏める隊長になり、タンゴは多くの人間の技術者を率いて船型の兵器も開発したわ。

 そして、タンゴはお父様の相談に乗るまでになった。

 お父様が宰相になって帝都に行く頃にはダクロスとタンゴの立場は逆転してしまって、ダクロスの方がタンゴの指示で動くようになっていたわ。」


 タンゴさんも自分の言葉を伝えられない相手に仕官することはできないからな。

 通訳代わりの人間を使って売り込んだ訳か。

 今も生きているのに立場が逆転している時点で密偵隊長のダクロスは転生者ではないな。

 タンゴさんからすれば、最初に会った利用価値のある人間だったという所か。

 とは言え、一通りは確認しておかないと。


「ダクロスって、ノリク様の4人の密偵隊長の1人ですよね。

 どんな人物か知ってますか。

 あと、任務はタンゴさんの専属ですか?」


「ダクロスはタンゴの専属の密偵隊長よ。

 ダクロスの部隊はお父様も末端までは把握できていないみたい。

 私は一度も会ったことはないし、シャミアと同じ闇妖精だとしか知らないわ。

 同じ闇妖精なのに、シャミアは嫌っていたようだけど。」


「ダクロスも闇妖精なのに、ノリク様はあっさり登用したのですね。」


「既に同じ闇妖精のシャミアが諜報部隊長をしていたから、大丈夫だと思っていたのかもしれない。

 お父様は種族で差別はしないと公言していたし。」


「既にシャミアさんが登用されていたのなら、大丈夫と考えてと言うことはありますね。

 なぜシャミアさんはダクロスを嫌っていたのか聞いていますか?」


「直接聞いた事はないけど、何かの関係でダクロスの話になったときに、味方でも平気で殺すような輩は信用できないと言っていたのを聞いた事があるわ。」

 そりゃシャミアさんじゃなくてもお友達にはなりたくないタイプだ。


「残りの密偵隊長の残り2人についてどれくらい知ってますか?」


「ヘルメスについては、代々ミューゼル家に仕えていてお父様が一番信頼しているわ。今回の従軍でも、常にお父様の傍にいる筈よ。

 アサシについては、タンゴがお父様に登用を勧めた人間で、暗殺が専門と聞いてるわ。メキロ伯爵を殺したのもアサシだって。アサシについても部隊の細部についてはお父様は知らないと思うわ。

 私はヘルメスとは何回か会った事があるけど、アサシとは会った事はないし。」

 4人の密偵隊長のうちアサシとダクロスはタンゴ側、ヘルメスとシャミアさんがノリク様側か。これは、今後を考える上で重要な情報だ。

 お嬢様はかなり事情を知っているようだから、それ以外にも漏れがないように確認しよう。



「あと、確認したいのは、俺を捕まえたタロウさんを攫ったのはタンゴさんがしたのですか?」


「いえ、それはタンゴじゃなくてお父様が主導してやったわ。

 連合国のアドバイザーのウルを捕えるには相手を油断させるだけの人物が誘い出す必要があるからって。

 あるいは、タンゴに任せるとウルを殺してしまうかも知れないって。お父様もタンゴについて何か感じていたのだと思う。」


「俺を捕えた後タロウさんをどうしました?」


「何処にいたかまでは分からないけど、大事にはしていたはずよ。

 最終的に、エルシアのベッカム商会にタロウさんを返すからピュートル公に肩入れしないようにという交渉に使ったみたい。

 そうしたら、ベッカム商会から先にタロウさんを返せと言われたから、返したと聞いているわ。

 ベッカム商会が本当にピュートル公への肩入れを止めたかどうかは分からないけど。」

 やはり、タンゴさんとノリク様では手段が大分違うよな。

 いや、キーパーソンを誘拐とか余り褒められないような事もしているけど、それくらいは歴史上いくらでもあるからな。

 警備を怠った方が悪いと言われても仕方がない所がある。


「それじゃあ、タロウさんは既にエルシアに帰っているのですね?」


「そのはずよ。」

 これは、後でオーウェルさんに確認できるかもしれない。

 確認は必要だが、もしタロウさんが既に帰っているようなら、お嬢様の話は信用できると考えていい。


 お嬢様の話が信用できるという前提にはなるけど、俺としてはこれではっきりした。

 俺がかつてノリク様を嫌っていた原因は、全部タンゴがやった事だ。

 連合国にいた時と実際にノリク様と接してからとの俺が感じたノリク様に対する印象のギャップは、全部タンゴが原因だった訳だ。

 そして、ノリク様はタンゴを切る事ができなかった結果、敵を作りすぎたのだ。

 パヴェル公と関係改善ができていなかったら、いかに新兵器があったとは言えミューゼル家は滅ぼされてた可能性が高い。


「お嬢様、なぜタンゴさんがあのような新兵器を開発できたのか。

 俺が、タンゴさんの作った新兵器の正確な機能や弱点を見ただけで判断できたのか何か聞いていますか?」


「何も聞いてないわ。

 私もキリンであるタンゴがなぜあのようなものが作れたのかは、ずっと不思議だったのだけど。」


「今、お嬢様に色々確認してはっきりと分かりました。

 タンゴさんと俺は、殺されたイクシャール博士が異界から呼んだ人物なのです。

 そして、あの新兵器はその異界で普通に使われていた兵器。

 俺は元の世界で一般人でしたから作ることまではできませんが、どんな物かくらいは知っています。

 タンゴさんは、自分以外の異界の人物が増えることで自分の立場が危うくなる事を恐れて、邪魔なイクシャール博士を言いがかりをつけて殺したのではないかと考えています。

 さらに、存在を知った異界の存在である俺も消そうとした。俺については、ノリク様が配下に加えようとしたので、殺す事はできなかったみたいですが。

 恐らく、タンゴはノリク様には全てを話さず、都合のいい部分だけを話して、ノリク様を騙す形で自分の目的を達成しようとしたのです。」

 俺はここまでの話で出た自分の結論をお嬢様に言う。


「タンゴが異界の存在だったなんて、初めて聞いたわ。

 お父様も知らなかったと思う。

 お父様は、何かの時のために大事なことは私とお母様だけには何でも話してくれたから。

 ロウルが言いたいのは、タンゴが自分の目的のためにお父様を利用してきたってことよね?」


「そうです。

 タンゴさんは、兵器の開発者である自分をノリク様が切れないことをいい事に、自分の目的を進めようとしていたのです。

 既に見えている目的は2つ。

 1つは、自分と同じ異界の存在を全て抹殺する事。その中には、異界の人物を呼び寄せる事ができるイクシャール博士も含まれます。

 もう1つは、配下となる限界突破種のモンスターを集める事。限界突破種を集める目的までは分かりませんが。

 その結果として、ノリク様はメキロ家・イクシャール博士の弟子たち・俺を含めた五島諸島のモンスターや魔王までも敵に回してしまった。

 ノリク様はそこまで分かっていたのでしょうか?」


「お父様もそこまでは気づいていなかったと思うわ。

 この話、お父様に伝える事はできないかしら。」

 お嬢様が聞いてくる。

 お嬢様、自分は敵に捕らわれているのに、父親の事を心配しているんだ。

 出来るだけ願いを叶えてあげたいと思う。


「俺が、オーウェルさんにダメもとで頼んでみます。

 とは言え、難しいと思いますので期待に沿えないかもしれません。」

 難しいとは思うが、できる限りお嬢様の役には立ちたい。

 そう思ったので、俺はこう答えた。


「ロウル、ありがとう。

 気持ちだけで十分よ。

 今の私の立場じゃ頼めるような話じゃないから。

 無理はしないでね。」

 お嬢様が労ってくれる。


「では、話してきます。」

 俺はそう言って、お嬢様の部屋から出た。

 さて、お嬢様の希望をできる限り叶えてあげたいが、どう動くべきか。


20230427 話番号修正・誤字等修正

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