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ご主人様はモンスター使い  作者: ウル
帝国のアドバイザー
96/122

96真相確認(1)

登場人物

ウル    元連合国アドバイザー(★4テンロウ)

オーウェル 連合国盟主・ウルの盟友(人間)

ノリク   連合国やオーウェルの宿敵(人間)

ローゼリア ノリクの娘(人間)

 4日後、ウラジオの町に着く。

 空から町に入ると色々問題が起こるので、メルさんに通訳をしてもらい、町の門から入る。

 正式なチェックを受け、町の中に入る。

 既に夜になっており、スレイルさん達も今夜はウラジオで休むらしい。


 そして、領主の館までスレイルさん達についてきて貰った。

 領主の館に入ると、オーウェルさんの部屋に案内される。


「ウル殿、お帰りなさい。

 記憶は戻りましたか?」

 オーウェルさんが聞いてくる。


「俺が不用心で、ご迷惑かけてすいません。

 救出ありがとうございます。

 向こうでかなり戦況を悪化させちゃいましたね。

 現在の状況はどうなってます?」

 俺は答えつつ、現状について聞く。


「その前にお聞きしたいのですが、ウル殿は以前と同様にノリクと戦えますか?」

 ノリク様との記憶が残ったままの俺にノリク様と戦えるのか?

 オーウェルさんは当然その心配を聞いてきた。


「向こうでノリク様に受けた恩については全部覚えていますからね。

 正直、蟠りなしで戦うことは難しいですね。」

 俺は正直に言う。

 俺には、盟友であるオーウェルさんを騙す事はできないからだ。


「それだと、連合国の重要な判断を任せることは難しいですね。

 ノリクには、連合国のアドバイザーを実質的に殺されてしまいましたか。」

 オーウェルさんは悲しそうに言う。

 つまり、俺には連合国の重要な決定に関わらせないという事だ。

 オーウェルさんの立場からすれば、当然の判断だろう。

 俺はもう以前と同じようにオーウェルさんと腹を割って話す事はできなくなってしまった。

 だが、そもそも俺の不注意で捕まった事が原因だし、必死に救出までしてくれた以上文句を言える筈もない。


「俺としては複雑ですが、その判断は妥当ですね。

 では、俺が知っている情報から話しましょうか。


 パヴェル公はレオグラードで合流できるようタイミングを合わせて、バイカル・帝都・ウォルタンから出兵しています。

 特にウォルタンからは海上を新兵器が出発します。

 その新兵器の部隊を率いている★5キリンのタンゴには要注意です。

 俺と同じ転生者で、新兵器の開発者です。」

 俺は、自分の知っている情報を伝える。


「★5キリンのタンゴは帝都のノリクの館にいたノリクの側近ですね。

 なるほど、ウル殿と同じ転生者で、かつ、新兵器の開発者でしたか。

 ノリクのもとを離れて指揮している訳ですね。

 これは重要な情報ですので、ウル殿との話が終わりましたら、すぐに伝えるようにします。」

 オーウェルさんは答える。


「あと、ローゼリア姫に確認したいことが色々あるのですけどいいですか。

 ノリク様について、俺が直に接して感じた人物像と過去に行った行為から見た人物像の乖離が大きいですので。」

 俺は、先にお嬢様にノリク様の過去の行為について確認しようと思い、オーウェルさんに聞く。


「では、私は★5キリンのタンゴ関係の話を伝えてきますので、後程続きを話ししましょうか。」

 オーウェルさんの許可も下りたので、俺は先にお嬢様に事実確認をする事にした。


「ロウルです。戻りました。」

 俺はそう言って、お嬢様の部屋の扉をノックする。

 すぐに扉が開けられた。


「ロウル、帰ってきたのね。

 いや、今は連合国アドバイザーのウルなのですね。」


「今の俺はウルでもあり、ロウルでもありますよ。

 両方の記憶を持っていますから。」


「記憶を取り戻してどうだった?

 私やお父様の事恨んでる?」

 お嬢様は聞いてくる。


「ミューゼル家では大事にしてもらいましたからね。

 恨みはしませんよ。

 俺自身の立ち位置が連合国とノリク様の間で微妙になってしまって、連合国の重要決定には関われなくなってしまいましたが。」


「ごめんなさい。

 全部私達のせいね。」


「いいんです。

 オーウェルさんとしても、宿敵と戦えない俺を重用する事はできないでしょうからね。

 実は、お嬢様に聞きたい事が色々あるのです。

 五島諸島での限界突破種の誘拐事件とジークス・メキロ伯爵の殺害の件について何か聞いていますか?」

 俺は、今まであった事件の真相について何か見えないかと思い、お嬢様に聞いてみる。


「もともとあの事件は、タンゴが配下の限界突破種を集めたいからって、始めた事なの。

 最初は渋っていたお父様も結局認めたのだけど、大失敗した挙句、証拠を握ったメキロ伯爵に追及されたわ。

 お父様はなんとかメキロ伯爵と手を打とうとして色々動いたみたいだけど、メキロ伯爵に全て拒否されてしまって。

 それで、流石にお父様も怒って、タンゴにどうするんだって問い詰めたの。

 タンゴは自分でメキロ伯爵と始末はつけるからって言ったのだけど、まさか暗殺するとは思わなかったわ。

 確かに事件の追及は止んだけど、表に出てこなくなっただけで多くの敵を増やしたんじゃないかって思うわ。」

 お嬢様が答える。


「そこまでの事件を起こして、ノリク様はタンゴさんを切らなかったのですか?」


「お父様は、タンゴを切りたくても切れなかったのよ。

 お父様が宰相になって、ミューゼル家はピュートル公とパヴェル公の両方から睨まれる事になったわ。

 何か起こればミューゼル家はいつ滅ぼされるか分からない。

 そんな中で、戦争になったときに圧倒的に有利になる新兵器の開発者であるタンゴを、お父様は切ることができなかったの。」


 そうか。

 宰相になったことで、ノリク様はピュートル公とパヴェル公の両方を敵に回す可能性があったんだよな。

 となると、新兵器の開発者であるタンゴさんを切れないか。

 これまでの功績もあるわけだし。

 俺がいれば、タンゴさんを切って完全にピュートル公かパヴェル公につく方向で動いたけど、今更言っても意味がないしな。


「あと五島諸島での誘拐犯がモンスターの頭に虫を潜ませて操るという方法を取っていましたが、それについて何か聞いていますか?」

 あと、誘拐事件の時の怪しい虫について聞いてみる。


「初めて聞いたわ。

 そんな事ができるの?」

 お嬢様が驚いている。


「五島諸島の件はタンゴさんが単独でやったのですよね?

 ノリク様からも何も聞いていないのですね。」


「ええ、何も聞いてないわ。

 虫を入れられたモンスターはどうなるの?」


「いずれ死にます。

 俺がオーウェルさん側についたのは、そのような非道なことをするのがノリク様だと思っていたからという理由が大きいのです。」


「お父様も知らなかった筈よ。

 モンスターに首輪をつける政策を決めるときもかなり悩んでいたから。」


「モンスターに首輪をつける政策はノリク様なのですか?」


「ええ、それはお父様よ。かなり悩んだ結果だけど。」

 これはタンゴさんじゃないんだ。

 俺が言ったらあっさり撤回した所からしても、理由が知りたいな。


「ノリク様は、なぜモンスターに首輪をつけることにしたのですか?」


「話が長くなるけどいい?


 ミューゼル家の本拠のウォルタンは帝国でも海沿いの南にあるから気候も温暖なため比較的豊かだわ。

 冬でも育つ作物があるから。

 だけど、お父様が宰相として帝都に来たら、帝都近辺はそうじゃなかった。

 冬は地面が凍って、まともに作物は育たないわ。


 前にも話したことがあるけど、これまでも帝国北部の貴族達は耕作地を広げるために森を切り開いていたわ。

 そして、切り開いた森には元から住んでいたモンスター達がいた。

 だけど、北部の小規模な貴族からすればモンスター対策はかなりの負担だったの。

 多くの貴族からモンスター対策の陳情があったのよ。

 宰相になった以上、お父様としても何か対策を考える必要があった。

 お父様は、色々対策を検討したみたいだけど一時しのぎにしかならなくて、結局賞金を懸けて対策を募ったの。

 そうしたら、冒険者ギルドのマクガイア副ギルドマスターが自分が開発した首輪で支配する方法を提案してきた。

 首輪で支配すれば、捕らえたモンスターを使って戦わせることにより、これから切り開く森に住むモンスター対策になるって。


 だけど、お父様は首輪がもたらす効果の非道さを考えるとすぐに決断はできなかった。

 お父様は大分悩んだみたい。

 それで、同じモンスターであるタンゴに相談したの。

 すると、タンゴは話の分からないモンスターなら支配されても問題ないと言って賛成してくれた。

 それで、お父様も決断してモンスターを首輪で支配する事にしたの。」


「そう言う事情があったのですね。

 ノリク様もやむ得ない事情で心苦しく思っていたわけですね。

 だから、俺が言ったら撤回してくれたんだ。

 政策の転換は簡単じゃないのに。


 ただ、決めるときの最後の一押しはタンゴさんだったのですね。

 タンゴさんに相談したら、そりゃ賛成しますよ。

 俺の所に話に来た時も、限界突破種でないモンスターなど支配されて当然みたいな事を言っていましたからね。」


 お嬢様の話を聞く限り、誘拐事件の虫もタンゴさんが単独でやったことになる。

 今、すべての真相確認はできないが、お嬢様にこれまでの事件の事情は全部聞いておかないとな。



「あと、イクシャール博士の殺害について何か聞いていますか?」

 俺はそれ以外にノリク様の起こした事件の真相について、お嬢様に知っているか聞いて行く。

 イクシャール博士はケルティクの元マスターで、俺をこの世界に転生させた人物だ。

 博士が殺されたことで、ケルティクはノリク様に対抗するためにメキロ家につく事になった。


「イクシャール博士って、異界から魔王を召喚しようとしていた人よね。

 危険人物ということで捕らえて事実を確認しようとしたのだけど、抵抗が激しくて殺さざるを得なかったと聞いているわ。」


 魔王の召喚だって。

 ケルティクからそんな話を聞いたことがないし、ケルティクのその後の行動からしても博士が異界から魔王の召喚をしようとしたとは思えない。

 これは、口実だな。

 いや、待てよ。異界から?

 俺も異界から魂の召喚をされたって事だよな。

 これはひょっとして?


「ひょっとして、

 博士を捕えに行ったのがタンゴさんだったりしませんか?」


「その通りよ。

 よく分かったわね。」


 やはりか。

 タンゴさんは異界の人物を転生させて召喚する力を持つ博士の存在を危険視していたんだ。

 自分以外の転生者がこの世界に溢れることで、自分の転生者としての優位性が失われる事を恐れた。

 それで、ノリク様が宰相として権力を握った事を幸いにと理由をつけて博士を殺したとすれば納得がいく。

 ノリク様には捕らえて真偽を調べるつもりと言っておいて、博士を口封じで殺したわけだ。


 ノリク様は怪しいと思わなかったのだろうか?

 でもタンゴさんを切れない以上、厳しく追及はできないか。


「あと、ノリク様が俺の情報を手に入れたのは、タンゴさん経由だったりしますか?」


「その通りよ。すごいわ。なぜ分かるの?

 タンゴは、メキロ家のアドバイザーのウルは相当な切れ者だから早めに始末した方がいいって、お父様にしきりに進言してたわ。

 お父様は、それほどの人物なら是非とも捕らえて配下に加えたという事になったのだけど。」


 タンゴさんは、邪魔者の転生者である俺も始末する気満々だったという事か。

 ノリク様が捕らえる気にならなければ、俺はあそこで殺されていたって事だよな。


20230426 話番号修正・誤字等修正

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